晴耕雨読とか

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涸沢のツキノワグマ

2008年08月29日 | 
こういうタイトルをつけても、今回、涸沢でツキノワグマを見たというわけではありません。ただ、7、8年前に行ったときに、研究者がちょうどクマを捕獲したタイミングで、びっくりしたことはあります。

今回は、横尾から登りつつ、斜面に草原があるたびに双眼鏡でクマを探しました。でも、ぜんぜんいませんね。途中で気がついたのですが、横尾から涸沢あたりの草原は、ウラジロタデとおぼしきタデ科の植物が主体なのです。



夏の北アルプスにいるツキノワグマは、セリ科の植物がお好みなわけで、いわゆる高茎草原にいるのです。もちろん、ベニバナイチゴとかの実も好きだとは思いますが、基本はセリ科です。

で、涸沢周辺にはそのような場所がないのです。セリ科の植物も生えてはいるのですが、それが優先するような草原がないのです。おそらく、ごろごろの岩礫地なのが原因なのでしょう。そのために、ツキノワグマもいるにはいるけれど、エサがないからそんなに多くないのではないかと思いました。

同じような理由で、高山帯でもハイマツがなく、よってライチョウもいない……。そんなあたりが日本最大のカール・涸沢の自然なのだと思います。

今回、上高地から涸沢までを歩いたのですが、森林の変化を見ても、気温や標高以外に、いかにベースとなる土というか地質が重要なのかが感じ取れました。

次回はそんな森のお話でも…。