俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

攻撃

2013-03-26 10:45:10 | Weblog
 動物界における「適者生存」とはどういう意味だろうか。多くの人は「弱肉強食」で強い者が生き残るというイメージを持つがそれは誤りだ。周囲を見れば多くの弱い動物が生きている。現存する動物は総て厳しい生存競争を生き抜いた適者だ。動物の適応方法は様々だ。
 適者はまず種族内と種族外で分けて考える必要がある。種族内競争において強者は餌や縄張りの獲得において有利だが、それよりも重要なのは繁殖能力だ。鳥類で際立った例が多数観察されるメスによるオス選びで勝てなければ子孫を残せない。
 種族外競争でも強ければ良いという訳ではない。戦えば自分も怪我をする恐れがあるから、むしろ戦わずに済む逃げ足の早さのほうが有利だろう。
 他の個体を殺さねば生きられない肉食動物は決して好戦的な獣ではない。必要最小限の殺戮しかしない。種族内であれ種族外であれ、肉食動物同士で戦うことは少ない。戦えば怪我をするからだ。
 コンラート・ローレンツの報告に拠れば、狼同士の喧嘩には歯止めがあるが、ハトの喧嘩には歯止めが無いそうだ。ハトは一旦喧嘩をすれば徹底的に情け容赦なく相手を痛め付けてしまうそうだ。狼のような殺傷力の高い動物には種族内での殺戮を抑制する本能が備わっているが、草食動物などのように強力な武器を持たない動物には本能としての抑止力が備わっていないようだ。
 人類も多分草食動物から雑食動物へと進化したものと思われる。そのために攻撃に対する抑止力が本能として備わっていない。だから無用な戦争や殺戮が無くならない。今更、進化を遡ることなどできないのだから、抑止力を欠いた困った動物であることを理解した上で、社会としての仕組みを作る必要がある。強い武器を獲得した弱い動物だからこそ人類は無用の争いをしてお互いを傷付けてしまう。

健康食品

2013-03-26 10:42:08 | Weblog
 最近、健康食品の売上が低下しているそうだ。当然のことだろう。効果を謳う健康食品ほど詐欺紛いの商品は無いからだ。
 そもそもなぜ薬ではなく健康食品と名乗らざるを得ないのか。それは非常に簡単な理由であり、有効性が無いことが証明されているからだ。もし本当に効果があれば薬として売れる。薬効が無いから美辞麗句で飾り立てて健康食品と称しているだけだ。これを消費者が「薬ではなく自然食品だから安全だ」と誤解しても誤解したほうが悪い。業者は特異な例を挙げて効果があるかのように見せかけるがその内容は曖昧であり、これは詐欺師が「消防署のほうから来ました」と言って消防署の職員と勘違いさせるのと同じ手口だ。
 科学的に否定された偽薬は何らかの付加価値を付けなければ売れない。それが馬鹿高い価格だ。世の中にはお目出度い人がいて高い物なら良い物に違いないと勝手に考える。こんな人を騙すために非常識なほど高い価格を設定してボロ儲けをする。数が捌けなくても粗利益額が多ければ充分にビジネスとして成立する。
 薬ではなく自然食品だから安全だ、実際に薬効のあった人がいる、高価だ、これらは総て錯覚に導くための詐欺紛いの手法だ。
 逆に健康食品が原因とされる健康被害は多発している。特にダイエット系の食品で頻発しているそうだ。痩せることは易しい。病気に罹れば大抵痩せる。内蔵機能に障害を与える有害物を食べさせればほぼ確実に痩せる。これを健康食品の効果だと彼らは嘘を言う。
 最近では詐欺紛いから更に進化して本当の詐欺にまで手を出すようになった。老人宅に着払いで送り付けるという手口だ。実は私の母のところにも送り付けられたので受け取りを拒否した。元々詐欺紛いの商売だったのだから一線を越えるためのハードルは低かったようだ。