晴耕雨読とか

本読んだり、いきものを見たり。でも、ほんとうは、ずっと仕事してます。

論文到着!

2010年02月17日 | 
届きました!
2009年の『魚類学雑誌』に掲載された短報
「東北太平洋岸志津川湾におけるダンゴウオLethotremus awaeの繁殖生態」(阿部拓三・佐藤長明)。

この短報によると、現状、ぼくらが気になっている点でいうと、、、

①雌雄の背びれの性差はある。
②雄の背びれは、フジツボ遺殻内の卵塊を守るとき、
ピンと開いて穴をふさぐようにしていた(写真あり!)。

……という2点は書かれています。

確かに雄の背びれは大きいようです。
論文に掲載された写真だと、
団扇のように、基部より先の方が広くなっています。

ただ、それが繁殖期だけの性的二型か、
通年を通じたものかは、
特に記載はないのでわかりませんでした。
というか調査は繁殖期だけなので、、、。

そもそも、短報だけに、
調査個体が8個体(うち雄が5個体)という少数の報告なので、
正確なことはもっと時間がかかるのだと思います。

この短報のポイントは、おそらくダンゴウオを
「なわばり訪問型複婚」と推察したところでしょう。
執筆者は「雄のなわばり内を複数の雌が産卵に訪れる」と
考えているようです。

ダンゴウオの雄は、空になったフジツボの中で卵塊を守っているのですが、
中には発達段階の異なる卵塊が複数あり、
また、雌の解剖によって複数回の産卵が可能なことがわかったことで
(もういくつかは理由があるようですが)、
上記の推察になったようです。

ま、この短報を読んでわかった最大のことは、
「ダンゴウオが研究されていないこと」でした。
執筆者も最初に書いてらっしゃいますが、
なにしろ引用文献にダンゴウオの文字がありませんから、、、。

志津川の繁殖期は5、6月。
三浦半島は、、、2月とか3月?? 
ずいぶんと季節が違うし、ぼくらが発見している場所には、
そんなに大きなフジツボとかはないので、
産卵場所もずいぶんと違う可能性もありますね。