【前回は6作品だったけれど】
今回は評論第二弾として最近読んだ5作品を勝手に評価する。
生意気にもコロナの影響もあって仕事が忙しかったこともあって、およそ1か月で5作品しか読破できなかった。
そのため、読書については、たまに息抜きで立ち寄る居酒屋で読み込むだけだったので、読むペースは前回と違ってかなり遅いのは正直否めないところだったが、まあきちんと整理するためにも記録は残しておこう。
【まずは実績ベースから】
前回も読破したと紹介した豊田巧氏の作品をぶっ続けに3作品紹介したい。
この方、どうやら年頃の女性を主人公、または重要なポジションにするのが得意みたいなのが、ちょっとモヤっとするのだけど、伏線云々というよりも読みやすいので引き続き読むことにしたんだ。
ミステリーというよりも、鉄道関係の知識やうんちくを知りながら読めるのでテッチャンに馴染みやすい。
しかし今回はもちろん架空ベースだが、結構緊張感あるストーリーの3作品を紹介する。
「鉄警ガール(角川文庫)」
豊田 巧 著 72
クセ強めの真面目系の新採さんが新宿駅の鉄警として痛快かつ奮闘する物語。
もちろん主人公は、女性だ。
短編集だが、一巻読み切りで連作になっているため、伏線はそれぞれまたは最後に回収される。
鉄道好きではなくても読めるけれど、こんな世界もあるんだと思えば楽しめる作品だった。
「警視庁鉄道捜査班”鉄血の警視”」
豊田 巧 著 68
「警視庁鉄道捜査班”鉄路の牢獄”」
豊田 巧 著 68
警視庁に鉄道関係専門の本庁付部署があったらという架空の設定だが、その他鉄道関係の情報についてはリアルな事件や事故から引用して派生させているので、イメージがつきやすいがちょっとモヤモヤしたのも事実。
主人公は、その鉄道捜査班の面々がそれぞれ活躍するので誰がどうというのは無い。
ただ、どちらの作品も今の政治や世相に作者が何か物申しているような気がして、ちょっと後味がね・・・。
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【以下、そのほかネットから得た情報によって購入してみた作品】
「家守」
歌野晶午 著 75
短編推理モノが5作入っていて、それぞれ読み切りで連作ではない。
タイトルはその中の1作の題名である。
個人的には、3作目の「埴生の宿」と4作目の「鄙(ひな)」という作品が衝撃だった。
どの作品もトリックというか結末が、独特の描写であるため、読み進めてゴールが近づくと様々な感情が刺激される。
なお、歌野晶午氏らしくない結末だったのが「家守」だったような気がする。
それは、ちょっと展開とトリックが強引だったように思ったからだ。
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【今回の最優秀作品を紹介】
「葉桜の季節に君を想うということ」
歌野晶午 著 99
初めに言っておこう、この作品は多くの人がもう一度「最初から」読むことで(矛盾がないか)確認してみたくなる作品であることを。
ちなみに終盤、読み進めていくとカサブタが剥がれていくようにポロポロと「え?え?どういうこと?」というシーンが断続的に登場して、最後の最後に「えっ??そういうことなの??」という感じでタネが明かされる。
タネが明かされる・・・というか、最後まで完全に読者が騙されていたに違いないんだよね。
「そうか、確かに一度もそれについては言及されていないわ」と誰もが納得しなくてはならないのだ。
これってジグソーパズルのピースが嵌っていくという展開ではなくて、今までじっくり焼いてきたお好み焼が最後一気にひっくり返されて、それをみんなで食べるという結末なんだよ。
まさに、もんどりうってふんぞり返ること必至。
もうズバリ言おう。
オレの中では、今まで読んだ中のミステリー小説でナンバーワンと呼べる作品だと思う。
絶対に読んだ人の多くが、こんな展開のミステリー小説こそ完璧かつ完全なる名作だと呼べるはずなのだ。
だけど、誰もがこの作品の実写化を見たことがない。
要はそれこそがタネであり、キモなのだ。
この手の作戦は、一度きりしか使えないが絶対に今まで盲点だったタネだよな。
ちなみになぜ、個人の勝手な採点が満点ではなかったのかは、主人公のプロフィールを振り返る長いシーンで「とある職業の内偵」をしていた展開があるのだけど、これってどうしても大きく本編と結びつかないと思ってしまったからだ。
とはいえ、数々のミステリー賞をも受賞している超名作であることに間違いはないし異論もない。
当然、オレからも超おススメの作品であり、絶対に多くの読者さんに読んでもらいたいですねぇ。
(これ以上のミステリー小説に出会う気がしないと思うくらい・・・だよね。え?遅すぎますかww)
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