アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

漫画「万葉集」

2019-04-02 23:17:38 | 映画とドラマと本と絵画
   昨日、4月1日、元号が変りました。令和。「令和」の「令」はよいこと、の意味として使っているのだそうですが、どうしてもつい、「令嬢」の「令」よりも、「命令」の「令」のほうを思いだすので、「なごめ!」「なかよくしろ!」と命令されているようで、おちつきません。 

    さて、それはともかく、この文字が万葉集に乗っているというので、突然書店で万葉集を購入する客が増えたとか。有名な歌だけを選んだものがあって、そういうのが売れているのならともかく、現代語訳がついていても、あの数を完読するのは大変なことです。

    それで、私が30年近く前に買ったのがこの本。思い出したので、紹介します。

    主婦と生活 生活シリーズ 古典コミックス「万葉集」です。当時は学習漫画がどんどん出版され始めたころで、わたしも、手軽に勉強できる学習漫画や歴史ものの漫画を結構かっていました。いまも、ですが。

    学漫の「万葉集」はほかにもたくさん出ていると思いますし、わたしも持っていましたが、この大判の本がいいのは、とにかく収録されている歌の数が多いこと。もちろん全部ではありませんが、学校で習った歌はもちろん、普通の人がどこかで見た記憶のあるような歌はほとんど載っていると思う。それから、原典の収録の通りではたぶんなく、時代順になっていて、歴史を思い出しながら読めること。皇族、蘇我氏、藤原氏、大伴氏など、あの時代の主だった家の系図も載っています。

    ところで私が、はじめて万葉集を学んだとき、もっとも印象に残っている歌は「貧窮問答歌」です。下級官吏だった山上憶良が、自分よりさらに貧しい人との問答という形式で、庶民の苦しさをうたったもの。

    「・・人並みに吾も作れるを 綿も無き 布肩衣の 海松の如 わわけさがれる ・・・」「かまどには 火気吹きたてず こしきには 蜘蛛の巣かきて 飯炊くことも忘れて・・・」

     1000年以上も前の歌なのですが、具体的にこまごまと描かれているところにリアリティがあり、胸に迫りました。漫画のいいところは風俗がわかること。この本、いまも刊行されているかどうかわかりませんが、ほかにも多分きっといいものがあると思います。古文になれない方は、まず、漫画で読むことをおすすめします。ところで、万葉集、わたしはいまだに漫画で止まっていますが。
コメント
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