19日は仲秋の名月ですので、月にちなんだエッセイを・・
月あかり
夜半、枕元を照らし出す不思議な明るさに目が覚めた。夜明けの色とは違う銀の光をいぶかしく思いカーテンを開けると、ミッドナイトブルーの空に木立が影絵のように浮き上がり、枝の間に満月が冴え冴えと浮かんでいる。こんなにも光り輝く月あかりを見たのは初めてだった。
太陽は、家々に迎えられるのは当然、といわんばかりの自信に満ちた金色の帯を勢いよく窓に射し込む。それに比べ、温もりを携えない蒼く透きとおった月の光は、時に冷たく妖しいと疎んじられ、時に神秘的な美しさを讃えられるが、おずおずと戸惑いながら窓辺にゆらめく様はどこか恥ずかしげにみえる。
月は日々姿形を変えては、はかなく湖上をうつろい、すがすがしく山あいに佇み、銀の雫となって心の奥深い襞にそっと触れる。すべての音を吸い込んでしまいそうな穏やかな静謐は、幸せに満ちた者より、世の流れに取り残された不運を嘆く者に優しい。
「私だって陽の光のご機嫌に翻弄されているのですよ。それに陽が何日も見えなければ皆大騒ぎするのに、私なぞ何日姿を見せなくても、誰も気にしたりなんかしません。でも、あなたが私に気づいてくれたように、きっといつか誰かがあなたに気づいてくれますよ」
月下に音を奏で、詩や物語を綴った人々は、漆黒の闇をひそやかに漂う銀糸のヴェールと戯れながら月とみつめ合い、こんなささやきを交わしたのかもしれない。それは自身の内なる声との語り合いでもあっただろう。
夜の色が残されていた地方ですら派手なイルミネーションがもてはやされる今日では、このような情景を想像することは難しい。人々は月あかりから眼をそらし、自身の心に背を向けて、あだ花のように華やかなだけの人工的な輝きに刹那的な高揚を分かち合う。
しかしその輝きが増せば増すほど、人と人との温もりが失われ、心の内が荒涼としていくような気がする。
イルミネーションは空に月や星の輝きを失った殺伐とした都市を明るく暖かい雰囲気にする、という考え方もあるが、その画一的なきらめきに惑わされ、人はいつしか天空の美しい輝きを忘れ、自身と語り合うことも忘れ去ってしまうように思えてならない。
こんな不安をよそに、月は点滅を繰り返すイルミネーションを静かに微笑んで眺めながら、いつか人々が再び自分の存在に気づいてくれるのを、気長に待っているのかもしれない。
とりとめのない考えを巡らせているうちに、月が傾いたのか、いつしか窓辺の明るさが消え、わずかにうとうとした、と思ったら、月の憂いなどまるで頓着しない陽気な朝日に起こされた。
きょうも一日が始まる。私は昨夜の月あかりをいつまで心に留めておけるだろうか。
何となく手持ちぶさとか、知らない人同士の会合で早く打ち解けたいとき、面白いクイズを教えて貰いました。3つの字に共通する字を探して言葉にするのです。たとえば食・服・式に共通する字。
この場合は答は和もしくは洋。答がひとつでないこともあります。
いろいろバリエーションが作れそうです。その人の出身地の地名を入れてもらえば、さりげなくいろいろなこともわかるし。
例えば、穂・山・尾だと答は高です。渋滞にはまった御家族など、お子さんと楽しんでみてはいかがでしょう
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過日の新聞に、40歳代女子なる方のエッセイが掲載されていました。
彼女は仕事の打合せのため、同世代女子数人で平日は紅茶とサンドウィッチやお菓子がお得なセットになっている高級ホテルのティールームを利用しました。彼女はその時の行状を得意げにエッセイに書いていました。
以下Aはこの方の行状、Bは私たちサービス業にとって素敵なレディーと映る行為です。
A:この中で一番高い紅茶はどれですか、とウェイターに尋ねました。同じ値段なら、一番高いのを頼むのがお得だから。
B:それぞれの紅茶の特徴を説明して下さい、とウェイターに頼みます。自分の好みの中でも、今まで味わったことのない紅茶をこの機会に試してみたいから。
A:手の込んだサンドウィッチが素敵。自分で作るのは面倒くさいけど食べるのだけは大好き、そうそう、紅茶は3杯以上飲まないと元がとれないから、最低3杯はノルマよ。と頬張る。
B:手の込んだサンドウィッチが素敵。今は時間的に無理だけれどいつか自分でも作ってみたいから、とひとつひとつ紅茶とともに吟味しながら味わう
A:お腹がいっぱいでマカロンのお菓子が食べられない。損だから、ハンカチに包んで持って帰ろう。紅茶も5杯飲んだから、十分お得だったなー
B:お腹がいっぱいでマカロンは無理だわ。こちらのお店でマカロンを売っていたら、2つほど頂きたいので、それと一緒にこれを包んで下さい。と頼み、食後の紅茶を適量味わう。
お得やお金に支配される行動はあまり美しいとは思えません。40代はレディーとオバサン化への分かれ道、貴女の背中を若い女性がみているかもしれませんよ。
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