末日聖徒イエス・キリスト教会(通称モルモン教会)は2015年度、日曜学校成人クラスで新約聖書を取り上げる。楽しみである。読み進めていくに当たって、優れた参考書が数多くあるが私は今年、原典資料集を並行して読んでいきたいと考えている。
それはブリガムヤング大学で S. Kent Brown 教授の「新約聖書の時代」(宗教514)を取った時、C. K. Barrett の「新約聖書の背景、精選資料」という書籍が参考文献として購入するよう提案されていて、それ以来参照し重宝してきたからである。今年も続けてこの本も参照していきたいと思っている。
類書が日本でも山本書店から「原典新約時代史」が出ていた。1976年、蛭沼寿雄、秀村欣二、新見宏、荒井献、加納政弘編。そして、2013年大貫隆と筒井賢治編訳で「新約聖書・ヘレニズム原典資料集」が東京大学出版会から出ていた。これは注解書のように新約聖書の本文に合わせて、関連した資料を掲げているので、読みやすく大変参考になる。例えばヨハネによる福音書冒頭のロゴスを含んだ箇所について、解説と三つの資料が掲載されていた。(本ブログ直前の記事参照)。
聖書を原語で読むこともそうであるが、聖書が書かれた背景を同時代に書かれた資料から理解して聖書を読むことは、宗派の違いを越えて(教義の相違など心配することなく)聖書に近づけるので、本気で聖書の理解を深めたい人々に薦めることができる。
日本語訳聖書は岩波書店「新約聖書」(2004年)がそうそうたる翻訳者によっており、註がしっかりしているので、これを用いている。読む時は英語訳 Revised English Bible (NEBの改訂版)で本文を読み進めている。多少の格調を求めてである。
(なお、lds教会はカリキュラムの再編を検討していて、テーマ別のコースに変更する可能性がある。私は4つの聖典を順に取り上げていくことが今年で最後にならなければよいがと本気で懸念している。)
C. K. Barrett の書名・・“The New Testament Background: Selected Documents.” Harper Torchbooks 1956 (first published in London), 1961.
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「新約聖書の背景、精選資料」の紹介ありがとうございます。
興味深いです。
現代は多くの資料が手に入りやすい環境にあってアマゾンなどで取り寄せたり、瞬時にデジタル資料を取り寄せることができます。
地元のユニットでは、あの重たい4大聖典や責任の資料をバックにパンパンに詰め込んで集う姿がほとんど見られなくなりました。
当たり前のようにスマホやタブレットで読んでいます。
ほんの10年前に苦労してPalmデバイスに聖典をいれ奇異の目でみられていたのが嘘のよう。
10年ひと昔とはよく言ったものです。
NJさんの先進性リベラルの大切さに気がついた先駆者ではあるかもw
予想に反して、ロムニー氏、2016年の米大統領選出馬を検討だそうで。。また忙しくなるかもですね。