スペイン、メキシコ、アメリカ共作の、2007年の映画。映像をみたか、監督のことを何かで知って興味を持ったかして借りたのですが、本編が始まる前の予告編すべてが、ほとんど駄作かそれにちかいとしか思えないものばかりだったので、「きっと本編も面白くないに違いない」と、あきらめ半分でみはじめました。が!あにはからんや、しょっぱなから引き込まれました。数々の賞を受賞していることは、最後に知りました。
ときは1940年代。フランコ政権が誕生した後だと思うのですが、内戦が続いているスペインが舞台。ヒロインの少女は、出産を間近に控えた母といっしょに、新しい父の駐屯する森の奥にある陣地にやってきます。新しい父は、ゲリラを掃討するための部隊の大尉。残忍で冷酷な彼は、誕生する子供を男児と決めつけ、自分の元で産ませるために無理やり遠距離の旅行を新妻に強いたのでした。
少女は物語好き。彼女は、冷たい父と、心身ともにストレスを抱えながら父に気兼ねする母を避けて、兵隊たちがたむろする古い家を出て森の中をさまよいます。案内したのは、妖精と彼女が信じる虫。彼女がたどり着いた迷宮には、パン(牧神)が待っていて、彼女は人間世界にあこがれたために死んだ地下の国の王女だと告げます。それはまさしく、彼女が呼んでいる物語のお姫様そのものなのです。
パンがくれた奇妙な生き物のおかげで、流産しかけた母を救うことができたのですが、父の手によりその生き物は暖炉の中へ。
森の中に住んで、地下工作を図っているゲリラたちは、軍隊の襲撃で痛手を受けます。少女にとって唯一頼れる大人である女中頭は、じつはゲリラに協力。母の診察を任されている地元の医師もゲリラの仲間。母が死んで後、彼は大尉に殺されます。
森の奥で独裁政権の軍隊と戦うゲリラと、パンに与えられた試練に挑む少女の様子が上手にあいまって、虚々実々の世界を作っています。映像も、セリフも役者の演技も、十分満足できるものでした。
この欄を書くためにスペインの内戦のことをちょっと調べて驚きました。独裁者フランコの政権は、彼が死んだ1975年までつづいていたのです。つい最近、朝鮮戦争直前におきた、済州島の虐殺事件のことを知ったばかり。大事なことなのに、世の中知らないことばかり、と痛感する毎日です。
ときは1940年代。フランコ政権が誕生した後だと思うのですが、内戦が続いているスペインが舞台。ヒロインの少女は、出産を間近に控えた母といっしょに、新しい父の駐屯する森の奥にある陣地にやってきます。新しい父は、ゲリラを掃討するための部隊の大尉。残忍で冷酷な彼は、誕生する子供を男児と決めつけ、自分の元で産ませるために無理やり遠距離の旅行を新妻に強いたのでした。
少女は物語好き。彼女は、冷たい父と、心身ともにストレスを抱えながら父に気兼ねする母を避けて、兵隊たちがたむろする古い家を出て森の中をさまよいます。案内したのは、妖精と彼女が信じる虫。彼女がたどり着いた迷宮には、パン(牧神)が待っていて、彼女は人間世界にあこがれたために死んだ地下の国の王女だと告げます。それはまさしく、彼女が呼んでいる物語のお姫様そのものなのです。
パンがくれた奇妙な生き物のおかげで、流産しかけた母を救うことができたのですが、父の手によりその生き物は暖炉の中へ。
森の中に住んで、地下工作を図っているゲリラたちは、軍隊の襲撃で痛手を受けます。少女にとって唯一頼れる大人である女中頭は、じつはゲリラに協力。母の診察を任されている地元の医師もゲリラの仲間。母が死んで後、彼は大尉に殺されます。
森の奥で独裁政権の軍隊と戦うゲリラと、パンに与えられた試練に挑む少女の様子が上手にあいまって、虚々実々の世界を作っています。映像も、セリフも役者の演技も、十分満足できるものでした。
この欄を書くためにスペインの内戦のことをちょっと調べて驚きました。独裁者フランコの政権は、彼が死んだ1975年までつづいていたのです。つい最近、朝鮮戦争直前におきた、済州島の虐殺事件のことを知ったばかり。大事なことなのに、世の中知らないことばかり、と痛感する毎日です。