【今回は5作品をイッキ読み!】
今回は評論第八弾として最近読んだ5作品を勝手に評価する。
今回は歌野晶午作品3つ、殊能将之作品2つを読書感想文として紹介しよう。
「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは(2016年11月 KADOKAWA)歌野晶午 70」
この時代に多く発表されている短編集。
最近の話題やテーマが取り込まれていて面白かった作品もある。
だけど、いつもの大オチが待っていたりと残念な顛末もある。
差が激しいこともあって、この評価とさせていただいた。
|
「間宵の母(2019年11月 双葉社)歌野晶午 55」
珍しく系統が違う作品。
ファンタジー全開で歌野氏ワールドは炸裂せずの印象だった。
結末がわかってくる終盤手前、伏線回収作業が辻褄合わせにしか感じられなかった。
だけど、読めるには読める展開なので、たまにはこんな作風もいいのかも。
|
「黒い仏(2001年1月 講談社ノベルズ)殊能将之 68」
「賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作」だという触れ込みの作品。
名探偵「石動戯作」シリーズの第二弾になる。
中盤手前まで、ワクワクするようなミステリー全開の結末を期待していた。
ところが、その中盤手前でこの作品の全貌が見えた頃、そこで一気に興ざめしてしまう。
でも話の展開的に飽きずに最後まで読み切れるのは、作者の展開させるイメージがそうさせていたのかも。
だけど、最後の最後までモヤッとするところは、たしかに賛否あるところだろうと思う。
|
「鏡の中は日曜日(2001年12月 講談社ノベルズ)殊能将之 70」
名探偵「石動戯作」シリーズの第三弾。
密室殺人を特徴的な別角度で暴こうとするところは単純に面白い。
しかし、ところどころ「アンフェア」なトリックで萎えるかもしれないよな。
だけど、前作よりはファンタジー感もなくてズルくない展開かな~と思うので、こんな評価に。
あと、大オチが最大のトリックになっているのだけど、ここも含めてアンフェアなのかもな。
でも、ここの作品のフリがあるから、この次作につながるので大きなキーポイント的な作品ではある
逆に言えば、今後の作品を読む場合は、この作品を読まないと面白み半減するので注意が必要ともいえる。
「樒(しきみ)/榁(むろ)(2002年6月 講談社ノベルズ)殊能将之 72」
文庫本では、前作の「鏡の中は日曜日」に同時収録されている。
なぜ同時収録されているのかは、ちゃんと意味があるのは上述のとおり
「樒」という作品と「榁」という作品の2部作。
名探偵「水城優臣」シリーズの中編という扱いになっているもの。
それぞれ単独作品だが、本編中の本編「鏡の中の・・・」を踏まえて読まないとオチ中の落ちが面白くない(笑)
なお、樒と榁という作品もつながっているし、「鏡の中の・・・」にもつながっているところは面白い。
ただし、作品自体はライトなつくりになっていて、トリックも実にライト。
バックボーンを踏まえて読むのがこの作品の楽しみ方だ。
|
【今回のMVPは?】
「明日なき暴走(2020年10月 幻冬舎文庫)歌野晶午 81」
今回のMVPはこの作品。
結末はさすがのTHE歌野ワールド炸裂でドキドキしたなぁ!
だけど、歌野氏作品にまれにある導入までの助走問題がある。
これに、どこまで耐えられるかがカギ。
今回の作品に関しては、ちょっとぎりぎりだったかも。
それ以上長かったら、ダレて読まなかったというレベル。
でも、それを乗り越えれば、本格ミステリーへの展開が待っている。
まあ、結末と主人公の将来はなんとなく見え隠れしていたけどね(笑)
(しかし、さすがの取材力も感服。マスコミの奥深い世界まで丁寧に調べていらっしゃるのはさすがよ!)
|
(↓↓どれかひとつのバナーで結構ですのでクリックしていただくとありがたいです!励みになります↓↓)