【裾は狭く、根は深く】
本屋・・・とはいっても自分は新刊を手に取って買う場合、全国展開している書店の「くまざわ書店」にしか行かない。
これは、自分の行動範囲に多くの店舗が存在するからだ。チェーン店の強みもあるのだろうけれど、偶然にしては出来すぎているほどだ。
たとえば県内では柏、蘇我、八千代台といったところに多く出没している。
なお、古本のほとんどはブックオフで調達している。
昔からよく利用していたが最近は、店舗受け取りなら送料も無料なので全国展開している強みもあって、まず探したい本はここで見つけたり、ネット経由で発注することにしている。
つまり、気分的に飛び込んだ「くまざわ書店」でしか新しい本の出会いはほぼない現状なんだ。
【まずは本屋で見つけた一冊】
大きく脱線したが、本題に。
最近本屋で見つけたのは、タイトルだけで買ってしまった一冊(2冊)になる。
「駅に泊まろう!/駅に泊まろう! 2 コテージひらふの早春物語」
豊田 巧 著 75
こちらは、主人公のある場面を切り取ったシーンが描かれたもので、ミステリーものではなく「THE物語」だ。
特に感情など揺さぶられることなく読み物として物語を読み進んだが、嫌な感じもせず読み切ることが出来た。
腰を据えて読むよりは、旅行の移動中とかに読んだら旅情も重なっていいかもしれないと思った作品。
鉄道好きではなくても読めるけれど、鉄道好きならちょっと面白みが増すことだろう。
【ネットから得た情報によって購入してみた5作品】
「イニシエーション・ラブ」
乾 くるみ 著 65
どこかのだれかがオススメのミステリー作品だと書いてあったので、古本屋から入手して購入したのだけど、読んでみたらゴリゴリの物語だった。
主人公かつ主観対象の冴えない青年がひょんなことから自身の成長とともに様々な人生経験を積んでいくというストーリーになっていて、とても女流作家とは思えない書き筋は面白かったかな。
ただし完全に男目線で社会人たる行動、身勝手な行動など描写されている場面を切り取って表現しているものの、自身の経験と重なるところが一切ないので、主人公に感情移入できずモヤモヤッとしたまま物語は結局終わってしまった。
たしかに一行一文で手の平が返る転調になるものの、ミステリーではない。
作者が伝えたい意味はわかるが意図はイマイチ読み切れないというのが正直な気持ちだったかな。
「リラ荘殺人事件 改版」
鮎川 哲也 著 60
こちらも誰かのオススメミステリー作品だということで購入したが、昭和時代のストーリーかつ独特の言い回し、外国文学や絵画の知識を問う場面に読者が置いてけぼりになってしまう。
なおかつ登場人物があまりに多く、中盤以降も新規で参戦があるから超煩雑。
しかも新参者がガチでストーリーに絡んでくるから整理が難しくなる。
また、主観が定まらず作者側の誘導もあるから、読んでいてどこに読者の立ち位置を置いておけばいいかも疑問だった。
このストーリーがかつて評価されたのは、斬新なトリックと結末を迎えたからだけに過ぎない。
警察がこれだけの殺人が起きるのに第三者に救いを求めたりと非現実的な展開は、これだけのトリックがあったから最後まで読めたが、展開そのものには萎えたためこの評価とさせていただいた。
「火の粉」
雫井 脩介 著 78
この作品が素晴らしいのは、いつの時代で読んでもリアルな感覚があるということ。
そのうえ、本当に最小限の登場人物でストーリーを完結させ、結末があまりに衝撃的で見事な伏線回収までなされているなところも評価できる。
それなのになぜこの評価点にしたのかは、中盤で表現されている家庭のある生活場面を切り取った箇所があまりに長いからだ。
見る人が見ればそれは「丁寧」なのかもしれないが、自分にはそこがムチャクチャくどいように感じたため。
でも、ミステリー好きならこの作品は必ず通る必要があるだろう、名作だ。
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「アヒルと鴨のコインロッカー」
伊坂 幸太郎 著 83
冒頭の時間軸と主観軸をしっかり整理しておかないと、後半に入っていくところでゴチャついてしまうから注意。
それは一定の登場人物が出そろったところから、急にストーリーが加速するからだ。
でもこの作品の展開は、一般的なミステリーに全くないものなのに斬新かつ読みやすい。
それでいて期待を裏切るのだから面白い。これも名作だ。
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【今回の最優秀作品を紹介】
「ハサミ男」
殊能 将之 著 92.5
ありがちなミステリーとして、最も近しい人が実は犯人でした的なものが散見されるが、この作品は、もっともっと近しい人が舞台となって作品を掻き回すから非常に面白い。
あまり語るとネタバレになってしまうので、ここらでやめるけれど登場人物が少なく、リアルな表現、主観側の行動や思想が事細かに表現されているのもいい。
また自然な流れで種が明かされるかと思いきや自分も「えっ?」と声を上げてしまうタイミングにも感服。
まさに完璧なミステリー作品といっていい。
じゃあなぜこの評価点なのか?
複数軸あるうちの1軸側の犯人が、自分は中盤で分かってしまったからだ。
ミステリーに敏感な人なら5分の2くらいの時点でそれが分かる犯人の言動が登場してしまうらしいので、その辺の箇所だけ気を使っていただいたら、超完璧なミステリー作品だったことだろう。
でも超名作であることは間違いない。
超おススメだ。
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