俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

鶴橋

2015-06-17 10:13:31 | Weblog
 14日に近鉄鶴橋駅で、利用者がホームから線路に突き落とされる事件があった。近隣に朝鮮系の住民が多いこともあり韓国嫌いの人が勝手な噂を流しているようだが、これは駅の構造上の欠陥が原因であり、私自身、何度も危ない思いをしている。
 最大の欠陥はプラットホームが2つしか無いことだ。近鉄の他の主要駅である阿部野橋駅や上本町駅などと比べれば極端に少ない。JR環状線との乗換駅になっているからラッシュアワーでの混雑ぶりは大阪市内でも有数のものだ。
 混雑することだけであればJR大阪駅の環状線のホームのほうがずっと酷いが、鶴橋駅には別の要因があってホーム上での歩行が多いから危険性が高まっている。それは座席指定の特急の乗車駅であることだ。座席指定が無ければ人は適当な場所から乗り込む。しかし座席指定の電車なら指定乗車口に並ぶ。乗車口に向かうためには各停や急行を待っている人を掻き分けて進まねばならない。これは決して簡単ではない。ホームには目的が異なる行列が何種類もあり、それぞれが割り込まれまいとして殆んど隙間無く並んでいる。人の壁が至る所に何枚もあって通せん坊状態になっている。だから私は危険を承知で黄色い線の外側、つまり電車の通る側を歩く。突かれたら簡単に線路に落ちる場所だ。
 14日の事件は多分、被害者も加害者も黄色い線の外側を歩いており被害者はかなりゆっくり歩いていたと思われる。狭い通路をゆっくりと歩かれれば追い抜くことはできない。
 先日、東京へ行って駅の姿が大阪とは全然違うことに驚いた。大半のホームに安全柵が設けられていたからだ。安全柵のあるホームなど関西では大阪モノレール以外では殆ど見た覚えが無い。東西でなぜこんなに格差があるのだろうか。
 多分、近鉄鶴橋駅は日本で最も危険な駅の1つだろう。データがある訳ではないが、線路への転落や電車との接触事故が頻発していると思える。駅の構造的欠陥がそれを招いている。近鉄による早期の改善を望みたい。

切り売り

2015-06-17 09:39:54 | Weblog
 ギリシャは相変わらず債務返済に四苦八苦しているようだ。ギリシャのチプラス首相は緊縮財政などする気は無いようで、債務返済期限が6月末に迫っていよいよ債務不履行(デフォルト)が現実味を帯びて来た。しかし起死回生の一手があると思う。それは領土の切り売りだ。ギリシャは約3,000の島で構成されており、隣接するイタリアやトルコなら喜んで買うのではないだろうか。あるいは海を持たないスイスやオーストリアにとっても充分魅力があるように思える。もし資金調達のメドが立てばデフォルトを回避できるだろう。
 領土の切り売りは決して奇想天外・荒唐無稽な話ではない。1803年にフランスはルイジアナを1,500万$で売却し、1867年にロシアはアラスカを720万$で売った。昨年のロシアによるクリミア併合と比べるまでもなく、平和裡に行われた領有権の売却だ。
 アルザス・ロレーヌ地区の領有を巡って何度も戦争が行われた。戦争によって領有を争うのではなく金銭によって領有権が決まるのなら、海賊が善良な貿易商人に変わるようなものであって大歓迎すべきだろう。
 手続きとしてはまずギリシャが一部の島の売却を発表して他国は欲しい島と購入条件を提示する。無人島であればあとは両国で条件交渉を進めれば良い。
 人が住んでいる島であれば住民投票が必要だろう。賛成多数なら住民ごと売却し、国籍変更を望まない人にはギリシャ国籍のままその島に残留するか国内に移住するかを選択させる。史上最も民主的な領土割譲となり、民主主義発祥の地ギリシャに相応しい快挙と称賛されるだろう。住民にとっては政治も財政も不安定なギリシャからの転籍は決して損な選択ではなかろう。
 軍事力を背景にして領土拡張に躍起になっている野蛮な国がある一方で、民意を尊重しながら領有権を売却するという画期的な手法は国際協調の新しいあり方となり得るだろう。もし切り売りする島が底を突いてしまったら・・・・その時は残りの土地も人もまるごとドイツか中国にでも売却すれば良かろう。
 実は領土の切り売りをしている国は既にあるようだ。北朝鮮だ。北朝鮮は、中朝国境を流れる鴨緑江に浮かぶ黄金坪島と威化島の開発権を2011年に中国に譲渡した。正確な情報を得にくい両国間での話ではあるが実質的に領土の切り売りだろう。