俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

株価

2015-12-02 10:15:29 | Weblog
 決して熱心に取り組んでいる訳ではないが、知恵の遊びと小遣い稼ぎを兼ねて株取引をしている。私のやり方は典型的な逆張りだ。「人の行く裏に道あり花の山」がモットーだ。安値になれば買い、高値になれば売る。先日来の中国バブル崩壊疑惑による世界同時株安は「買い」のチャンスだった。目を付けていた数社の株を当初の思惑よりも随分安く買い付けた。
 私は売りも買いも一歩遅れで良いと考えている。底値で買ったり最高値で売ったりしようとは思わない。底値よりも後で買い、最高値より後で売る。遅れる分だけ儲けは減るがそれで充分だと考える。私がこんなスタンスを採るのは長年外貨預金をしているからだと思う。為替相場に一喜一憂することなく、長期的予想に基づいて取引している。
 これまでで一番失敗した株はNTTだ。初心者の頃に、そろそろ買い時と思って買ったがその後低迷して先日ようやく売り逃げをした。長い間、含み損を抱えていたが何とか損をせずに済んだ。
 熱心に株取引に取り組んでいる人には怒られそうな表現だが、暴落はバーゲンセールのようなものだ。群衆心理と不安から投げ売りが出る。私はそれを拾いに行く。群衆心理は偏り易い。マスコミが煽ればすぐにそちらに傾く。加工肉が危ないと騒げばヒステリックに反応する。しかし株が面白いのは制御不可能なことだ。日本のマスコミは勿論のこと、あの人民を思いのままに操り、北京に青空を甦らせる神通力を備えた中国共産党でさえ株価だけはままならない。株価の売買においては個人の思惑が独裁権力をも凌駕する。
 中国共産党は傲慢だ。世界を意のままに操ろうとする。国際秩序も国境も、更には歴史まで勝手に変えようとする。彼らでさえ操縦できないのが株価だ。私はこのことに個人の自由を感じる。従順な子羊である日本人も株取引では自らの意思を表明する。株の取引は売り手と買い手があって初めて成立する。同じ瞬間に売りたい人と買いたい人がいなければ取引は成立しない。多様性が必須だ。合意に基づいてのみ成立する株取引は非常に民主的な仕組みだ。権力主義者にとっては忌々しいシステムだろう。

修復

2015-12-02 09:39:25 | Weblog
 機械には自己修復機能が備わっていない。だから故障をしたら修理をせねばならない。昔のラジオやテレビなら叩いた拍子に直ることがあったが、現代の複雑な機械を叩いても故障箇所が増えるだけだろう。だから修理が不可欠だ。ところが動物には自然治癒力が備わっている。軽い怪我や病気であれば治療などしなくても勝手に治る。
 これまでは自然治癒力が軽視され医療が過大評価されていた。例えば傷には消毒という治療が必要と思われていた。ところが消毒が実は有害であり却って傷を悪化させることが明らかになり、今では水洗いが奨励されている。消毒という間違った治療をしても自然治癒力が治してしまうから、それが間違いであることが気付かれなかった。
 コンピュータが勝手に更新作業を始めることがある。「Windowsの準備をしています コンピュータの電源を切らないでください」と表示される。この画面のまま延々と待たされていれば我慢できずに電源を切りかねない。
 自然治癒力が働いている時の人間の体はこの状態に似ている。不快感が病気の症状なのか自然治癒力の発動に伴う一時的な不快なのか区別できない。我慢が嫌いな人や無知な人は対症療法薬を使って自然治癒力の妨害をしてしまう。
 症状と思われていることの大半が実は自然治癒力の発動だ。発熱は、熱に弱い病原体に対する攻撃であり、下痢や嘔吐は有害物を体外に排出するための積極的な対応だ。これは未だ定説ではないが、腫れも自然治癒力の発動だと思っている。腫れることによって血流が増えて患部が治癒される。腫れを防ぐために行われているアイシングは、試合中のボクサーの顔面以外には使わないほうが良いと思う。腫れれば治癒が促される。
 パソコンの自動更新において「○%完了」と刻一刻表示されれば安心して待つことができる。人体の修復ではこんな機能が無い。だからついつい対症療法薬に頼り勝ちだが、対症療法薬は治療薬ではない。もっと自然治癒力を信じるべきであって、自然治癒力で治せない時に初めて治療を行うべきだろう。自然治癒力の手に負えない病気や怪我であれば人為が必要になる。
 歯には自然治癒力が働かない。動物に虫歯は殆んど無いから歯を自然治癒する能力など必要無い。人類だけが虫歯に苦しむ。これは農業を始めて以来、炭水化物偏重という奇妙な食生活を始めたことが原因だろう。原因はともかく、歯には自然治癒力が働かないという現実があるのだから、歯だけは人為的に治療をしなければ治らない。痛みを我慢していても悪化する一方だ。