南国、鹿児島から帰ってきました。
私にとって、鹿児島はつい一昨年、
奄美大島でちょっとかすったぐらいで、ほぼ未踏の県。
でもなぜかこの土地に親しみを感じていたのは、
大好きな向田邦子さんのエッセーにふれていたからでしょう。
「…長く生きられないとわかったら鹿児島へ帰りたい。
帰るといっても鹿児島は故郷ではない。
…しかし少女期の入口をさしかかった時期を過ごしたせいか、
どの土地より印象が強く、故郷の山や川を持たない私にとって、
鹿児島はなつかしい『故郷もどき』なのであろう。」
故郷もどきへの思いを収めたエッセー集『眠る杯』のおかげで、
桜島も、開聞岳も見たことがないのに、すでに懐かしい響き。
そんな鹿児島への旅の初日、ご参加の方々に
「鹿児島は初めてでですか?」と、お決まりの質問をしてみました。
「実は、高校の修学旅行以来なの」というお声が大半。
「つまり、ほんのちょっと前のことよ」
とのご冗談はさらっと流し、
へぇ、その時代の修学旅行も意外と遠出したんだ
と感心したしだいです。
さて、鹿児島。
市内中心部を車で走っていると、
歩道橋や看板や横を走る車が
うっすら灰をかぶっているところが他の街とは違いますが、
それ以外はとりたてて特徴もないような感じ。
「なんだか街はもうすっかり変わってしまっていて、面影ないわ」
と修学旅行組の方は、しょんぼり肩を落としておられましたが、
そんな、六十年ぶりなのに比べるのがムリです!
と半ば冗談、半ば本気で申し上げながら…
午後から訪ねた島津公の別邸でその方の足が止まりました。
対岸に噴煙をあげる桜島をじっと見つめておられます。
しばらくしてにっこり、
「桜島を見たら、なんだかすこし記憶がよみがえってきました」と。
桜島を見て、指宿で砂蒸し風呂に入って、
薩摩富士の開聞岳を見て、知覧の武家屋敷を歩いて…
あっという間に時間が過ぎて行った鹿児島旅行。
夕刻、伊丹空港に到着しました。
今頃はお客さまもご自宅に帰り、荷物をほどきながら
鹿児島のあれこれを思い出しておられることでしょう。
私もあれこれ思い出しながら、
向田邦子さんのエッセー集を引っ張り出してみました。
何十年ぶりに再訪した鹿児島の印象を、
向田さんはこう締めくくっておられます。
「帰りたい気持と、期待を裏切られるのがこわくてためらう気持を
何十年もあたためつづけ、
高い崖から飛び降りるような気持で訪ねた鹿児島は
やはりなつかしいところであった。」
「あれも無くなっている、これも無かった――
無いものねだりの我が鹿児島鑑賞旅行のなかで、
けっきょく変わらないものは、人
そして、生きて火を吐く桜島であった。」
なぜか同感。
向田さんやお客さまにとってそうだったように
今回の訪問は私にとっても不思議と
「鹿児島ノスタルジック旅行」でした。
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貸切バス・オーダーメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行
TEL 0797-91-2260(平日8:30~17:00)
■公式ホームページ:http://www.gin-st.com
■銀ステ旅先案内人:http://ameblo.jp/arailuka
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私にとって、鹿児島はつい一昨年、
奄美大島でちょっとかすったぐらいで、ほぼ未踏の県。
でもなぜかこの土地に親しみを感じていたのは、
大好きな向田邦子さんのエッセーにふれていたからでしょう。
「…長く生きられないとわかったら鹿児島へ帰りたい。
帰るといっても鹿児島は故郷ではない。
…しかし少女期の入口をさしかかった時期を過ごしたせいか、
どの土地より印象が強く、故郷の山や川を持たない私にとって、
鹿児島はなつかしい『故郷もどき』なのであろう。」
故郷もどきへの思いを収めたエッセー集『眠る杯』のおかげで、
桜島も、開聞岳も見たことがないのに、すでに懐かしい響き。
そんな鹿児島への旅の初日、ご参加の方々に
「鹿児島は初めてでですか?」と、お決まりの質問をしてみました。
「実は、高校の修学旅行以来なの」というお声が大半。
「つまり、ほんのちょっと前のことよ」
とのご冗談はさらっと流し、
へぇ、その時代の修学旅行も意外と遠出したんだ
と感心したしだいです。
さて、鹿児島。
市内中心部を車で走っていると、
歩道橋や看板や横を走る車が
うっすら灰をかぶっているところが他の街とは違いますが、
それ以外はとりたてて特徴もないような感じ。
「なんだか街はもうすっかり変わってしまっていて、面影ないわ」
と修学旅行組の方は、しょんぼり肩を落としておられましたが、
そんな、六十年ぶりなのに比べるのがムリです!
と半ば冗談、半ば本気で申し上げながら…
午後から訪ねた島津公の別邸でその方の足が止まりました。
対岸に噴煙をあげる桜島をじっと見つめておられます。
しばらくしてにっこり、
「桜島を見たら、なんだかすこし記憶がよみがえってきました」と。
桜島を見て、指宿で砂蒸し風呂に入って、
薩摩富士の開聞岳を見て、知覧の武家屋敷を歩いて…
あっという間に時間が過ぎて行った鹿児島旅行。
夕刻、伊丹空港に到着しました。
今頃はお客さまもご自宅に帰り、荷物をほどきながら
鹿児島のあれこれを思い出しておられることでしょう。
私もあれこれ思い出しながら、
向田邦子さんのエッセー集を引っ張り出してみました。
何十年ぶりに再訪した鹿児島の印象を、
向田さんはこう締めくくっておられます。
「帰りたい気持と、期待を裏切られるのがこわくてためらう気持を
何十年もあたためつづけ、
高い崖から飛び降りるような気持で訪ねた鹿児島は
やはりなつかしいところであった。」
「あれも無くなっている、これも無かった――
無いものねだりの我が鹿児島鑑賞旅行のなかで、
けっきょく変わらないものは、人
そして、生きて火を吐く桜島であった。」
なぜか同感。
向田さんやお客さまにとってそうだったように
今回の訪問は私にとっても不思議と
「鹿児島ノスタルジック旅行」でした。
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TEL 0797-91-2260(平日8:30~17:00)
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