銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

『地球の○○し方』

2009年06月22日 | のほほん同志Aの日常
これじゃあ、『地球の歩き方』じゃなくて『地球のだまし方』よ!

実は私、バックパッカー時代、
口の悪い仲間うちで、しょっちゅう悪態ついてました。

いえ、『歩き方』さんには本当にお世話になっているのです。
放浪のひとり旅ではもちろん、仕事で海外添乗に出るときも、
必ずカバンにしのばせてます。
似たようなガイドブックは山ほどありますが、
充実度は『歩き方』がピカイチ、
間違いなく、一番つかえるガイドブックでしょう。

ただ…。
『歩き方』の特徴は、とっても主観的ということです。
読者の旅のエピソードなんかも満載で、
(私もはりきって投稿してました)
だからこそ面白いのだけれども。


忘れられないのは、まだ二十歳の夏のヨーロッパひとり旅。
世間では、沢木耕太郎の『深夜特急』がリバイバル人気。
影響を受けやすい私は、行き先も決めぬまま、
ドイツのベルリンに降り立ちました。
決まっていたのは1ヶ月後、ローマから日本に帰るということだけ――。

旅のバイブルは、『地球の歩き方 ヨーロッパ』
北欧からギリシャまで、ぜーんぶ載った分厚く重いページを繰りながら
明日はどこへ行こう?と悩むのが、
楽しくも判断力を試される毎晩の日課でした。

そんなある夜、ふと目のとまった1ページ。
番外編ということで、北アフリカはモロッコの体験談が
小さく紹介されておりました。
そのなかの一行がこちら。

「マラケシュのジャマエルフナ広場の喧騒は、この世のものとは思えない」

この世のものとは思えない…
 
ずーっと頭のなかをぐるぐるリフレインするこの一言。
行きたいなぁ、でもアフリカかぁ。ちょっと怖いなぁ…。
 
迷うこと数日。最後はエイヤと思いきり、
スペインの南端からアフリカ大陸めざしてフェリーに乗り込んだのでした。

――そして数時間後。
降り立ったのは、モロッコの港町タンジェール。
アフリカは目と鼻の先にありました。
とはいえ、ターバンを巻いた男たちがうろうろし、まったくの異世界。

目指すマラケシュは、まだまだ先。
月光が妖しく照らす砂漠を夜行列車でひた走り、
辿りついた砂漠のオアシス、マラケシュの町は…。

あれ? 別にふつう。
いや、でも、そのジャマなんとか広場へ行けばきっと…。

最高潮に高まる期待と、かすかに生じた不安を抱きつつ、
ようやくジャマエルフナ広場の喧騒を前にしての感想は?

「…どう見ても、この世のもの」

あぁーっ、また騙された!


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