春に目覚めた新芽が若葉となる初夏、薫風に枝はそよぎ、淡い緑が、さわさわとまばゆく軽やかに翻る。新たな命を名残惜しげに見守る春の湿り気を、乾いた風はすっぱりと吹き払い、新芽に活力を与え、生き残る厳しさと命を紡ぐ役割を説く。
時に威勢良く、時になだめるように、穏やかな春に甘えていたい若い芽の背中を押しながら、風は緩急自在に樹々を渡る。
おずおずと枝に連なる柔らかな萌葱色が、風を受ける毎に艶やかな光沢を増し、やがて深緑の夏葉となって輝き、陽の力を樹の幹や根へと伝えるまでにたくましくなると、風はどこかへ去っていく。
五月晴れの空を、カラカラとおおらかに笑いながら吹きゆく風は、少し厳しいけれど心根の優しい、からりと潔よい兄貴風。
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