ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・46

2014-03-07 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward

 ぼくは一度大きなミスを犯してしまった。買物の時だろうと思うクーポン券の間に挟んでいたパケを落とした。それを黒人のリーダーが見つけ後でそれを同じ場所に置き誰が探しに来るのか見張っていたのだ。パケを落とした事に気付いたぼくはショッカンに相談し2人で探し回った。見張っているとは知らないぼくらはパケを見つけ拾ったところで奴に捕まった。奴は何をしたかったのか、刑務官への報告はしていないし出来ないだろう。誰から買ったのか、と愚図愚図言ってパケを返そうとしなかったが最後には戻してくれた。その代償としてビリ4本を取られた。もしインド人が見つけ刑務官に報告していればその程度では済まない。奴はぼくへ貸しを作ったという優位な立場に立った、高値のビリを買わされるかもしれない。模範囚とはいえお金は必要だ。彼は今年の正月で7回目だとぼくに言った、気の遠くなるような時間だ。20代の大切な時期の10年間、その代償の支払いは大き過ぎる。
 寒い日が続いている。毛布を3枚重ねて掛けているがインドの毛布は重くて厚いだけで暖かくない。肩の隙間から冷たい風が入ってくる。トイレから戻ってくるサンダルの音もパタパタと急いで寝ているぼくの横を通り過ぎた。夜中11時半、眠れない。静かだ。寒くて頭から毛布を被って眠る。
   1月4日(水曜日)
 明日は裁判所出頭日になっている。午後、弁護士がセンターゲート・オフィスに面会に来た。ぼくが依頼した弁護士のジュニアーらしい。明日もボスではなく彼が立ち会うらしい、それとマリーだ。弁護士はフィリップスの意見を重視して決めた。ぼくの為、外で働いてくれる人がどうしても必要だ、大使館、弁護士それとぼくを繋ぐ大切な要がマリーだ。彼女を信用して今後の裁判の進行を考えていきたい。ぼくはマリーに託す大使館宛の手紙を書いた。
一、マリーはぼくが信頼する代理人です。
二、マリーが持参するぼく自筆の手紙での依頼については対応して頂くようお願いします。


冬型の天候が続いている 北西の冷たい風が強く吹く こんな日は何もできない
去年の今頃は甲イカ 飯蛸が釣れ 青なまこは幾らでも採れた 
イカは卵を抱いて産卵のために湾へ入ってくる 今その反応がない
コメント
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