「スダイダイ」
酢橙は瀬戸内の島嶼部で広く栽培されてきた品種で、周防大島では「酢みかん」の定番であり、次世代に伝えたいすぐれた食文化の一つです。「果樹園芸大百科15 常緑特産果樹」(農文協、2000年)には、次のように記されています。
ダイダイ類の酸味は品種によっても異なるがだいたい5%あり、古くから食酢に利用されている。独特の香りと酸味は他の酢みかん類と同様さしみや鍋物によく利用されるが、ふぐ料理には欠かせないものである。果実が落果しないで長く樹上にとどまり、新旧の果実が重複して成り、代を重ねる。つまり代々として、ユズリハと同様に正月の縁起物とされる。また、黄橙色~赤橙色の果皮は黄金色に通じるとして、ミカン類は正月の縁起物となる。
とはいえ、「新旧の果実が重複して成」るまで樹上に成らせておくと、スあがり(果肉がスカスカになり果汁が無くなる)を起こします。食用としては実の青い11月頃から穫入れを始めます。この時期の酢橙は香りも清冽で、いちばん美味しいといわれます。12月に入ると文字通り橙色に色づいてきます。正月のお飾りに葉付きで使用するには、色づき具合が重要視されます。家庭用では大体2月末頃まで樹に生らせておいて要る分だけ穫入れて使います。色づいたものは香りが少し落着いた感じになりますが、これもまた美味いものです。
*https://mizunowa.hatenablog.com/entry/2019/01/28/152425 より
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