俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

人件費

2014-03-15 10:09:21 | Weblog
 業種によってかなり異なるが、企業の人件費比率は1割程度と言われている。人件費は経費と位置付けられているが、私は資産だと思っている。人材ではなく人財だとさえ考えている。勿論こんな会計処理は認められていない。
 今年の春闘では多くの企業がベースアップを実施するようだ。私のような退職者は蚊帳の外だが、ようやくまともな社会に戻りつつあると思う。給料が10%上がった場合、その人の収入は10%近く増えるが企業の経費はたった1%しか増えない。リストラムードに便乗して削り易い所を削ったから悪循環を招いてデフレ状態が続いていたのだと思う。
 全員の給料を上げなくてもこんな方法もある。「担当する仕事上での経費を1%削減すれば給料を10%上げる」こんな課題を与えられたら殆んどの人が目標を達成するだろう。交通費や備消品や残業代など、自力で削減できることは幾らでもある。諸経費を1%削減すれば人件費を10%増やしても経費増にならないということはコロンブスの卵のような話ではないだろうか。人を絞るよりも知恵を絞るほうが会社にとっては有益だろう。
 かつてフォード社は大量生産方式によってT型フォードを格安で販売して売り上げを増やし、同時に賃金を大幅に引き上げたそうだ。豊かになった従業員は我先にとT型フォードを購入したのでフォードの売り上げは更に増えたそうだ。
 従業員は消費者でもある。従業員の給料が増えれば消費も活発になる。今年の春闘で自動車などの輸出関連企業だけではなく妙に小売業者の賃上げが目立つのはこんな事情を知っているからではないだろうか。正に、情けは人のためならず(巡り巡って自分のためになる)、だ。

検証

2014-03-15 09:44:29 | Weblog
 事実かどうかは検証されねばならない。疑わしいことを検証しなければ嘘が事実に化けてしまう。
 STAP細胞が疑わしければ検証する必要がある。科学とはそういうものだ。最初から完全な研究などあり得ない。公開された情報を世界中の学者が検証して問題点を解決するからより優れた研究結果が生まれる。批判の自由が科学を進歩させる。
 但し、捏造か否かを問うようなマスコミの姿勢には大いに不満を感じる。まるで贋全聾の佐村河内氏を追及するようなスタンスだ。科学は批判によって進歩するが吊し上げで進歩する訳ではない。批判が魔女狩りであるべきではない。あくまで建設的な批判であるべきだ。
 その一方で「河野談話」を見直さないことを安倍首相が発表した。これは当然検証されるべきものだろう。疑わしいものは検証して誤っていれば修正する、それは学問であれば当然のことだ。つまりこれは事実よりも政治を優先した政治的判断だ。韓国とアメリカの圧力に屈したということだ。政治が屈してもマスコミまで同調する必要は無いのだが一向に追及する気配は無い。
 一方では疑わしいからと追及し、一方では疑わしくても放置する。これはマスコミのダブルスタンダードだ。科学であれ歴史であれ検証の自由が無ければ嘘が罷り通る。
 科学と歴史において最も厭うべきものは捏造だ。捏造は許すべきではないが誤りであれば正せば済むことだ。捏造か誤りかは区別し難いが、初めから捏造として非難するのではなく誤りを正すという姿勢であって欲しいものだ。