アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「パンズ・ラビリンス」

2019-04-07 14:01:41 | 映画とドラマと本と絵画
    スペイン、メキシコ、アメリカ共作の、2007年の映画。映像をみたか、監督のことを何かで知って興味を持ったかして借りたのですが、本編が始まる前の予告編すべてが、ほとんど駄作かそれにちかいとしか思えないものばかりだったので、「きっと本編も面白くないに違いない」と、あきらめ半分でみはじめました。が!あにはからんや、しょっぱなから引き込まれました。数々の賞を受賞していることは、最後に知りました。

    ときは1940年代。フランコ政権が誕生した後だと思うのですが、内戦が続いているスペインが舞台。ヒロインの少女は、出産を間近に控えた母といっしょに、新しい父の駐屯する森の奥にある陣地にやってきます。新しい父は、ゲリラを掃討するための部隊の大尉。残忍で冷酷な彼は、誕生する子供を男児と決めつけ、自分の元で産ませるために無理やり遠距離の旅行を新妻に強いたのでした。

     少女は物語好き。彼女は、冷たい父と、心身ともにストレスを抱えながら父に気兼ねする母を避けて、兵隊たちがたむろする古い家を出て森の中をさまよいます。案内したのは、妖精と彼女が信じる虫。彼女がたどり着いた迷宮には、パン(牧神)が待っていて、彼女は人間世界にあこがれたために死んだ地下の国の王女だと告げます。それはまさしく、彼女が呼んでいる物語のお姫様そのものなのです。

    パンがくれた奇妙な生き物のおかげで、流産しかけた母を救うことができたのですが、父の手によりその生き物は暖炉の中へ。

    森の中に住んで、地下工作を図っているゲリラたちは、軍隊の襲撃で痛手を受けます。少女にとって唯一頼れる大人である女中頭は、じつはゲリラに協力。母の診察を任されている地元の医師もゲリラの仲間。母が死んで後、彼は大尉に殺されます。

    森の奥で独裁政権の軍隊と戦うゲリラと、パンに与えられた試練に挑む少女の様子が上手にあいまって、虚々実々の世界を作っています。映像も、セリフも役者の演技も、十分満足できるものでした。

    この欄を書くためにスペインの内戦のことをちょっと調べて驚きました。独裁者フランコの政権は、彼が死んだ1975年までつづいていたのです。つい最近、朝鮮戦争直前におきた、済州島の虐殺事件のことを知ったばかり。大事なことなのに、世の中知らないことばかり、と痛感する毎日です。       
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ロシュフォールの恋人たち」

2019-04-07 10:29:10 | 映画とドラマと本と絵画
   昔見たはずだと思うのですが、テレビで放映されているのをちらっと見る限り何も覚えていないので、借りて見ました。1960年代のフランス映画。ミュージカルです。

    ロシュフォールというフランスの港町に住む双子の姉妹がヒロイン。ヒロイン一人はカトリーヌ・ドヌーヴです。この街のお祭りにでるためにやってきた興行師がジョージ・チャキリスとその相棒。ヒロインの母親が経営するカフェと姉妹のアパートの一室が主な舞台となって、男たちがかかわります。

   軽快なリズムにのって、いきなり路上で踊ったりうたったリのミュージカルなのですが、衣装や調度、建物の形や色がおしゃれで、ちょっとシュール。さすがフランス!と当時は世界中が感動した映画なのだろうな、とおもわせます。踊りは、昔のことなので、あまり上手とは言えないし、体もいまの人たちほど美しいとは言えないのですが、やはり、ジョージ・チャキリスとジーン・ケリーはすごい。ジョージ・チャキリスは終始わき役としてでずっぱり。ジーン・ケリーはちょい役なのですが、ヒロインの一人の恋人になる人物です。

    軍隊の行進やバラバラ事件なども織り交ぜてあり、心底明るいと言えませんが、わかい男女の恋が軽快に描かれ、見終わったあとも、しばらく楽しい気分が続きました。    

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする