フィリップスが一度、唇と左目に青黒い痣をつくっていた事があった。裁判所出頭の日だ。留置場で何かトラブルがあったのだろう、激しく打ち込まれた痕だ。かれはドラッグをやらない、均整のとれたアフリカンらしい強靭な体をしていた。インドにもマフィア、暴力団と言われる様なものがあったように思う、ぼくは実態を知らないが。裁判所の留置場は広い、取巻きを連れたインド人のボスらしい男がいた。そこへやはり其れらしい風体の者が呼び込まれた。それを隠すインド人の人垣。何が行われているのかは想像に難くない。第2収監区の陽当たりの良い場所で敷物の上に腰巻姿で横たわりオイル・マッサージを受けていた男はそんな雰囲気を漂わせていた。刑務所内でもインド人社会と外国人社会は一線を画していた。低カーストのインド人だけが外国人社会に下働きのような形で入り込んでいた。
インド人は今日、面会があった外国人に合計で10ルピーのクーポンを払えと掛け合いに来た。払え、払う必要がないで揉めている。ここCバラックは広くて収監者も多い。バラック内の通路、トイレ等の掃除は誰がやるという決まりはなく今までの慣例でインド人が来てやっていた。その報酬として面会があった者達から合計で10ルピーを集めインド人に渡すというものだ。そういう仕事をしているインド人は低カーストで貧しい、外国人の仕事をやって幾らかのクーポンを得ようとしていた。房やトイレの掃除、他には洗濯、食器洗い、食事の受取り、素焼きの瓶での飲み水運び、そんなものだろう。幾らの金額になるのかぼくは頼んだ事がないので分からない。
朝 晴れた Tさんがワカメ採りに行こうと車で迎えに来た 友人に貸したワカメの道具は
竹の真ん中からぼっきりと折れている ぼくも借りた道具を折ったことがあり文句は言えない
しようがない作り直しだ やれやれさぁ作業にかかろうとするとちょうど大潮の満潮になった
潮が満ちて苦労したが まあそれでもかなりのワカメを採った
茹でて冷凍パックが終わったのは昼過ぎだ 一杯飲んでラーメンを食べに行った やれやれだ