ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・49

2014-03-13 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward
 ピーターは何故だか評判が良くない。アフリカンに軽く見られていた。キシトは露骨にあまりここには来ないでくれとピーターに言った。どんな理由からなのかぼくには分からない。だが彼はスタッフが欲しいのだ。ここにいると人種の相互関係が少し分かるような気がする。ヨーロッパの上位はイギリス、フランスそれにドイツだと思う。そしてこの三国の人間関係はとても冷やかだ。親しく接触している場面をぼくは見たことがない。アミーゴはドイツ人には冷たかったがイギリス人、フランス人、イタリア人とは親しかった。ヨーロッパ各国は接近しているせいか言葉はある程度、相互に理解し合えるのではないだろうか、イギリス人がアミーゴにスペイン放送のあるタイトルを言って聴いていたとスペイン語で話をしていた。ドイツは2回の世界大戦でヨーロッパ、北欧を侵略し破壊した忌々しいイメージから抜け出せないのかもしれない。狭いCバラックの中でいろんな言葉が使われている。英語、スペイン、イタリア、アフリカ、ヒンディー、ウルドー、シンハリ、フランス語等だ。
 今夜は1パケ半も吸ってしまった。明朝は裁判所出頭日だ。ジャンバー、ズボン、靴に靴下すべてディクソンから借りて用意してあるが朝はちょっと忙しい。眠れないが寝床に潜り込む。


空はどんより曇って朝から雨だ 一日中降るだろう こんな日は気分が重い
つい焼酎の瓶に手が伸びる 昨日午後 せりの胡麻和えは美味いと中ちゃんから連絡があった 
山のつづき
おばちゃんとの話を報告しに車に戻った 田んぼの中をずぶずぶと歩いて長靴は泥だらけだ 小道を下って小川へ行き長靴を洗う 戻っていると中程に草を手にした中ちゃんがいる これが赤せりたい せりの匂いがするやろう 鼻で嗅いでみるが彼の煙草の煙しか感じない どこにあった 田んぼになんぼでもある 彼がレジ袋を取りに行く間せりを摘む 小道をおいさんが歩いてきた 土地の人ですか? そうや 草を見せてこれはせりですか? おいさんは あほかという顔をしてれんげだよ れんげぇ そんなもんも知らんのか   れ れ れ れんげぇ?稲の肥料になるんや 浄水場は市民の生活水だ農薬は使えない おいさんとすれ違い中ちゃんが下りてきた れんげだって れ れ れ れんげぇ~ 丸い小さなピンクの花 田んぼ一面に咲く蓮華草それだったのだ 草をほたって車に乗る 竹の子を掘るつもりのスコップは用無しになった 帰り道 車中で焼酎を飲んでいると うおぅ~くさ~ 焼酎はくさ~ぃと言う 自分は運転で飲めないからだ 地元に戻れば青せりはなんぼでもあるそれを採って帰ることにした・・・つづく
コメント
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