オレには、年に二回前後、不定期だが飲み会を展開している同級生のグループがある。
(実に20年以上の付き合いとなる結構ディープな仲間たちだ。)
飲み会の度、いっつも同じような話をしているのだけど、歳のせいか、それでも毎回楽しいと思っているので参加している。
そもそも、オレを飲みに誘ってくれるような人たちなんて今は全くいないこともあって、こうした会合は人恋しいオレにとって積極的に参加している。
つい先日もその飲み会が行われたのだが、前回開催から間髪あけずに再度飲み会開催の連絡が入った。
もちろん、それを断る理由も無かったから、素直に快諾。
だけど、もともと集まりの悪いメンバーなので、幹事と本当に酒が好きなメンバーだけの少人数が集合することになった。
その前回の飲み会と異なることは、あまり幹事役に手を挙げない人が主催したのだけど、いつも飲み会をやるエリアではない場所、かつ、あまりやらない居酒屋で行われることだった。
そのエリアは、個人的に自宅からかなり近いし、開催時間もオレに合わせてくれたような頃合いでスタートするとのことだった。
もっと言えば、オレ個人も年に数回程度だけど、ちょっと顔を出すような大事なお店で開催するとのことで、ちょっと嬉しかった。
つまり、いつも以上に飲んじゃうかもしれないと考えながら楽しく参加することになる。
当日、会も時間通り、そして順調にトラブルなく進む。
で、飲み会開始後の丁度3時間くらい経った頃だ。
その幹事の動きがどうにもおかしいことにオレは気づいた。
彼女は勝手に一度精算してみたり、参加人数を調整させて伝票を用意するよう店員に指示していたりしたのだ。
もうそこでオレはピーンときた。
そう彼女は、飲み会を自ら主催した理由として、この店で「覆面調査」を行っていたのではないかということだ。
その後、本人に直接聞いたところ、その予想は正しく、否定もされなかった。
覆面調査でいくらの報酬をもらえるのかは知らないし、そんなことどうでもいい。
自らの報酬を得るためだけに、みんなを集合させ、みんなに金を使わせたことが、むちゃくちゃ悔しかった。
しかも、オレ個人が大切にしているお店の一つで、覆面調査の片棒をオレ自身も担いでしまったことが、ホントに悔しい。
今度、どの面下げて、マスター以下スタッフに会えばいいかわからないし、調査をやってたなんて口が裂けても言えないこと。
覆面調査の目的があったのなら、最初からみんなにそう言えばいいし、オレもほかの店で飲み会をやるように進言してたわ。
(ほかにも候補となる店ぐらいあったでしょうよ。)
また、覆面調査における報酬分の一部でもその場でフィードバックしたなら、もう少し考える余地もあったが、それすらなかったのも残念なこと。
言葉は悪いが、その幹事役だった彼女については、自分のために平気で仲間を売れる人なんだなと悟るしかなかった。
一旦飲み会を締めた段階で、その事実を知らぬ仲間達は、まだまだ飲むつもりだったようだが、オレはもう一瞬で酔いが冷めてしまったというのは言うまでも無い。
知らないことが幸せだということか。
PS
思い返せば、彼女が幹事だったときは、過去にも思い当たる節がいっぱいあることを思い出した。
女性ってそういうことを普通にできる「したたかな」行動力を持っているのか思うと、長い付き合いだっただけに、余計悔しいし悲しい。
勿論、全ての女性がそうでないことは百も承知なのだが、やはり知らぬが仏なのだな。
そうした様子の女性の姿をマジマジと見せられたような気がして、相当なショックを受けている。
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