俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

黒い人

2013-02-22 10:08:13 | Weblog
 夏の私は黒い。ここ数年はプールで「大阪で一番黒い」とからかわれるほど日焼けしていた。子供の頃から夏になれば毎日泳いで真っ黒になっていたので日光で皮が剥けない体質なのだと思っていた。皮が剥けないので日に日に黒くなる。
 ところが初めて沖縄へ行って間違いに気付かされた。たった数日で膚がボロボロになった。その後、グアムへ行ってもタイでもフィリピンでも数日でボロボロになった。歳のせいかとも思った。
 しかし不思議なことに大阪では幾ら焼いても皮が剥けない。日ごとに黒くなるだけだ。しかし熱帯か亜熱帯に行けば必ず皮が剥ける。結局、私は温帯人ということだ。温帯に適応した皮膚だから温帯にいる限りは障害は発生せず、熱帯や亜熱帯の紫外線には耐えられない。所詮は温帯人であり熱帯人や亜熱帯人ではないということだ。
 グローバル化したことによって、せっかく適応した風土を離れる人が増えた。そのために健康上の問題が少なからず発生しているようだ。亜寒帯に住む黒人は日照不足で骨が脆くなり熱帯に住む白人には皮膚癌が多いらしい。オーストラリアに住む白人の皮膚癌発症率は10万人当たり600人で、黄色人種やアボリジニが5人以下であることと比べて非常に多い。
 考えてみれば当り前のことだろう。人類は長い時間を掛けてその土地に適応した。適応した土地を離れたら障害が発生しても何ら不思議でない。このことは皮膚や骨だけではなく脳を含めた身体全体についても同じことが言えるのではないだろうか。

暗い人

2013-02-22 09:43:55 | Weblog
 乱暴な分け方だが明るい人と暗い人がいる。明るい人は副交感神経の働きが活発だから免疫力が高く病気に罹りにくい。笑うだけでも免疫力が高まるとも言われている。
 一方、暗い人は副交感神経の働きが悪いので免疫力が低い。暗い人は自分の暗さを歓迎している訳ではない。気質だからやむを得ないだけであり、少しでも気持ちを明るく軽くしたいと願っている。
 暗い気分を明るくするのに最適なのがアルコールだ。飲酒によって少し知力は低下するがポジティブな性格に変わる。
 イライラや抑鬱感を緩和する特効薬は煙草だ。喫煙をすると妙に落ち着く。これがニコチンの作用なのか深呼吸をすることによる効果なのかはよく分からない。
 暗い人は病弱で短命な人が多い。副交感神経の働きが悪く従って免疫力が低いのだからこれは必然だろう。しかし暗い人にとっての酒や煙草は薬なのだろうか、毒なのだろうか。EBM(evidence-based medicineー根拠に基く医療)に単純に従えば有害と言えるだろう。飲酒や喫煙をする人の寿命はやや短い。しかしこれが充分な証明であるとは思えない。元々短命であることが宿命付けられている暗い人にとっての飲酒や喫煙は心のオアシスであり、副交感神経の働きが活性化されて延命効果があるようにも思える。
 過度の飲酒は肝機能などの障害を招くのでその人の気質とは関係無く有害だろう。しかし検証されるべきなのは、暗い人にとって飲酒や喫煙が是か非かだ。これが統計的に明らかにされない限り飲酒・喫煙を一方的に有害と決め付けるべきではなかろう。暗い人にとっての特効薬である可能性は否定し難い。