俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

劣人

2015-06-22 10:11:48 | Weblog
 北海道砂川市での一家5人死傷事故は稀に見る不条理な事故だ。無謀運転をした側は全員が助かり、通常の運転をしていた一家4人が死に一人が意識不明の重態とのことだ。これは交通事故ではなく交通犯罪だろう。
 自動車は正面からぶつかると想定して設計されている。つまり前からの衝撃に強い構造になっている。しかし横からの衝撃には殆んど無防備だ。鉄板1枚で守られているだけだ。
 運動する物体は正面や後方と比べて横からの衝撃に弱い。だから50mも跳ね飛ばされた。ラグビーで正面からのタックルよりも横からのタックルのほうが有効なのと同じことだろう。
 私は「悪人」の存在には懐疑的だ。悪とは相対的な概念だからだ。例えば楠木正成は「河内の悪党」と呼ばれていた。これは鎌倉幕府に服従しない土豪だったからだろう。反権力者はしばしば「悪」と位置付けられるから楠木正成のような「正義の悪党」もあり得る。
 昔から「泥棒にも三分の道理」と言われるように、悪とされる行為にも同情の余地があるものだ。私は多くの犯罪の加害者にしばしば同情する。マスコミは「被害者無謬」を原則とするが、多くの犯罪ではどっちもどっちであり、あくどい被害者は決して珍しくない。
 その一方で「劣人」は確実に存在する。彼らは知能も道徳性も協調性も乏しい。彼らの多くは徒党を組んで迷惑行為を繰り返す。仲間内だけでしか通用しない奇妙なルールを設けてそれに背けば集団リンチだ。中学や高校の不良グループがそのまま大人になったような連中であり、昔なら暴走族を経て暴力団員になっていただろう。こんな輩が集団で行動して加害者になる。最近、妙にこんな事件が目立つ。
 この事故の加害者は飲酒運転・スピード違反・信号無視などをしながら反省もせず嘘によって言い逃れようとしている。それが白々しい嘘であって却って立場を悪くするということさえ理解できないほど知能も品性も低い。マスコミを賑わす凶悪犯罪の多くは、悪人ではなく劣人の仕業だ。善悪の判定は難しいが優劣の差は明白だ。認知症患者に自動車を運転させてはならないように、劣人には自動車・バイクや武器の所持を許すべきではなかろう。

怖い

2015-06-22 09:38:37 | Weblog
 人類は弱い。弱い人類は臆病な動物だからこそ繁栄した。もし臆病で注意深くなければ絶滅していただろう。しかし正しく怖がることが必要だ。人類の臆病さに付け込んで一儲けを企む人は決して少なくない。怖いものについて私はマスコミとは随分異なった評価をする。
 残留農薬も食品添加物もBSE(狂牛病)も怖くない。これらによる被害者は、中国製冷凍餃子事件のような人為的混入以外、国内に一人もいないだろう。むしろ豚の生レバーのほうが怖い。私は豚しゃぶでさえ食べようとは思わない。これらよりずっと怖いのが薬だ。薬による被害者は無数にいる。特に精神病薬に至っては、治療された人よりも悪化させられた人のほうが遥かに多いだろう。かつて大騒ぎをしたダイオキシンや環境ホルモン、あるいは正規の料理人が調理したフグなども怖くない。
 癌よりも癌治療のほうが怖い。どれだけ早期発見をしても、本物の癌であればその時点で既に転移しているらしい。だから癌が見つかっても必要最小限の治療しかせずに放置しようと思っている。抗癌剤など使いたくない。むしろモルヒネなどによる苦痛の緩和だけに徹したい。
 私は水道の水を冷やして飲む。海外ではミネラルウォーターしか飲まないが国内では水道水で充分だ。水道水の品質は昔より遥かに高まっておりわざわざミネラルウォーターを購入する必要は無かろう。
 エスカレータで事故があればマスコミは大騒ぎする。逆走など明らかに利用者側に非があってもエスカレータに欠陥があったように報じられる。私はエスカレータで事故に遭った人を一人も知らない。その一方で階段から転落した人なら大勢知っている。階段事故のほうが桁違いに多いだろう。
 自転車は怖い。田舎暮らしだから電車を使えず毎日自転車に乗っているが、今日こそ事故に遭うのではないかといつも怯えている。道路交通法も碌に知らない小学生にこんな危険な乗物を平気で使わせている親の気持ちが理解できない。
 消毒が怖いと知ったのは割と最近のことだ。消毒すれば病原菌だけではなく善玉菌まで殺してしまうし細胞膜を破壊する。一旦更地になってしまえばあとは早い者勝ちになる。運が悪ければ大量の病原菌が繁殖する。
 イラクのフセイン政権は決して良い政府ではなかっただろう。それでも無いよりはマシだった。権力が崩壊したあとに蔓延ったのはIS(イスラミックステート)だ。青大将を追い払ったらマムシが現れたような話だ。私は中国共産党が大嫌いだが、共産党が崩壊したらどんなことになるかと想像すると怖くなる。犬が去ったら豚が来た(狗去豚来)の再現にはなってほしくない。