2008年シグナチャ―出版から出たこの7分冊からなるモルモン書
は、1830年の初版を基に、各部分に対して著名な学者(末日聖徒)
の概論(introduction)を添えた読者家版モルモン書である。初め、
故BYU教授ユージン・イングランドが着手した企画であったが、
2001年に亡くなってUCLAの文学・モルモン学のロバート・A・リ
ーズが引き継いで、今年出版された。
7分冊に序論を寄せたのは、クローディア・L・ブッシュマン、エ
リザベス・ホーイ、ウイリアム・A・ウィルソン、ロバート・A・
リーズ、ダグラス・セイヤー、リンダ・ホフマン・キンボール、
ステイーブ・ウオーカーである。ブッシュマンはR.L.ブッシュマ
ン夫人で、4人がブリガム・ヤング大学の教授陣、キンボールは
イリノイ在住の著述家である。
章節毎に註解を施したものではないが、「長い旅立ち」の第一冊
から始めて解説(評論)とともに本文を読んで、一つの読み物と
して初版の体裁から改めて新しい発見や感慨が得られるのではな
いというのが本書の目的である。日本では昔出た講談社の6巻か
らなる「聖書の世界」のような感じであろうか。全1,048ページ。
教会内外から最近数年間に幾種類ものモルモン書が刊行されたこ
とになる。この読者家版は読者が各自の人生経験、知的・霊的背
景に照らして物語り(narrative)を読むときに新たな洞察を得ら
れることを期して出されたものである。個人的には、イングラン
ド、リーズとも親しみと敬意をいだいている思想家・学者である
のでこの刊行に興味を感じている。また、各概論を担当した気鋭
の学者にも改めて注目したいと思っている。
“The Reader's Book of Mormon” edited by ROBERT A. REES ,
and EUGENE ENGLAND. Signature Books. Boxed set of seven
paper-back volumes 1,048 pages $40.00
http://www.bycommonconsent.com/2008/05/review-the-readers-book-of-mormon-7-vol-boxed-set/
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