昨日、今年で3回目となる醤油の仕込みをしました。これからほぼ10か月の間、醤油との付き合いが始まります。
醤油を作るのに必要なのは、醤油麹、塩、水。たったみっつだけです。
醤油麹はいつもの通り、長野県安曇野の麹屋さんにお願いし、塩は、生活クラブで沖縄の真塩を注文しました。
そして、水。今年はこれまでの井戸水にかわって、設楽町駒が原のログハウスのレストラン・
ばんじゃーるにお願いして、店内で使っている地下水をいただいてきました。
このお水、地下102mまで岩盤を掘り進んだところ、湧き出てきたもので、極めて軟水。口中にしみわたるような柔らかさを感じます。友人を通して、オーナーでもある、竹内牧場の牧場主さんにお願いして汲ませてもらいました。
ばんじゃーるのフェイスブックには、次のように書かれています。
「水質検査の結果、一般細菌(いわゆる雑菌)が0... 大腸菌群も0 菌が全く検出されないお水は、珍しいそうです。美味しい水は、野菜や肉などの美味しい食材、美味しい料理にとっても、一番重要といっても良いくらい大切だと思います。お店のすぐ近くの川の水も澄んでいます」
80リットルの樽に仕込むのに必要なのは、麹25キロ、塩12キロ、水33リットル。すべてそろったところで、最初に行うのは、塩切り。麹と塩を混ぜる仕事です。
昨年は、冷蔵便で送ってもらったにもかかわらず、届いた麹はかなりの高温になっていて、発酵が進みすぎていました。それで今年は、麹屋さんがあらかじめ、麹と塩の一部(2キロ)を混ぜたものを、おくってもらいました。そのため、麹は冷たく、落ち着いて作業ができました。
作業に集まったメンバーは、稲武醤友会のメンバー3人のほか、見学に来た友人5人。全員で麹と塩をすり合わせます。麹が固まっているところがあるので、まんべんなく塩とまざるよう、でも、大豆はつぶさないよう、静かにませます。麹も塩も肌にいいので、混ぜ終えた後の手はすべすべ。
このあとは水と混ぜるのですが、いっぺんに入れるとうまく混ざりません。それでまず、塩切りした麹をほぼ6等分します。
そして、樽に6分の1ずつ麹を入れては、水を5~6リットルずつそそぎます。この作業も、静かに。入れ終わったらヘラやひしゃくで、これもまた静かにかき混ぜます。
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醤油樽は、いったん冷暗所に置き、梅雨が明けたら明るい場所に移動します。
シートに残った塩切り麹をすべて入れ、室内から樽の置き場所となる元車庫に運びます。
梅雨明けまで置いておく予定のこの場所には、麹、塩、水を入れた樽の隣に、同じ大きさの空き樽を一つ用意しておきます。
そしてさらに、作業を続行。
最後の塩切り麹と水を入れたら、樽の口周辺をよくふきとります。こうしないと、このあたりがかびやすいからです。
昨年まで、醤油をおおう布には、不織布を使っていました。でも、この布では通気性が結構悪いと、2月の醤油絞りのおりに、絞り師さんから注意を受けました。
それで今年は、農作業に使う寒冷紗を使用。風通しがだいぶ良くなりそうです。
さて、以上でこの日の作業は終了。当日を入れて三日後、最初の天地返しをおこないます。天地返しは、隣においた空き樽に入れ替える作業です。混ぜるだけでは塩の塊ができやすいので、完全に移し替えます。その三日後また同じ作業を。そのあとは一週間後に同じ作業を繰り返します。そうしたあとは、1か月ごとに天地返しを、梅雨明けまで続けます。
これまで、醤油樽には梅雨明けまでは日差しにはあてないほうがよかろうと思い、天地返し以外の日はあまりシャッターを開けなかったのですが、昨年はそのせいでカビをはやしてしまいました。あわてて天気のいい日はシャッターを開けて風通しをよくしてやったら、それ以上は増えないで済みました。今年は、絞り師さんに確認し、できるだけシャッターをあけて、風通しをよくしてやることにしました。
でも、目下の私の心配は、家から少し離れたところにあるこの元車庫のシャッターを閉めるのを忘れないでいられるだろうか、ということ。夜閉めるのを忘れたら、いいにおいに誘われて、獣がやってくるかもしれません。
心配はありますが、いずれにしろ、大きな仕事は一つ終了。3回目の醤油仕込みでしたが、やはり緊張しました。これから1年間、どんなふうに私たちが醤油と付き合ったかは、絞る段になってわかります。これまでと同じ失敗を繰り返さないよう、メンバー全員で丁寧に見守ろうとおもいます。