俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

表現の自由

2015-01-15 10:09:34 | Weblog
 フランスでの新聞社に対するテロを容認する気は全く無い。しかし差別抑止か表現の自由かを選ぶなら私は前者を選ぶ。シャルリ・エブド紙の風刺画はイスラム教に対する悪意に基づいており、これを放置することはヘイトスピーチの放置に等しい。
 イスラム教は偶像崇拝を禁じておりマホメットの似顔絵を描くことは許されない。実はユダヤ教も原始キリスト教も偶像崇拝を禁じていた。近代キリスト教は偶像を認めているがこれは異端思想だろう。
 キリスト教徒はムスリム(イスラム教徒)を見下しているからイスラム教の禁忌を平気で破って風刺する。では彼らはキリストが茶化されたらどうするか?神聖侵すべからざるものに対する冒涜として糾弾する。
 昔ビートルズのジョン・レノンが「ビートルズはキリストよりも人気がある」と発言したとして非難された。これは誤訳でありpopularは「大衆受け」とか「お馴染み」と訳すべきだろう。日本語になった「ポピュラー」も「流行り」とか「一般的」といった意味であり少なくとも「価値が高い」という意味ではない。こんな発言にさえヒステリックに騒ぎ立てるキリスト教徒だからキリストが茶化されたらどんな反応をするだろうか?宗教意識の低い日本人がキリストを風刺する漫画を描けばきっと激怒するだろう。
 無神論者の私からすればキリスト教徒もイスラム教徒も偏見の塊りでありどちらも否定したい。しかし彼らの信仰を馬鹿にしたり茶化そうとは思わない。それは冒涜だろう。批判するなら理性に訴えるべきであり差別感情に迎合すべきではない。
 マスコミ人は宗教意識が低いから表現の自由ばかりに目を向ける。しかし宗教の冒涜がどんな意味であるのかを考慮すべきだろう。彼らは狡い。創価学会やPL教団に対する批判は避けて、日本では少数者であるイスラム教ばかりを蔑視する。それどころか天文法華の乱などの宗教戦争は教科書からさえ抹殺されている。国内宗教に対する過剰な配慮と国外宗教に対する無神経ぶりには呆れざるを得ない。

CM

2015-01-15 09:36:28 | Weblog
 インフルエンザが流行っていることもあり風邪薬のCMが目立つ時期になった。私のような余りテレビを見ない者でも風邪薬のCMは嫌と言うほど見掛ける。しかしどれも詐欺紛いのものばかりだ。目に付いたものを列挙しよう。
 効いたよね、早目のパブロン
 熱・喉・鼻にルルが効く
 ズバッと効いてズーッと効くプレコール
 熱・喉に即効ルルアタック
 ちょうど良く効く改源錠
 列挙して改めて「効く」という言葉が頻繁に使われていることが分かる。「治す」や「治療する」ではなく只管「効く」を使う。面白いのはどう「効く」のかという具体性が欠けており、しかもどれ1つとして「風邪に効く」とは訴えていない。これは当たり前の話で、風邪薬は風邪に対しては全く効かないからだ。風邪薬は諸症状の緩和効果だけが認められており風邪に対する薬効は全く無い。もし「風邪に効く」と訴えれば誇大広告になる。
 消費者が騙されるのは、何に効くかが曖昧にされているからだ。困ったことに人は空白部分を勝手に埋める習性を持っている。空白があれば勝手に想像して適当なもので埋めてしまう。
 昔、新聞が「首無し美女の遺体」と報じたそうだ。当然突っ込みがあった。首が無いのになぜ美女と言えるのか、ということだ。幾らナイスバディであろうとも顔立ちが良かったとは限るまい。今では使わないが「バックシャン」という言葉があった。後ろ姿美女のことだ。
 風邪薬の効能は末期癌患者に対するモルヒネに似ている。苦痛が緩和されるだけで治療効果は全く無い。それどころか、モルヒネであれば病気を悪化させないが、解熱剤は風邪を長引かせる。熱に弱い病原体の活動を高め同時に免疫力を低下させるからだ。
 製薬会社は法律ギリギリのCMを続ける。「風邪に効く」とは絶対に言わず「効く」とだけ言う。それを風邪に効くと誤解しても誤解するほうが悪い。困ったことだがマスコミはこの欺瞞を暴こうとはしない。大スポンサー様のご機嫌を損なえば自社の損失に繋がるからだ。だから結果的には詐欺の片棒を担いでいるようなものだ。正義の味方のふりをしているが悪徳商法の共犯者だ。