これは、まだ一週間も経っていない、ある朝の話だ。
毎日のように通う牛丼屋に、いつものように入店して朝飯を食う、これがオレの日課でもある。
だいたいその店には平日の朝7時前後に入店するため、顔なじみのヤツもいれば、飛び込みの存在など、だいたい一目で判断できるぐらい毎朝食べている。
むしろ店員より常連の顔を知っているかも知れないぐらいなのだが、この日は、異様な雰囲気が入店するなり感じていた。
「・・・・・ん、なんだこの感じ?」
食券を買いながら店内に目をやると、いつも汗だくのオヤジが定位置とする席に、ハタチ前後の女性が一人で座っていた。
ボチボチ混んでいたこともあって、オレ自身もいつもの席周辺に座れず、その彼女の斜向かいになるようなカウンター席に座った。
いつもはオッサンか作業員風の男女しか入店しないこともあるが、若い女性が一人で牛丼を掻き込んでいれば、目立たないわけがない。
それに、とにかく彼女の放つオーラ的なモノの空気はハンパ無かった。
しかし、よほど腹が減っているのか牛丼が好きなのか分からないが、顔を突っ込むようにして丼をテーブルに置いたまま、箸だけが動いている様子がなんとなくおかしかった。
そしてオレのオーダー品が届いた頃、やんわりと茶髪に染めてポニーテール(先2つ分け)にした髪の女性が顔を上げる。
失礼ながら、顔を拝見してしまったのだが、一瞬我を失いかけたことを今でも強烈に記憶している。
「(げぇーーーーーーー、高橋みなみ氏か??)」
ホントに驚いたが、TVで観る同氏と顔はクリソツだった。
ほぼノーメーク調ではあったが、その風貌はまさに本人と読んで差し支えない雰囲気であった。
いやーホント失礼ではあるが、オレもチラチラ見ながら朝飯を食べていたが、どうみても顔は高橋みなみ氏にか見えなくなってきた。
だが、冷静に考えれば本人であるわけもないワケで。
「(いや待て待て、アイドルが一人で、こんな千葉のド田舎にいるわけないし、そもそも一人で牛丼を食っているわけがない)」
「(それに彼女であれば、ほっともっとで弁当食うやろ....)」
彼女が出演していたCMまで引き合いに出して冷静に努めたオレ。
オレ自身が食べ終わる頃、彼女も食べ終わりそうなタイミングで、30歳前くらいの男3人組が入店する。
談笑しながらオレの真後ろのテーブル席に着く彼らだが、オレの見立てでは、そんなに来店する連中でない。しかし、
「あれ、たかみなジャね??」
・・・・と、ヒソヒソ話をする彼ら。
それが聞こえたのか聞こえなかったのタイミングで、たかみな風の女性は、トイレに入っていった。
オレ以外にも、そう見えていた人がいたワケだが、きっと同じ時間帯で食べていた客の何人かもそう見えていたに違いないことだろう。
オレもほぼ同時に席を立ったので、その後については不明であるが、とにかくこれはビックリした出来事となった。
いつもは目をこすりながら入店し、爪楊枝をくわえながら退店するオレであったが、この日は、目玉が顔から落ちないようにハンカチで目を押さえながら退店したさ。
今考えても鮮烈にその出来事がフィードバックできるが、ホントに冷静に考えれば、彼女であるわけがないワケで。
嘘のような夢のような出来事であったと言うことにしておこう。
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