思想、文化、民族、宗教等の違いで、国内が分断されている例を、氏の著書から紹介する前に、今の私が知っている、深刻な分断国家について書き出してみます。日本のマスコミと出版物が、教えた事実ですから、氏の著作との比較にもなります。
1. アメリカ
アメリカは世界に対し、自由、平等、人権尊重と、声高く主張し、これに反する国々を激しく非難する。韓国や中国人が、彼らの国で、慰安婦問題で日本を攻撃するとき、この捏造の活動を黙認しているのは、米国人の多くが、自由、平等、人権尊重を、日本が無視していると考えているからである。
しかし米国は、建国以来自国内で、克服しがたい人種差別問題を抱えている。それが黒人問題で、彼らはここに触れられることを忌避し、世界のマスコミも、この問題はあまり記事にしない。黒人と白人の対立は多くの良心的な米国人にとって、奴隷制度のあった過去も、現在も、そして未来も、国を分断する深刻な問題である。米国人の多くが、人種差別を乗り越えようと、渾身の努力をしている。
2. 中国
習近平氏が公言したように、中国は今、漢民族の歴史を取り戻し、栄光の過去を再建しようとしている。中国は多民族国家で、56 の民族で構成され、このうち漢民族は人口の約91%と圧倒的多数を占めている。残りの 55 民族を少数民族と呼び、彼らが居住する地域では、自治の原則に基づき、5 つの自治区、30 の自治州、123 の自治県が設けられている。
14億人が住む中国でなので、少数民族と言っても、他国と比較すれば一つの国の人口に匹敵する民族が沢山いる。しかもその民族は、資源の豊富な広大な土地に住んでおり、中国政府は彼らの土地を漢民族のものとするため、工夫を凝らしている。多数の漢民族を移住させ、軍事力を使い自治区の指導者を追放したり、殺害したりしている。
新疆ウイグル自治区、チベット、内モンゴルなどがその例だが、日本のマスコミは全く報道致しない。少数民族は、宗教も違い文化も異なっているため、いつ武力衝突が生じるのか、誰にも分からない。漢民族が少子高齢化となりつつある現在、今後の中国がどうなっていくのか。経済だけでなく、深刻な国内分断の予測がある。
3. 韓国
大統領が交代するたび、刑務所に入るという不思議な文化を持つの韓国は、「日本叩き」をすれば、国内が一つにまとまるという、おかしな国である。2000年の歴史を持つと言いながら、高々35年間日本に統治されただけで、韓国がダメになったと大騒ぎしている。勇猛果敢で、優秀な朝鮮民族が、35年間も日本に屈従していたというのなら、どこが勇猛果敢なのかと素朴な疑問がある。
日本による統治は、韓国人の一部知識層が指摘するように、韓国の近代化に貢献した時期でもある。韓国の指導層は、己の失敗を糊塗するため、悪いことを全部日本のせいにし、日本への憎悪を国民に植えつけた。韓国統治期間に善意でやったことの多くが、韓国人に逆恨みされている。
以上、日本のマスコミと出版物から私が得た知識を、まとめました。日本がやったことは、「小さな親切、大きなお世話」だったと、自分なりに結論を出しています。
韓国内で「知日派」と呼ばれている親日韓国人は、売国奴と同じ意味だそうです。戦後の韓国には日本親派と、憎悪派との二つの勢力が国を分断しています。マスコミが報道しないので多くの日本人は知りませんが、これが当分の間、韓国での大きな問題でしょう。
氏の本を読んで分かったのは、韓国や中国が問題なのでなく、隣国という位置が問題を生じさせるのだと、そんな気がしてきました。日本の隣に、パキスタンがあり、インドネシアがあったとしても、摩擦やトラブルがあるはずという予測です。
風俗、習慣、思考方法が異なれば、摩擦の生じないはずがなく、世界のどこを見ても、隣国同士が敵対し、憎み合っています。仲良くしている国がなく、これがまさに、「文明の衝突」というものの始まりでしょう。
中国や韓国・北朝鮮との関係が、今のままで良いと言っているのではありません。せめて日本人の側だけでも世界の現実を知り、無用な自己反省や、無意味な謝罪をしないように、賢くなりたいものです。
願わくば「九条への愚かな信仰」をする人間を減らし、現実に即した日本人を増やしたいものです。自分の国を守る軍隊を持ち、米国軍が居なくなる国にしなくてなりません。
ここまで来ますと、完全にハンチントン氏の書評を外れるので止めます。