俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

護憲

2015-01-13 10:20:20 | Weblog
 菅官房長官は10日のテレビ番組で「9条より前に着手すべき事例として(中略)私学への公費支出を禁じた89条の改正を挙げた」と11日付けの朝日新聞は報じた。たった2段の記事だがマスコミが89条に触れるのは珍しい。私は憲法89条が左右両派から無視されていることに憤りを感じているからこの小さな記事に注目した。
 89条はこう定めている。「公金その他の公の財産は(中略)公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対して、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」
 どう読んでも私立学校への補助金は憲法違反としか思えない。官房長官が「私学への公費支出を禁じた89条」と発言して誰も批判しないのだからこの解釈で間違い無かろう。
 ではなぜ私学への補助金が認められているのだろうか。憲法が無視されているからに他ならない。司法も行政も政治団体も89条を無視しているから補助金が公認されている。
 私は安倍内閣による9条曲解と同じくらい「護憲」勢力による89条無視に怒っている。「憲法を守れ」と主張するなら89条も守るべきだろう。89条違反を放置しておいて「憲法を守れ」と言うのは余りにもご都合主義だ。もしかしたら89条の内容も知らないままに「憲法を守れ」と言っているのかも知れない。
 かつて60年安保闘争の時、デモに参加している学生に尋ねたところ大半の学生が安保条約の条文を読んでいなかったという呆れた話が残っている。日本人はこの頃から少しも進歩していない。碌に調べもせずに空気に流されて賛成・反対を主張する。彼らの多くは特定の政治勢力によって踊らされているだけであり、内容を吟味さえせずに主張するのは無責任かつ厚顔無恥だ。
 89条を守ろうとするなら補助金を廃止するか、「公の支配に属して」大学自治の権利を放棄すべきだろう。どちらも選ばずに「憲法を守れ」は余りにも恥ずかしい主張だ。憲法改正以外に選択肢は無かろう。
 憲法改正に賛成か反対かのアンケート調査はしばしば行われる。今年は更に「憲法の全文を読んだことがあるか?」を付け加えてはどうだろうか。賛成派と反対派のどちらのほうが意識が高いのか明らかになるだろう。

薬害

2015-01-13 09:43:34 | Weblog
 マクドナルドなどによる異物混入が連日報じられている。混入しても構わないなどと言うつもりは毛頭無いが、これらによる健康被害は1件も無いし、野菜に虫が付くことや手袋などの繊維が付着することなどはある程度許容されるべきだろう。こんなことで馬鹿騒ぎをするよりも人命に関わる重大な情報が報じられていないことのほうが大変な問題だ。恐るべき薬害の実態がある。
 近年マスコミが騒いだ薬害は子宮頸癌ワクチンとインフルエンザ治療薬のタミフルぐらいだ。しばらく前には抗癌剤のイレッサが騒がれていた。しかしこれらは氷山の一角に過ぎない。被害者が多過ぎて隠し切れなくなってから報じられただけだ。隠されている薬害は桁外れに多い。市販の風邪薬による死亡例も少なくない。
 最近、新型の糖尿病治療薬で10人が死亡したことが報じられたがマクドナルドの異物混入事件と比べれば殆んど話題にさえされていない。恐ろしいことにこの新薬は昨年4月に発売されたばかりとのことだから、僅か半年ほどで死者10人、副作用5,000件ということだ。奇しくもこの被害状況は、死者13人、重軽傷6,000人と言われるオウム真理教による地下鉄サリン事件に匹敵する。こんな大事件がなぜ充分に報じられないのだろうか。
 薬害は因果性が分かりにくい。薬の副作用なのか病気が原因なのか区別できないことが多い。異常行動を起こさせる危険な薬と言われたタミフルも実はインフルエンザによって脳が冒されていたことが原因かも知れない。今でもタミフルは堂々と売られておりここ数年はまるで特効薬のように持て囃されている。この辺の検証を怠るマスコミは全く無責任だ。
 抗癌剤の危険性は広く知られているが、市場規模が極端に大きい生活習慣病の治療薬こそ注意が必要だ。特に注意を要するのは降圧剤だろう。血圧130~147が正常かどうか今も議論されているが、降圧剤が必要かどうかこそ問われるべきだろう。高齢者の血圧が高くなるのは合理的な理由がある。血管が細く固くなれば血流が悪くなる。元々「血の気が少ない」高齢者の細い血管で充分な血液を流すためには血圧を高めて血流を早める必要が生じる。これは物理的に考えても当然のことであり、体による対応は理に適っている。こんな状況で、多少血圧が高いという理由だけで薬によって血圧を下げればどうなるか?脳に充分な血液が回らなくなり知的障害が起こる。ヤブ医者はこの副作用を初期の認知症と誤診して有害な認知症治療薬を処方する。これによって単なる薬害に留まらず医原病患者が作られるということになってしまう。