




筆者がパートタイムで果樹園(主に林檎、葡萄の栽培)作業に従事している農業会社で、パートタイム社員同士の時給格差の不合理について提訴した報告第3号です。
決裁権限のある副社長との面談が実現した。
副社長は村営公社時代から既知で、我が苫屋で催した呑み会にも参加したことがある。
面談当初から、当方の言い分について既認識の様子だった。
4点の不合理について文書を提示して説明した。
人手不足で困惑の末の新規募集だったこと、報酬の乖離と不合理は認識していたこと、説明と対話が足りなかったこと等謝罪された。
3か月の総報酬の乖離を具体的な数表にしたことが奏功したこと、その他項目についても全く異議が無いこと等を認識していただいた。
5月6月7月の稼働実績から、時給900円より下回らないようにボーナス支給するとの回答を頂き了とした。
加えて、以下2点の提案をした。
これにも前向きな提案だと評価いただいた。
社長への報告と社会保険労務士への問い合わせをして検討を進めたいとの意向だった。
今回の時給35円差額の不合理解消についての総括
後日、現場責任者へ面談結果を報告した際、言われたことが象徴的な総括だろう
不合理なことを黙ってないで普通に話せる会社、風通しの良い会社になる契機になればと、そんな意味で筆者の行動に感謝したいとのことであった。
昨年のサクランボ、林檎の不作もあり、正社員にはボーナスも賃上げも無い現実である。
労働組合もない小規模、発足間もない会社であり、現場の社員にとっては意見具申の場も雰囲気もない現状に閉塞感は募っている様子である。
筆者の行動の目的も、この若手社員達の奮起を促す契機になればとの思いも有ったので、彼等からの評価は嬉しいものであった。
後日、社会保険労務士からの回答で、キャリアアップ助成は有期労働者を対象とした制度の為に当社の雇用形態である無期雇用労働者には適用されないとのことであった。 有期雇用と無期雇用の違いや税制や社会保険の扱いなど、制度や法律が判り難く専門家のサポートがどうしても必要なのかと・・・。
経緯
3か月短期限定雇用の条件で作業員募集 時給900円
10年~5年のベテランパート従業員の時給は865円
ベテランが865円で新規採用者が900円と35円の格差は、合理的とは言えない。
作業内容は摘花や摘果、袋掛けなど集中繁忙期の作業要員であるが、長期ベテラン作業員と同じであり、且つ現場作業ではベテランパート作業員の指導のもと作業することになる。
同一労働同一賃金の原則や、作業能力低い新人の方が、報酬賃金に格差があるのは理解できないとして、現場作業主任を通じて説明を求めた。
結果、以下4点が時給格差の理由だと口頭説明が有った。
1ベテランパート社員にはボーナス支給
2長期雇用保障
3社会保険(雇用保険)加入
4査定によりボーナスの増額
中途半端な気分で帰宅後、一つ一つ検証を試みた。
結果
Ⅰベテランパート社員にはボーナス支給
年二回5000円ずつ昨年度から支給された。
時給35円の差を基本にシュミレーション(下表)
3か月限定雇用者の方が、既パート社員にボーナスが出たとしても高額報酬となる。
人によっては月80時間~100時間勤務する。この場合2か月未満で時給900円の方が高額となる。
ボーナス支給されているからと、時給が低い事の理由とはならない。
900円時給で3か月と865円時給で3か月+5000円賞与との総支給額比較
月稼働時間 |
60H |
80H |
100H |
140H |
時給865円 |
160700 |
212600 |
264500 |
368300 |
時給900円 |
162000 |
216000 |
270000 |
378000 |
差額 |
▲1700 |
▲3400 |
▲5500 |
▲9700 |
2 長期雇用保障
3か月雇用終了後、再度募集掛けたら再度採用は無いのか
既パート社員も、雨が降ったら休業、作業が無かったら休業、農閑期休業等で勤務保障されている
わけでは無い。 逆に会社にとっては長期稼働要員確保のメリットが多く優遇すべきでは?
3 社会保険(雇用保険)加入
雇用保険は原則、会社が従業員全員に対して掛ける義務のある保険である。
(31日以上勤務、週20時間以上、学生でないことの条件)
社員側も半額支払いしている事を含めて、時給に差をつける合理的理由にならない。
4 査定によりボーナスの増額
誰がどのような基準で査定するのかが明確でなく、現実に就労現場に社員が立ち会っているわけでも無
く、自律的に作業している現実である。
例えボーナス査定で増額が有るとしても、時給アップより支給総額が多額になる保証はない。
又、増額無い人は短期雇用新人より収入額は低いままであり、時給差が認められる理由とはならない。
以上、4点の説明のどれについても合理性が認められないとして、作業主任へ伝え明確な回答が得られる副社長への面談を求めた。
同時に、厚生労働省 県労働局総合労働相談センターへ電話相談した。