「戦中編」には、15人の証言が収められています。本書の区分によりますと、「戦中」とは、昭和16年の7月に「国民学校令」が公布され、従来の小学校が廃止となった時から、昭和20年8月の敗戦までの約4年間です。
この時期の国民学校の生徒たちの、経験談がまとめられています。15人の証言者は自分の経験を述べていますから、嘘を言っているのではありません。読むと戦前の日本を嫌悪し、軍国主義と天皇絶対主義を批判したくなります。
前回までは、証言者が反日左翼の学者たちでしたから遠慮なく反論しましたが、今回は当時の小学生だった人々という説明なので、大人しく読みました。「自主憲法の制定」「皇室護持」という日頃の願いが、戦中の再来を招くのだとしたら ?・・と、そころまで思いが行きました。
証言者たちはどういう人なのだろうとふと疑問が生じ、略歴をネットで探しました。コメントは後ですることにしてその結果が下記で、息子たちと「ねこ庭」を訪れる方々に先ず紹介します
1. 中内敏夫氏
「昭和5年高知県生まれ、 平成28年没、90才」「日本の教育学者、東京大学大学院卒、」「一橋大学名誉教授、明治期教育史等研究」
2. 安川寿之輔氏
「昭和10年兵庫県生まれ、 85才」「日本の市民運動家、社会思想研究者」「名古屋大学名誉教授」「不戦兵士・市民の会副代表理事、韓日平和100年市民ネット共同代表」
3. 赤嶺秀光氏
「昭和23年沖縄県生まれ、 72才」「フリーライター」
4. 山中恒 ( ひさし ) 氏
「昭和6年北海道生まれ、 89才」「早稲田大学卒、作家、児童文学家」
5. 本間芳男氏
「昭和8年新潟県生まれ、 87才」「小学校教諭、日本児童文学者協会会員」
6. 伊藤静夫氏
「昭和11年岩手県出身、 84才」「小学校教諭」
7. 山川久三氏
「昭和4年高知県生まれ、 91才」「県立高校教諭」「詩人」「昭和40年、中国大連にて日本語学校勤務」「翌年、文化大革命にて帰国」
8. 橋本寛之氏
「昭和8年大阪生まれ、87才」「大阪大卒、県立高校教諭」「大阪文学学校講師、阪南大学教授」
9. 川崎彰彦氏
「昭和8年群馬県生まれ、平成22年没、77才」「日本の詩人、作家」「早稲田大学卒、北海道新聞記者」「退職後、大阪文学学校講師」
10. 清水清一氏
「昭和7年岩手県生まれ、 88才」「中学校教諭」
11. 林 一夫氏
「昭和8年北海道生まれ、 87才」「編集者」
12. 槙美宝子氏
「昭和10年東京生まれ、 85才」「主婦」
13. 奥田継夫氏
「昭和9年大阪生まれ、86才」「児童文学作家、評論家、翻訳家」
14. 新村徹氏
「昭和11年京都生まれ、84才」「桜美林大学講師」
15. 和田多七郎氏
「昭和10年秋田県生まれ、 85才」「高校教諭」
12番目の槙美宝子氏を除きますと、他の人々はマルクス主義者、あるいはその親派でなんらかの形で反日活動に関係している著名人でした。本当の一般人であれば、ネットで検索して略歴が見つかることはありませんので、15人は経歴を隠して選ばれた人物ということになります。
本は、昭和51年に「教育証言の会」が編纂・出版したものですが、このように姑息な工夫をしていました。履歴を調べたのは偶然でしたが、本の恐ろしさと活字の持つ力を今回ほど感じたことはありませんでした。
冷静に考えると、やはり自分の経験と常識の方が勝ることが証明されています。15人は口々に当時の教師や、学校や、大人たちの酷さをを批判しますが、私は両親や周りの大人たちに、そんな思いを抱いた記憶がありません。
証言者たちの言う狂ったような日本が事実だったのなら、同じ時代を生きた自分が、周囲の大人に狂気を感じなかった不思議さがあります。
昭和16年から昭和20年8月までの話だとすれば、昭和18年12月生まれの私が母に背負われ、満州から引き揚げている時と重なります。昭和20年8月以降日本はGHQに統治され、政府や軍の悪口が何でも言えるようになっていました。ですから、証言者たちの言うひどい話が、子供だった私に何も伝わらなかったという不自然さが生じます。
これだけの人数が口を揃えて批判をすれば、読者は知らぬうちに証言を信じてしまいます。嘘は言っていないのでしょうが、15人は事実を「針小棒大」に語り、戦時中の日本を捏造しています。同書がしているのは、いわば「情報操作」でしょう。
現在の日本で、「トロイの木馬」である反日のマスコミが声を揃えて捏造報道を拡散し、国民の多くが信じている構図に似ています。
今回は情報を得るため回り道をしましたが、次回から具体的な証言の話に入ります。