俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

参議院

2015-06-19 10:18:37 | Weblog
 参議院選挙が来年の7月に迫っているのに選挙制度改革が進展していない。最低なのは自民党案の6増6減案であり、一票の格差が4.31倍と、昨年最高裁が「違憲状態」と判断した4.75倍と殆んど違わない。こんな改革であれば選挙の直後に違憲・選挙無効との判決が出されかねない。自民党がゴリ押ししようとするのは県代表という位置付けがあるからだ。一県一人以上という原則を変えようとしない。
 私はこの主張を無意味とは考えない。人口が少ない県にも議員が必要という考えにも一理ある。国連はどんな小さな国でも一国一票であるし、アメリカの上院議員は州の代表と位置付けられているから一票の格差は何と66倍だ。
 参議院は都道府県代表を別枠にすれば良いと思う。自治体の知事が規模の大小を問わず一人であるのと同じ理屈だ。次回の改選は121議席だから、まず「地方区」として47都道府県に1議席ずつ割り当てて、残りの74議席と分離すれば良いと考える。比例区を廃止した上で選挙区の合区・分区をすれば格差は1.5倍程度に収まるだろう。
 比例区は問題が多過ぎるから廃止しても構わない。自力ではなく党名で当選した議員が離党しても議席を失わない現行制度は要らない。但し私の持論である「バーチャル議員」が可能なら74議席総てを比例区にしても良いと思う。
 バーチャル議員とは比例区の議席に議員を割り当てない制度であり、5年前にブログで提案したのだが余り賛同を得られなかったようだ。仮にある党が20議席を獲得すればそれを参議院での20票と評価する。議席ではあるが議員はいない。議員さえいなければ当然、議員報酬も必要ない。こんなバーチャル議員であれば定数を削減する必要も無い。議席が増えればそれだけ少数意見も反映されるのだから74議席どころか100議席に増やしても構わない。数合わせに過ぎない比例区の議員など必要なく、採決時の票数に参入するだけで充分だろう。

垂れ流し

2015-06-19 09:43:32 | Weblog
 公的機関による発表であればマスコミの誤報は免責されるのだろうか?16日(デジタル版では17日)の朝日新聞は「コレステロール摂取制限なくす」という記事を6段を使って報じた。これまで散々コレステロールの有害性を報じていたのに手の平を返すような報道だ。これまでの誤報についての訂正や謝罪は一切無い。
 朝日新聞としては「これまでは厚生労働省が発表したとおりに報道していたし、今回も厚労省の発表を掲載しただけだ」と責任逃れをするだろう。疑わしい情報をそのまま垂れ流しても報道機関に責任は無く、あくまで情報提供者の側の責任だという理屈だ。テレビ局が怪しいCMを日常的に流しているのと同様、倫理感覚を無くしているのではないだろうか。
 情報の垂れ流しこそ日本のマスコミの最大の悪弊だ。官公庁であれ警察であれ地震学者であれ、彼らの発表を無批判で垂れ流す。垂れ流している限り自らに責任は無いと考える。「彼らがこう発表したということは事実だ」という逃げ口上が用意されている。たとえ何等かの意図を持った発表でも無批判で垂れ流すことによって彼らのための宣伝道具になり下がっている。これでは大本営発表を垂れ流していた戦前・戦中と同じだ。いやむしろ、言論の自由が保証されている現代における垂れ流しのほうがずっと罪深い。職業倫理が欠落している。
 コレステロール有害説は10年以上前から疑われていたし、素人の私でさえ何度も指摘したほど疑わしい仮説だった。しかしマスコミは官公庁の発表を垂れ流すばかりであり何ら疑問を挟もうとはしなかった。
 科学情報が垂れ流しでありながら、政治情報については主観丸出しだ。朝日新聞に限れば橋下市長や護憲や歴史観などにおいては偏向と批判されるほど露骨な政治的主張を盛り込んだ記事を平気で掲載する。その極端な例が従軍慰安婦の強制連行の記事であり、政治的主張のために嘘まで利用していた。このアンバランスさは一体どういうことなのだろうか?
 政府に批判的であることは良いことだ。批判はあって然るべきであり御用新聞になるべきではない。それと同じように科学情報にも批判的であるべきだ。ダイオキシンや環境ホルモンで馬鹿騒ぎをしたことを反省も訂正もせず、今度はコレステロール摂取制限は不要と垂れ流すだけだ。マスコミはもっと言論に責任を持つべきだ。不良情報を販売したことを悔い改めるべきだ。主観に左右され勝ちな政治情報以上に、客観的な科学においてこそ疑わしい情報に対しては批判的であるべきだ。