先月、豊田市旧旭地区にある、さくら村を見学しました。
さくら村とは、ガキ大将養成座の拠点となる場所。この講座には前から興味があり、いつかお訪ねしたいと思っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/56/6b5dd0d49914b0ed02d39a67e78c1781.jpg)
写真は、さくら村のシンボルツリーである桜の大木を中心に作り続けられている、ツリーハウス。全体がらせん状にできていて、右から左に次第にせりあがっている構造になっています。しかも、この建物にはどこにも直角がありません。側面も屋根もすべて台形のユニットが組み合わさってできています。複雑な形のこの建物、完成時には何人もの人たちが寝泊まりできるというりっぱなものになります。
驚いたことに、壁板や屋根の板、雨よけシートなど、手作業でできることはすべて、子供たちの手でできているそう。いささか高所恐怖症気味の私は、カメラをもって上がるのがこわくて、屋根が見える場所には何も持たずにおっかなびっくりであがりました。小学生の子どもたちが、この高い場所で、釘を打ったりシートを広げたりといった仕事をこなすとは、すごいことです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/6a/621e2fe6b4d575a6758274255ffad9b1.jpg)
ガキ大将養成講座を企画、運営なさっているのは、安藤征夫さん。さくら村のある山は、彼の持ち山です。6年前にガキ大将養成講座を立ち上げ、今に至るのですが、年々この講座の人気は沸騰。お訪ねした前夜、今期の講座の告知をしたのだそうですが、募集を始めて1時間後には定員いっぱいとなったとか。人気のほどがうかがえます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/a4/3009410d39d9c16cac70d36341fac537.jpg)
さくら村にあるのはツリーハウスだけではありません。長い滑り台のほか、わっかにしたロープがいくつもぶら下がっていて、ターザンのようにつるつると移動できるものや、グラグラ揺れる木切れの上をロープに伝わりながら先に進むことのできるものなど、活発な子供なら、見るだけでわくわくするような遊具がいくつもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ab/9efea76f6007eef184286fe63cc79035.jpg)
ピザ窯も、バーベキューのできる場もあります。遊具もほかの設備も、すべてみんなほとんど子どもたちの手でつくりました。最近できたばかりという休憩所の小屋は、土壁づくり。さくら村にある赤土を掘ってきて刻んだわらと混ぜ、ひと月寝かせてできた壁土で塗り固められています。小屋の前には、ピンクのドアが。どこでもドアだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/87/09249ca7f0ebac6e3a0f2ba30caf5441.jpg)
「ガキ大将養成講座はプレイパークなどとは違って、遊びが目的ではありません。あくまで学びの場。ちゃんと生きることのできる子供たちを養成するための講座です」と安藤さん。ひとつの遊具や構造物を作るのに、子供たちは企画を出し合って計画を練る。そして手分けして作業が始まる。うまく行かないことがあればそこで立ち止まる。反省する。仲間の意見、大人のアドバイスを聞く。そしてまた作業を進める。これらの繰り返しが彼らを成長させるのでしょう。安藤さんのフェイスブックには、働いている子供たちの笑顔が溢れています。たくましくすがすがしい笑顔。惹き付けられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/0a/539e6fa54bdd61bd1bbda2340b516648.jpg)
「私たちは、まず、道具の使い方をおしえます。どうやったら効率よく使え、どう仕損じたらどんな危険なことになるのかについて、みっちり伝えます。あとは、子供たちが質問してきたとき、ちょっとしたアイデアを伝えるくらい。最初はなかなか仲間に入れない子もいますが、いつのまにかお互い相談しながら何かを作り始めています」
ピザを食べたいからピザ窯を、ターザンごっこをしたいからその道具を、それぞれいちから作る。こどもたちにとって、おそらくこれまでにしたことのない体験の連続だろうと思われます。
働く目標が明瞭なので、頑張ろうという気になる。友達とのやり取りをしないと先に進まない。ときには危険を伴うので、勝手にだまって知らん顔しているわけにはいかない。だから、コミュニケーション能力は自然に身についてくるのだとおもいます。働くことは楽しく、人とかかわることはおもしろい。そういう気持ちが知らず知らずのうちにはぐくまれるのではないかと思えました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d3/d84a6e760ac5887daa4c36460c2c1448.jpg)
「仲間に入れなかった子供が、平気でみんなと行動するようになっています。不登校だった子が登校するようになったこともあります」と安藤さん。小学生の頃、通知表にしばしば私は、「協調性がない」と書かれました。とりわけ孤立していたわけではないし、教師に反抗的であったわけでもないのですが、今思えば、コミュニケーションの仕方が下手だったから、教師にはそう見えたのだろうと思われます。ガキ大将養成講座のような場所にいたら、たぶん自然に身につくことがらのひとつが、学校では育たなかったということなのでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/b8/a9f4701da5165c3ed803f572f8a91387.jpg)
宙づりのトンネルの中にいるのが安藤さんです。うれしそう。彼がそもそもガキ大将だったから、こんなこころみを思いついたのだな、と納得できる写真です。
彼らの親御さんたちも、作業には一緒に参加。その親御さんたちが遊べる場所も、この近くに作りました。そこには広いデッキが作られていて、見晴らしがとてもいい。キャンプできる場所ももちろんあるし、大きな焚火を囲める場所も作られています。こちらもすべて子供たちと親御さんたちの工夫と作業で生まれました。
ガキ大将養成講座では、「生きる力」を養うために、ほかにもいろいろな活動を行っています。
そのなかのひとつは、「小遣い稼ぎ」。昨冬は、さくら村で伐採した木々を薪にする作業を子どもたちが実施。束にして販売したそうです。彼らの時間給は500円。子どもにしては大金です。
今年は開催中止でしたが、旭地区の福蔵寺で毎年三回開いている福蔵寺ご縁市では、ガキ大将養成講座の子供たちが、地元特産の自然薯やかけそばの販売にいそしんでいます。いつも近くで出店しながら、彼らの威勢のよさ、元気さに感心していました。最初からそういう子たちばかりが集まったとはかぎらず、元気な子どもに育っていったのだな、といま、思い返しています。
そのほか、登山やシャワークライミング、農作業などなど、盛りだくさんの講座が用意されています。いずれも安藤さんの考える「生きる力を培うための養成講座」。そのプログラムの一つに、今年は、草木染め体験が加わりました。その講師としてお呼びいただき、この日下見を兼ねて伺ったしだいです。
秋の終わりころの開催となるので、クリにしようか、あるいはさくら村で育っているほかの木々の枝葉をつかおうか、ただいま思案中です。養成講座に集う子どもたちと一緒に一日作業できるのが、今からとても楽しみです。
*当日撮った写真を収めたカードが壊れて使えなくなったため、本ブログにつかった写真はすべて、安藤さんと当日スタッフとして同席してくださった野中佳美さんにお借りした写真です。
さくら村とは、ガキ大将養成座の拠点となる場所。この講座には前から興味があり、いつかお訪ねしたいと思っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/56/6b5dd0d49914b0ed02d39a67e78c1781.jpg)
写真は、さくら村のシンボルツリーである桜の大木を中心に作り続けられている、ツリーハウス。全体がらせん状にできていて、右から左に次第にせりあがっている構造になっています。しかも、この建物にはどこにも直角がありません。側面も屋根もすべて台形のユニットが組み合わさってできています。複雑な形のこの建物、完成時には何人もの人たちが寝泊まりできるというりっぱなものになります。
驚いたことに、壁板や屋根の板、雨よけシートなど、手作業でできることはすべて、子供たちの手でできているそう。いささか高所恐怖症気味の私は、カメラをもって上がるのがこわくて、屋根が見える場所には何も持たずにおっかなびっくりであがりました。小学生の子どもたちが、この高い場所で、釘を打ったりシートを広げたりといった仕事をこなすとは、すごいことです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/6a/621e2fe6b4d575a6758274255ffad9b1.jpg)
ガキ大将養成講座を企画、運営なさっているのは、安藤征夫さん。さくら村のある山は、彼の持ち山です。6年前にガキ大将養成講座を立ち上げ、今に至るのですが、年々この講座の人気は沸騰。お訪ねした前夜、今期の講座の告知をしたのだそうですが、募集を始めて1時間後には定員いっぱいとなったとか。人気のほどがうかがえます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/a4/3009410d39d9c16cac70d36341fac537.jpg)
さくら村にあるのはツリーハウスだけではありません。長い滑り台のほか、わっかにしたロープがいくつもぶら下がっていて、ターザンのようにつるつると移動できるものや、グラグラ揺れる木切れの上をロープに伝わりながら先に進むことのできるものなど、活発な子供なら、見るだけでわくわくするような遊具がいくつもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ab/9efea76f6007eef184286fe63cc79035.jpg)
ピザ窯も、バーベキューのできる場もあります。遊具もほかの設備も、すべてみんなほとんど子どもたちの手でつくりました。最近できたばかりという休憩所の小屋は、土壁づくり。さくら村にある赤土を掘ってきて刻んだわらと混ぜ、ひと月寝かせてできた壁土で塗り固められています。小屋の前には、ピンクのドアが。どこでもドアだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/87/09249ca7f0ebac6e3a0f2ba30caf5441.jpg)
「ガキ大将養成講座はプレイパークなどとは違って、遊びが目的ではありません。あくまで学びの場。ちゃんと生きることのできる子供たちを養成するための講座です」と安藤さん。ひとつの遊具や構造物を作るのに、子供たちは企画を出し合って計画を練る。そして手分けして作業が始まる。うまく行かないことがあればそこで立ち止まる。反省する。仲間の意見、大人のアドバイスを聞く。そしてまた作業を進める。これらの繰り返しが彼らを成長させるのでしょう。安藤さんのフェイスブックには、働いている子供たちの笑顔が溢れています。たくましくすがすがしい笑顔。惹き付けられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/0a/539e6fa54bdd61bd1bbda2340b516648.jpg)
「私たちは、まず、道具の使い方をおしえます。どうやったら効率よく使え、どう仕損じたらどんな危険なことになるのかについて、みっちり伝えます。あとは、子供たちが質問してきたとき、ちょっとしたアイデアを伝えるくらい。最初はなかなか仲間に入れない子もいますが、いつのまにかお互い相談しながら何かを作り始めています」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/a7/b331f149ac9bf3f34aeeeb68aa2e1fd1.jpg)
ピザを食べたいからピザ窯を、ターザンごっこをしたいからその道具を、それぞれいちから作る。こどもたちにとって、おそらくこれまでにしたことのない体験の連続だろうと思われます。
働く目標が明瞭なので、頑張ろうという気になる。友達とのやり取りをしないと先に進まない。ときには危険を伴うので、勝手にだまって知らん顔しているわけにはいかない。だから、コミュニケーション能力は自然に身についてくるのだとおもいます。働くことは楽しく、人とかかわることはおもしろい。そういう気持ちが知らず知らずのうちにはぐくまれるのではないかと思えました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d3/d84a6e760ac5887daa4c36460c2c1448.jpg)
「仲間に入れなかった子供が、平気でみんなと行動するようになっています。不登校だった子が登校するようになったこともあります」と安藤さん。小学生の頃、通知表にしばしば私は、「協調性がない」と書かれました。とりわけ孤立していたわけではないし、教師に反抗的であったわけでもないのですが、今思えば、コミュニケーションの仕方が下手だったから、教師にはそう見えたのだろうと思われます。ガキ大将養成講座のような場所にいたら、たぶん自然に身につくことがらのひとつが、学校では育たなかったということなのでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/b8/a9f4701da5165c3ed803f572f8a91387.jpg)
宙づりのトンネルの中にいるのが安藤さんです。うれしそう。彼がそもそもガキ大将だったから、こんなこころみを思いついたのだな、と納得できる写真です。
彼らの親御さんたちも、作業には一緒に参加。その親御さんたちが遊べる場所も、この近くに作りました。そこには広いデッキが作られていて、見晴らしがとてもいい。キャンプできる場所ももちろんあるし、大きな焚火を囲める場所も作られています。こちらもすべて子供たちと親御さんたちの工夫と作業で生まれました。
ガキ大将養成講座では、「生きる力」を養うために、ほかにもいろいろな活動を行っています。
そのなかのひとつは、「小遣い稼ぎ」。昨冬は、さくら村で伐採した木々を薪にする作業を子どもたちが実施。束にして販売したそうです。彼らの時間給は500円。子どもにしては大金です。
今年は開催中止でしたが、旭地区の福蔵寺で毎年三回開いている福蔵寺ご縁市では、ガキ大将養成講座の子供たちが、地元特産の自然薯やかけそばの販売にいそしんでいます。いつも近くで出店しながら、彼らの威勢のよさ、元気さに感心していました。最初からそういう子たちばかりが集まったとはかぎらず、元気な子どもに育っていったのだな、といま、思い返しています。
そのほか、登山やシャワークライミング、農作業などなど、盛りだくさんの講座が用意されています。いずれも安藤さんの考える「生きる力を培うための養成講座」。そのプログラムの一つに、今年は、草木染め体験が加わりました。その講師としてお呼びいただき、この日下見を兼ねて伺ったしだいです。
秋の終わりころの開催となるので、クリにしようか、あるいはさくら村で育っているほかの木々の枝葉をつかおうか、ただいま思案中です。養成講座に集う子どもたちと一緒に一日作業できるのが、今からとても楽しみです。
*当日撮った写真を収めたカードが壊れて使えなくなったため、本ブログにつかった写真はすべて、安藤さんと当日スタッフとして同席してくださった野中佳美さんにお借りした写真です。