去年の秋、巡り巡って私のもとにやってきた中古の真っ赤な車。
とりあえず駐車場だけは借りたものの、
長らくペーパードライバーだったのでハンドルを握る自信がなく、
海外添乗がつづいていたこともあり、横目で見ながら放置していました。
でも季節が変わったせいでしょうか。
先日、急にこの車で遠出したくなりました。
すると不思議なもので、いろんなところへと連れて行ってくれるこの車に、
急に愛着が湧いてきてしまいました。
それが車であれ、自転車であれ、ぬいぐるみであれ、
愛情がわけば、人は名前をつけずにいられないのかもしれません。
まずこの子の本当の名前はなんなのかと車体を見たら、「ALLEX」とありました。 でもアレックスなんてがらじゃありません。
じゃぁ、なんて名前にしようかな?と考えたとき、真っ先に浮かんだ名が「モモ」でした。
モモとは―― 子どものころ飼っていた2代目の犬(メス)の名前です。
(ちなみに、赤犬ではなく真っ白な犬でしたが)
初代の犬の娘で、天真爛漫、いつもニコニコしっぽをふって大脱走。 愛嬌のある子でした。
そんなモモから名づけた愛車モモ号と週末ごとに出かける日々のなか、
松谷みよ子さんの訃報にふれました。
さびしかったです。
松谷みよ子さんの『小説・捨てていく話』が私はとくに好きで、
何度か引っ越して、いろんなものをあれこれ捨てていくなかで、
この一冊だけは捨てることなく、いつも必ず本棚の一番手前にある本でしたから。
訃報を告げる記事を読んでいて、
子どものころの愛読書『ちいさいモモちゃん』のタイトルにふれ、
あぁ、そうだ、モモ号の原点はここだったと気づいたしだいです。
我が家の初代の犬の名前はクー(モモちゃんちの猫プーの最初の名前)
二代目がモモ。
三代目がろくべえ(これは灰谷健次郎さんの『ろくべえまってろよ』から)
いまの四代目がまる(なんだか落語家みたいになってきました)
ちなみに、かつて可愛がっていたぬいぐるみはぷーちゃん(モモちゃんちの猫プーより)
こう考えると、私の原点は…というか、
少なくともネーミングの源は、ほぼ松谷ワールドにあるのですね。
次に犬を飼うか、モモ号を派手にぶつけて新しく車を迎えるあかつきには、
名前はもう、アカネで決まりだと思います。
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