私はこれまで、日本が普通の国なら軍隊を持つべきであり、そのためには、当然憲法を改正しなければならないと考えてきました。
その先を何も考えていませんでしたが、岡田啓介氏の『回顧録』から始まり、白石正義氏の『私の昭和史』、末松太平氏の『私の昭和史』、そして高橋氏の『二・二六事件』を読み終えたところで、自分の前に大きな課題が存在していることを知らされました。
憲法改正後の「日本国の軍隊」は、どうなければならないのか・・ということです。
大した知識のない年金暮らしの自分が考えなくても、政治家や官僚や学者に任せておけば済む話だ。優秀な専門家が沢山いるのに、素人の自分が、何をわざわざ口を挟むのかと、そんな思いで今日まで来ました。
しかしこうして本を読みますと、「5・15事件」も「2・26事件」も、そんな昔の話でなく、現在i無縁と、簡単に割り切ってならないものがあると知らされました。
過去の悲劇を繰り返さないためには、素人であろうと、門外漢であろうと、国民の一人として、軍隊に関する自分なりの考えがいると教えられました。
軍隊の役目は、敵から領土と国民を守ることです。どんなに凶暴な敵が、どれほど強力な武器で襲ってきても、怯まず、断固として戦う組織です。命を亡くすことを恐れない軍人たちは、崇高な使命を持つ誇り高い組織です。
しかし同時に軍隊は、国内最強の武力集団でもあります。
軍隊が何かの拍子で走り出すと、誰にも止められない暴走につながります。「5・15事件」と「2・26事件」も、その暴走の一例です。〇〇事件、内乱、騒乱、そしてクーデターと、世界のニュースが今も他国の軍隊の有様を伝えています。
「軍国主義の戦前に、戻ろうとする危険な日本」
「戦争の足音が聞こえてくる。」
マスコミが国民の不安を煽り、憲法改正をさせまいとしていますが、私は反日左翼でありませんから、このようなスローガンに惑わされません。
「国民は、自分の身の丈にあった政府しか持てない」、という言葉があります。愚かな国民しかいない国には、愚かな政府があるように、愚かな国民しかいない国には、愚かな軍隊があります。
反日のマスコミは、戦前の軍隊を頭から悪と決めつけ憎悪の対象にしています。戦後書かれた軍事関係の書物は、ほとんどが日本の過去の否定で貫かれています。肝心な部分を省き、事実を故意に曲げ、日本の戦前を悪いものとして伝えます。
幸い今回手にした一連の書物は、反日・左翼の人間たちが書いた本でなく、日本を愛した人々の著作でした。愛国の檄を飛ばしたり、戦争を美化したりせず、事実を静かに綴り、過去を語ってくれました。だからこそ、著者たちに教えられました。
「独立国になるには、軍隊が必要である。」
「節度ある軍隊を持つには、何が大切なのか。」・・・この二点です。
自衛隊については、災害時の献身的活動しか報道されませんので、私たちは何も知りません。人間の集団につきものの派閥や、対立などあるのでしょうが、何も伝わって参りません。
しかし憲法が改正された後の軍隊について、国民である私たちが今から考えておくのは重要なことです。
国防という使命を持つ誇り高い組織であるにも拘らず、戦後72年間の間、自衛隊は日陰者として存在してきました。憲法改正と同時に軍隊となり、軍人として目覚めたとき、激しい反動が来るのではないでしょうか。
節度ある軍隊であり続け、国民の信頼を保持するため、どんな工夫が必要なのでしょう。
「5・15事件」や「2・26事件」の時のように、皇道派や統制派という派閥はありませんが、現在の自衛隊には、看過できない内部対立があります。防衛省内の事務官である背広組と、制服組の自衛官の間にある大きな確執がそれです。
防衛省の中では現場の自衛官が制服組と呼ばれ、防衛大学の出身者は自衛官に任官した時から制服組となっています。それ以外の事務次官、参事官、内部局員、事務官、技官が、背広姿で執務しているので俗に背広組と呼ばれています。
現行憲法のもとではシビリアンコントロールのため、背広組の事務官が組織的には制服組の上に位置していると説明されますが、何度聞いても疑問が残ります。
背広組というのは、同じ自衛官だが配属先が現場でなく、たまたま省内のデスクワークをしているという区別なのか。それともデスクワークの彼らは一般の国家公務員なのか、どの説明を読んでも明確に書かれていません。
デスクワークの一般官僚が、現場で命をかける自衛官の上に立ち、それでコントロールできるのかと、門外漢の私でも危惧をします。庶民の常識がやはり正しかったのか、平成27年6月に「改正防衛省設置法」が成立し、「背広組優位」の規定が撤廃されていました。
軍服を着た者が暴走し、背広を着た人間が暴走しないと、そんな考えがどこから来るのでしょう。
相変わらずの話ですが、背広組と制服組を対等にすると「文民統制(シビリアンコントロール)が弱体化する恐れがあると、民進党や共産党などが国会審議の採決で反対したそうです。
売国の政党は自衛隊を無力化するため、反日学者の知恵を借り、愚かしい屁理屈を述べますが、国を愛する私たちは、自衛隊を立派な軍隊にするため頑張らなくてなりません。背広組と制服組などという変な派閥が、軍隊となった後も対立しないよう、共産党や民進党の介入をさせないよう、しっかり監視しなくてなりません。
肝心の本の話から外れてしまいましたが、何のためにこれらの本を読んでいるのかを、語らずにおれませんでした。いつか読んでくれる息子や孫たちのためにも、遺しておきたい意見でした。
明日はもう一度著書の紹介に戻り、最終回にしたいと思います。
本日は大型台風接近のため、関東地方は一日中雨で気温がぐっと下がり、肌寒いほどでした。久しぶりに熱燗を一杯といきたいところですが、残念ながら今日は休肝日で呑めません。
人生には思い通りにならない、こんな日もあります。