この間、日本から友人が遊びにきた時、どうしても欲しかったCDを買ってきてもらった。
ところが、家のパソコンへ入れて何度試しても聴くことができない。曲名の表示は出るのだけど、スタートボタンを押してもうんともすんともいわない。「この種類のファイルはカバーしていません」という中国語の表示が出るだけだ。ちなみに、僕のパソコンは中国で買ったものだ。パチモンではありません。メーカーのオンラインショップで買った本物のパソコンなので、念のため。
日本から持ってきたほかのCDはちゃんと聴くことができるのにおかしいなと思いながらCDの注意書きを見た僕はひっくりかえりそうになってしまった。
なんと、このCDは特定の地域でしか再生することができませんと書いてあるではないか。そのアイコンマークにはしっかり「日本国内向け」と表示されている。
つまり、日本へ持って帰らないかぎり、このCDを聴くことはできないってことか。広東省では聴けないのか。唖然。
地域限定発売のCDというのは聞いたことがあるけど、地域限定再生CDというのは初めて見た。
やれやれ。
そんな意地悪なことをしなくてもいいじゃないか。
「天下の吉田拓郎がそんなみみっちいことをしてもいいのかっ?!」
と、拳を突き上げたいところだけど、拓郎さんに怒ってもしょうがない。どうせレコード会社が決めたことだから。
海賊版対策でこんなCDを作ったんだろうけど、海外在住者を切り捨てるような真似はやめてくれよな(涙)。せっかく楽しみにしていたのに、ほんと、悲しいよ。
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第32話として投稿しました。『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/