昨夜CBCの番組をたまたま見ていたら、明日待子という人のことを紹介していました。
明日待子・・戦前に登場した日本初のアイドルなのだそう。大正9年生まれの彼女は、歩いているところを東京の元気段俳優にスカウトされ、13歳で上京。パリのムーランルージュを模した東京のムーランルージュでデビューし、大人気を博しました。
ところが日中戦争がはじまり、時代は暗くなる一方。ぜいたくは敵とみなされ、派手なものは一掃され始めていた世の中でしたが、劇場はずっと上演をつづけていました。でも、太平洋戦争が始まってからは戦局が悪化。毎日のように彼女の舞台を見に来ていた大学生たちは、学徒出陣で戦場に駆り出されていきました。
舞台上の彼女に向かって別れの挨拶をする学生たちに、彼女は泣きながら「生きてまたあえることを願っています」とつたえます。
しかしそのうち、彼女はファンの若い男性たちが次々に観客席から消えるのに耐えられなくなり、芸能界を突如引退。まだ20代半ばのころです。
その後、北海道で結婚して日本舞踊を教えながら一般人としての生活をつづけました。97歳の彼女は、かわいらしさを残した品のいいおばあさんになっています。
わたしは、戦争をはさんだ時期のことを、両親から相当たくさん聞いて育ったし、戦前戦後の歴史や文化についてもいろいろ見聞きしていたつもりだったのですが、彼女の名前は、全く知りませんでした。知らなかったことに、おどろいた!
番組では、彼女の生涯を再現ドラマを交えて紹介した後、なんと、当時早稲田の学生で、彼女の熱烈なファンだったという男性を探し当て、二人の対面を実現。学徒出陣する直前、彼はムーランルージュで、彼女の舞台をみて、そして彼女のはげましの言葉を聞いていた一人でした、
死ぬ覚悟で戦地に出た彼でしたが、間近で部下の死に遭遇してから、生きたいとねがうようになります。そのおり、彼が肌身離さず持っていたのが明日待子の写真が載っている新聞の切り抜き。「生きてまたあいましょう」という彼女の言葉とともに、彼を死の淵から救ったとかたります。
95歳のこの男性は、昔のあこがれの女優の前で、頬を赤らめながら自分の書いてきた手紙を読みました。「お国のために命を遂げる」と画面には文字で書いてありましたが、彼はそこで感極まって、読めなくなりました。「お国のために」死ぬつもりでいた彼に突然湧いた生きたいという欲求。それをもたらしたのが、彼女の存在だったのです。
スタジオの女性タレントや女優たちのほとんどは涙目。わたしもこのシーンで泣いてしまいました。彼の言葉を聞いた往年のアイドルは、「うれしい。とてもうれしい」と、目を潤ませて語りました。
アイドルという言葉などなかった時代ですが、これぞ、ほんとのアイドルだな、とおもいました。それにしても、知らないことがまだまだたくさんあることを、実感しました。おもしろかった。
明日待子・・戦前に登場した日本初のアイドルなのだそう。大正9年生まれの彼女は、歩いているところを東京の元気段俳優にスカウトされ、13歳で上京。パリのムーランルージュを模した東京のムーランルージュでデビューし、大人気を博しました。
ところが日中戦争がはじまり、時代は暗くなる一方。ぜいたくは敵とみなされ、派手なものは一掃され始めていた世の中でしたが、劇場はずっと上演をつづけていました。でも、太平洋戦争が始まってからは戦局が悪化。毎日のように彼女の舞台を見に来ていた大学生たちは、学徒出陣で戦場に駆り出されていきました。
舞台上の彼女に向かって別れの挨拶をする学生たちに、彼女は泣きながら「生きてまたあえることを願っています」とつたえます。
しかしそのうち、彼女はファンの若い男性たちが次々に観客席から消えるのに耐えられなくなり、芸能界を突如引退。まだ20代半ばのころです。
その後、北海道で結婚して日本舞踊を教えながら一般人としての生活をつづけました。97歳の彼女は、かわいらしさを残した品のいいおばあさんになっています。
わたしは、戦争をはさんだ時期のことを、両親から相当たくさん聞いて育ったし、戦前戦後の歴史や文化についてもいろいろ見聞きしていたつもりだったのですが、彼女の名前は、全く知りませんでした。知らなかったことに、おどろいた!
番組では、彼女の生涯を再現ドラマを交えて紹介した後、なんと、当時早稲田の学生で、彼女の熱烈なファンだったという男性を探し当て、二人の対面を実現。学徒出陣する直前、彼はムーランルージュで、彼女の舞台をみて、そして彼女のはげましの言葉を聞いていた一人でした、
死ぬ覚悟で戦地に出た彼でしたが、間近で部下の死に遭遇してから、生きたいとねがうようになります。そのおり、彼が肌身離さず持っていたのが明日待子の写真が載っている新聞の切り抜き。「生きてまたあいましょう」という彼女の言葉とともに、彼を死の淵から救ったとかたります。
95歳のこの男性は、昔のあこがれの女優の前で、頬を赤らめながら自分の書いてきた手紙を読みました。「お国のために命を遂げる」と画面には文字で書いてありましたが、彼はそこで感極まって、読めなくなりました。「お国のために」死ぬつもりでいた彼に突然湧いた生きたいという欲求。それをもたらしたのが、彼女の存在だったのです。
スタジオの女性タレントや女優たちのほとんどは涙目。わたしもこのシーンで泣いてしまいました。彼の言葉を聞いた往年のアイドルは、「うれしい。とてもうれしい」と、目を潤ませて語りました。
アイドルという言葉などなかった時代ですが、これぞ、ほんとのアイドルだな、とおもいました。それにしても、知らないことがまだまだたくさんあることを、実感しました。おもしろかった。