銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

唐招提寺の青い海

2009年10月03日 | のほほん同志Aの日常
「あっ、海…!」
山深い奈良の古刹で、思わず声をあげそうになりました。

その夜は、中秋の名月。
鑑真和上ゆかりの唐招提寺では、
国宝の鑑真和上坐像とともにお月見を――という粋なはからいで、
ふだんは非公開の御影堂がこの夜かぎりの特別公開中。

そこに、海があったのです。

東山魁夷画伯による十六面襖絵、「濤声」(とうせい)。
御簾の向こうの鑑真像をゆったり包みこむかのように、
左右十六面につらなる青い海。

荒波たつ日本海のようにも、
また、のたりうつ南方の海のようでもある青一面の世界が、
月光に浮かび上がっていました。

――それにしても、唐招提寺と海。
不思議なとりあわせです。
画伯はなぜ、ここに海を?

聖武天皇の命を受け、5回の渡航に失敗しながらも、
のべ12年の歳月をかけて、命がけでの渡日をはたした唐の高僧、鑑真。
当時はもちろん船の旅。
真っ暗な夜を幾日、船上で数えたことでしょうか…。

こんな笑い話が落語にありました。
「おてんとうさんと月とでは、どちらがありがたいと思う?」
「月に決まってるじゃねえか。
 おてんとうさんは真っ昼間に出てくるが、
 お月さんは闇夜を照らしてくれるんだから」

はてしない航海の途中、夜の海原にとどく月の青白い光は、
高僧の心をも慰めたことでしょう。
一説には、過酷な航海のはてに視力を失ったともいわれます。
とするとこの絵は、鑑真の目が最後に映した風景なのかもしれません。

753年、6度目の挑戦にして日本に辿りついた鑑真は、66歳になっていました。
そして10年後、唐招提寺でその生涯を終えます。

日本を目指した鑑真の前に立ちふさがり、5度にわたり行く手をはばんだ大海原。
それは同時に、遠い異国の地に没した鑑真にとって、
ふるさとと自身とをつなぐ架け橋でもあったはず。

――そう自分なりの答えを見つけて、月夜の海をあとにしました。

**********************************************************************

今宵、中秋の名月。
あれから1年がたちました。

「天平の甍」として名高い唐招提寺の国宝金堂は、
当時まだ平成の大修理中。
長らくフェンスに覆われていましたが、
今秋、10年ぶりにその荘厳な姿を現します。

銀のステッキ・旅サロンでは落慶法要まもない11月に、
唐招提寺へのツアーを予定しております。
詳細は下記までお問い合せ下さい。

■銀のステッキ旅行■
TEL 0797-91-2260  
(お電話での受付は平日8:30~13:00)


ちなみに昨日から出発したバリ島のツアーでは、今宵、同じ月明かりのもと、
満月と新月の夜にのみ行われる迫力の舞踊「ケチャ」をご覧いただいています。
ご報告をお楽しみに…


****************************************
貸切バス・オーダメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行
TEL 0797-91-2260(平日8:30~17:00)
■公式ホームページ:http://www.gin-st.com
■銀ステ旅先案内人:http://ameblo.jp/arailuka
****************************************

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする