アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

三木さんのブルーベリー

2012-08-12 15:20:49 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
    4年前栽培に取り組み、今年初めて、少しだけ販売に踏み切った三木さんのブルーベリー。大粒で甘くてみずみずしい果実です。グリーンママンの5周年朝市のとき、アンティマキの商品と一緒に初お目見え。ブースに立ち寄り、この粒を見た人はみんなその大きさに感心しました。

    この夏、私は友人や知人にこのブルーベリーを贈りました。贈った相手からは、「おいしかった! 大きいので大味かと思ったら全然そんなことなかった。うまみがある」と、異口同音に喜ばれました。

   さて、その生産に携わっている三木雅樹さんと、彼の妻の和子さんとは、彼らがこちらに移住してきた5年ほど前からのつきあいです。文字通り苦労が実っていい粒ができ、食べた人から「すばらしい」とほめられると、私は自分のことのようにうれしくなります。

   三木さんの畑は野入町の2つの場所にあります。2つあわせて9反7畝。そこに、ブルーベリー700株ちょっと、カシスは90株ほど、ブラックベリーも60株以上植えていて、今年はあらたに、クランベリー40株の栽培をはじめました。

   ブルーベリーだけでなく、小さな果実をいろいろ、実験も兼ねて育てているのです。いわば、スモールベリーの農園。赤や紫色のかわいらしい実が畑のあちこちで実っています。

   山側にある畑ではルバーブも栽培していて、どの作物も、ジャムにして販売もできるものばかりです。ジャムは、奥三河Three trees+のメンバーである和子さんが製造。まだ数はわずかですが、Miki-Co-Laboのコンフィチュールとして売り出しています。

   畑を見回る雅樹さん。大学でも大学院でも雑穀の研究をしていた彼は、卒業後、第三世界への農業支援に先立って行われる、現地調査の仕事に従事していました。調査よりも農業技術そのものを習得したくて脱サラを決意。親しんでいた雑穀の栽培を手がけたかったのだそうですが、それだけで生計を立てるのは難しいため、果樹を選びました。
 
   果樹の中で、とくにブルーベリーを選んだのは、比較的手間がかからず、農薬の使用も少なくてすみそうだったから。日本ではまだ専業の農家が少ないことや、生果だけでなく加工して販売できるところも魅力でした。 

   「岡山や長野など、いくつか候補地があって迷ったのですが、道の駅の直売所が近くにあり、市街地にもさほど遠くないので市場性がいいと考えて、ここにしました」

   ただし、稲武は雨が多く、借りた土地のほとんどは休耕田だったこともあって、水はけがいいかどうかなど、心配なことは多々ありました。

   「実際にはじめてみて、同じ品種でも1本は元気に育ち、隣は調子が悪いということがあったりします。悪くなった原因をいろいろ考え、できる手当てはして、とにかく今は様子を見ています」

    下の写真手前左の木は大きく元気に育っていて、新しい枝もぐんぐん伸びているのに、隣の木は同じときに植えたにもかかわらず、生育が悪く、新しい枝もあまり育っていません。

   三木さんの畑のアイドル、ヤギのメイちゃん。数ヶ月前から、少しでも草刈りの手間が省けるならと、飼いはじめました。動物好きの雅樹さんにとっては、畑仕事の合間、こころ慰む相手でもあるようです。

      ブルーベリーの天敵のひとつ、アカバチを捕らえるためのトラップ。日本酒や砂糖、酢を入れて誘引します。今年は昨年より早めに設置し、数も増やしたので、アカバチの被害が少なくてすんでいるそうです。

   昨年あらたに増やした畑。4年前植えたのは冷涼な気候にあうハイブッシュ系でしたが、こちらは暖かい地方でよく育つラビットアイ系。勢いのよい木々が整然と並んでいるようすは、壮観です。

   山側にある畑。人工林と雑木林に囲まれた静かな場所にあります。

   でも、すでに枯れた木も。昨年はかなり元気だった木だそうです。「こういうことが突然おきるから、自然相手の仕事はわからないことが多い。果樹栽培にはつきもののできごとなのかもしれません。木は突然枯れたように見えても、翌年息を吹き返すこともあるので、植え替えようかどうしようか検討中です」

   大きな毛虫がいました。「見つけたらつぶす。とにかくいまはそうしています」

   コガネムシもブルーベリーの害虫です。今年は市販のトラップをつけました。なかにはコガネムシがごっそり。

   ハクビシンやアライグマ、イタチ、ウサギ、ニホンカモシカ、イノシシと、このあたりは害獣もけっこうやってきます。昨年は電柵を張り巡らしていましたが、あまり効果がないので電柵は取り除き、網を張って、下から動物がくぐらないよう大きな石をおきました。

   「今年初めて販売してみて、収穫の技術の難しさを痛感しました。ブルーベリーは、軸が色づき、軸の周りが膨らんでいるころがおいしい、といわれているのですが、それがけっこう難しい。おいしいだろうなと思ってとってもそうではないこともあります。本当においしい実を食べて頂きたいと思ってちょうどいいときを待っていると、虫にやられてがっかりすることも」

    ところで、三木さんは、すべて品種ごとに販売しています。これまでに農園で収穫できたブルーベリーは8品種あるのですが、それぞれパッケージに品種の名前が書いてあります。リンゴもナシもミカンも、品種の名前を出して売るのが当たり前になっていますが、日本のブルーベリー栽培の歴史が浅いためか、品種別にして売る生産者はまだ少ないようです。

   15人ほどの人たちに、彼の2種類のブルーベリーを食べ比べてもらったことがあります。するとほとんどの人が、「味が違う」といいました。この売り方、いずれ一般的になるのでしょうが、雅樹さんはいちはやくはじめました。和子さんが作るブルーベリーのコンフィチュールも、品種別です。

   イチジクやリンゴ、ナシなど、古くから日本にある果樹は、一般の野菜同様、「栽培暦(ごよみ)」というものが県単位で作られていて、その暦にあわせて作業していくのが普通の農家のやりかただそう。でも、愛知県の場合、ブルーベリーの栽培暦はまだ作られていません。そのため、各生産者は頼りにする栽培基準を持っていないので、それぞれで試行錯誤するしかないことになります。

   雅樹さんは、畑に百葉箱をおき、データをパソコンにつなげて見られるようにしています。また、土の中の水分の量が分かる水分計を入れて、数値を見て水遣りをしています。「素人ですから、感覚でやれないのです。客観的な数値を見て、反省したり検討したりしています」

   「仕事していて、楽しいなとかうれしいなと思えるときはどんなとき?」と尋ねると、「今年初めて販売してみて、いろんな方に「おいしい」と言っていただきました。その言葉を聴くと、思わず顔がほころびます。それと、収穫しているとき、ちょうど食べごろの実がたわわに実っているのを見ると、うれしくなります。あとは、農作業していて、ふと空を見上げると、夕焼けがとてもきれいだったりしたとき。草刈りしたあとも、充実感があって気持ちいい」とのこたえが。

   三木さん夫婦の夢は、山側の畑の最上段にストローベイルハウスを建てること。森の中を飛び交う小鳥の鳴き声が聞こえ、吹き渡る風が心地よいその場所は、私もとても好きです。いつかその家のテラスで、彼らと一緒に、立派に育ったブルーベリーの木々を見ながら楽しいときを過ごしたいな、とおもっています。      

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千成ホオズキ

2012-08-12 14:22:51 | 林と畑と庭づくり
東栄町のKさんの家にアイの苗をもらいにいったとき、千成ホオズキの実もいただいてきました。

  食べられるホオズキです。ちょっと甘くてちょっとすっぱくて、フルーツのような野菜のような変わった味です。ピクルスにしたりサラダに散らしたりしたら、かわいくておしゃれかも。

  私の庭にも、彼女から前に送ってもらった千成ホオズキが育っています。標高差が300mはありそうなので、まだ稲武では実ができたばかり。雑草の中でも丈夫に育っています。それもそのはずで、この変わったホオズキは、ずっと前から東栄町のあたりの、地の野菜というよりただの雑草みたいにして育っていたものだとか。

  
  Kさんは、昨年もらった実をそのままほうっておいてぐちゃぐちゃになったものを、ためしに蒔いたのだそうですが、こうして立派に育っているところを見ると、元は雑草なのだな、と納得します。

   昨年、新城市の古民家カフェ爾今の四土市で、長野県売木村の方がこのホオズキを売っていました。わたしはそのとき初めて食べたのですが、そのとき売っていた方の話でも、やはり雑草同様の植物だとのことでした。
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その後のアイ

2012-08-12 09:35:20 | 草木染め
  6月の終わりころ、岐阜県中津川市のしずく工房(コチラ→)で、アイの種と苗を分けてもらいました。種の半分は、北設楽郡東栄町の友人、Kさんに送り、残りはだいぶ経ってから苗床に蒔きました。

  先日、彼女から、「アイがだいぶ成長しているけれど、畑になかなか植えられない。送ろうか?」との連絡を受けました。それで、とにかくようすを見たかったので、先週東栄町まで行ってきました。

  彼女の家の庭で、苗床に蒔いてそのまま育った苗や、ポットに移植した苗が威勢よく育っています。ほんの少しの種に見えたのに、苗のトレイに6個以上あります。そのうち、3個ももらってきました。こちらです。

  これで1個分。かなりの数の苗ができています。右端は、やはり彼女からもらった秋植えのキュウリの苗。霜が降りるころまで採れるキュウリなのだそうです。

  私が蒔いたアイはまだこんな。まだ、というより育っていないようです。有機質の土が手に入らず、自宅の庭から土をとってくる暇もなく、手近にあったピートモスとパーライトを半々に混ぜて苗床を作って蒔いたのです。前にハーブの種を蒔いたとき、このやり方だったと思って作ったのですが、後で調べたら、パーライトではなくてパーミキュライトでした。二つの違いは分かりませんが、とにかくだめでした。

  しずく工房から移植した苗は今、こんなに大きくなりました。植え付けのときに糠と油粕を混ぜたものをまいただけなのですが、優秀。今まで私が育てたうちではもっともいい成長振りです。ただし、もう少し手入れした土地だったら、ほんとうはもっと成育がいいのでしょうが。

  苗をもらいはしたものの、畑の整備はこれから。膝丈くらいに伸びた雑草を刈り取り、草の根切りをして植え付けをする必要があります。このところ、ほとんど足を踏み入れることすらしていない元畑での開墾作業、いつからはじめようか、カレンダーを見ながら考えているところです。
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イチジクの白ワイン煮

2012-08-12 00:23:51 | 手作りのたべもの
   毎年この季節になると、渥美に住んでいる友人からイチジクが届きます。彼女が作ったみずみずしいイチジク。さっそくお礼の電話をすると、「ほんとうは完熟をぜひ食べてほしいのだけれど、送れなくて残念」。

   お尻が割れているので完熟かと思ったら、まだ少し未熟だったようです。未熟でも実がはじけかけているから、イチジクの扱いはたいへんそうです。

   わたしは、このイチジクをいつもワイン煮にして小分けして冷凍します。その話を友人にすると、「普通イチジクは赤ワインで煮るけど、わたしは白ワインで煮るの。白ワインのほうが、イチジクの色がそのまま残ってきれいなのよ」といいました。


   それで、たまたまその日、赤と白の安ワインを2本ずつ買って来ていたので、今年は白ワインを使ってみることにしました。イチジクを洗って鍋に入れ、粗糖をかけて一晩放置。翌日ワインを加えて煮ます。水分が半分以下になったら火を止めて冷まします。

   いつもはこれでOKなのですが、味を見たらどうもお酒の味がかなり勝っていて、渋みもあります。あくをまったく取らなかったせいかもしれませんが、これはいつものこと。もしかしたら、粗糖の量をかなり押さえたせいかもしれないとおもって、分量も量らずにわっと鍋に放り込みました。で、できたのがこれ。

   渋みは消え、つやが出ました。かなり甘い! 入れすぎました。でも、1個くらいなら食べられます。普通のショートケーキに比べたら、甘くないと思います。汁は水で薄めてジュース代わりにしました。

   ただし、色は、友人が言うような美しいイチジクの色とはいえません。がっかり。よく考えたら、私が使うのは粗糖です。茶色いお砂糖。だから、イチジクの美しさを保つことはできなかったのです。でも、いつもとは違うワイン煮、なんとかできました。来年もいただいたら、粗糖の量を押さえて、あくも取って、最後にラム酒を入れてみたいと思います。
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焼きそば

2012-08-12 00:02:20 | たべもの
   お店で焼きそばを食べると、甘辛いソースがどぼどぼかけてあって、どうもいただけません。でも、焼きそば用のそばを買って来て家で料理しても、なんだかぱっとしません。それで長いこと焼きそばというものを食べないできました。

   ところが、おいしいそばが見つかりました! 太丸焼きそば。名古屋の角千商店の商品です。成城石井藤が丘店で買いました。今回で3度目です。

   何がいいかというと、味とこし。おいしいのです。原材料は小麦粉、かん水、食塩、植物油、くちなし色素。色素以外の添加物が入っていないのは、けっこう珍しいかも。

   袋の裏には、「角千の焼きそばは 昔ながらのセイロむしの味を追求し 丹精こめて造り上げた 太めの焼きそばです」とあります。わざわざ書くところを見ると、やはり自慢する点があるようです。とにかく、おいしい焼きそばが見つかって、よかった。
   
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