「冬のソナタ」の監督ユン・ソクホが初めて監督した劇場映画「心に吹く風」。なんとこれは日本映画で、舞台は北海道、役者はすべて日本人。彼のような大ヒット作をもたらした監督がこれまで映画を撮ってこなかったことにおどろきました。しかも、韓国映画ではなく日本映画。どんな経緯があったのか知りませんが、ともあれ久しぶりの彼の作品、堪能しました。
主人公は中年の写真家。撮影に訪れた北海道で車が故障し、近くの民家で電話を借りようと訪れる。すると、出てきたのは、高校時代の初恋の人。ふたりは、じわじわと昔の恋心を解き放ち、ためらいながらも、ともにいることの幸せをこばめないでいる。
ふたりが訪れる北海道のあちこちの風景が素晴らしい。森の中では、風に揺れる木の葉に光が交錯し、水の流れもキラキラ輝いています。広がる畑地は絵本のよう。丘に一本だけ立っているポプラの、風に揺れる様子は様々なことをおもわせ、古い納屋のようなたてもののトタンのさびた色合いは、よくできた抽象画に見える。
たぶん、ただ見に行っただけではここまで美しく見えないと思うのですが、構図と撮り方、色の調節などが抜群にすぐれているせいで、素晴らしいものに見えるのだろうなと思います。その美しい風景の中で、主人公二人の不倫も、美しく昇華されていくようです。ユン・ソクホの作品は、他の韓ドラに比べると、家族や親族とのしがらみはわりにすっきり描かれていて(といっても、日本人の私から見るとそれでも濃厚なのですが)、ラブロマンスをゆったり楽しめるものが多いのですが、この「心に吹く風」は、さらにその傾向が強く、ヒロインの夫や姑に対する気持ちはそれとなくしか描かれません。
かわりに、とても印象に残ったのが、手のしぐさや足のしぐさ。微妙な演出がなされていて、何でもない会話の裏を暗示しています。よくできていました。随所に、冬ソナの名場面をほうふつとさせるシーンが挿入されていて、本歌取りのような効果も。涙は出ませんでしたが、つかのま、心に優しい風の吹く時間を過ごせました。
主人公は中年の写真家。撮影に訪れた北海道で車が故障し、近くの民家で電話を借りようと訪れる。すると、出てきたのは、高校時代の初恋の人。ふたりは、じわじわと昔の恋心を解き放ち、ためらいながらも、ともにいることの幸せをこばめないでいる。
ふたりが訪れる北海道のあちこちの風景が素晴らしい。森の中では、風に揺れる木の葉に光が交錯し、水の流れもキラキラ輝いています。広がる畑地は絵本のよう。丘に一本だけ立っているポプラの、風に揺れる様子は様々なことをおもわせ、古い納屋のようなたてもののトタンのさびた色合いは、よくできた抽象画に見える。
たぶん、ただ見に行っただけではここまで美しく見えないと思うのですが、構図と撮り方、色の調節などが抜群にすぐれているせいで、素晴らしいものに見えるのだろうなと思います。その美しい風景の中で、主人公二人の不倫も、美しく昇華されていくようです。ユン・ソクホの作品は、他の韓ドラに比べると、家族や親族とのしがらみはわりにすっきり描かれていて(といっても、日本人の私から見るとそれでも濃厚なのですが)、ラブロマンスをゆったり楽しめるものが多いのですが、この「心に吹く風」は、さらにその傾向が強く、ヒロインの夫や姑に対する気持ちはそれとなくしか描かれません。
かわりに、とても印象に残ったのが、手のしぐさや足のしぐさ。微妙な演出がなされていて、何でもない会話の裏を暗示しています。よくできていました。随所に、冬ソナの名場面をほうふつとさせるシーンが挿入されていて、本歌取りのような効果も。涙は出ませんでしたが、つかのま、心に優しい風の吹く時間を過ごせました。