神田 新八で、旨い酒を飲んだ゛。
齢を重ねて、日本酒を旨いと感じるようになったのは幾つからだろうか?
手作り家作りを始めて、かの地の永井酒造 "超辛純米谷川岳"を得てからでは、なかったか・・・・ それから、大方の日本酒に醸造アルコールが加えられ、本来の味を薄められたものであった事などを知る。 純米酒でなければ飲用酒とは云えず、また独特の後に残る嫌な味が、どうやら醸造アルコールに其の一因があるのではないかとも思い至ったのだ。
"竹林" "獺際" "加賀鳶" "黒帯" "神亀" "新正" "水芭蕉" "鮎" "天狗舞" "白鷹" "田酒" "八海山" "酔鯨" "男山" "諏訪泉" まだまだある。
良心的、誠実な酒造りを進めている造り酒屋は、いま確実に増えている気がする。
冷酒だけでなく、燗酒とりわけ、ぬる燗酒の旨みを教えてくれたのは、神楽坂にある"伊勢藤"である。 ここは、ひたすら旨い酒を飲む為だけにある場所である。 銘柄は"白鷹"一本遣り。 ひたすら酒に集中する為か、ほの暗い店内で、店主一人、赤々と点した囲炉裏の熾き火で、燗付けした辛口の酒を供するのである。 日によって替わる炙った小魚や漬物等は心憎いほど酒の肴なのである。 数人で訪れた客が酒の酔いも手伝い、ちょっと声高な話し声を立てるや、店主の"お静かに!!"の一喝を喰らうことになる。 "酒は静かに飲むべかりけり" の張り紙が鮮やかだ。
神田 新八 では、神亀三年貯蔵酒をぬる燗で、 トコブシ、鯛、鰹のお造り、焼き鳥4種 の肴も旨かった。 生活のダウンサイジングが必須な筆者には、そうそう通えない値段ではあるが、旨い酒と肴にありつくには、この位はと思わせる店であった。
もう一軒、居酒屋で忘れてはならない、名店がある。 "虎ノ門 升本"である。 財布にやさしく、間違いなく旨い日本酒を出してくれるのである。 ここを訪れるとサラリーマンが間違いなく喜ぶ場所であると思える。 スーツ姿の親父達の熱気に圧倒される光景である。 独り3000円もあれば、充分な肴と純米酒が味わえるのである。 ここで、色々な全国の地酒を飲み比べ味比べで、舌を鍛えたものである。 升本とはもともと、此処の道路向かいにある酒卸し商の店名である。 ここの唯一の直営店が "虎ノ門 升本"である。 同様の升本名の居酒屋を見かけるが、それは 卸商店が酒を卸すと同時に升本名を貸与しているらしい店であるらしい。 一度は訪れても良い店では・・・・