ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

プーチン氏の演説と「ミンスク合意」 

2022-05-11 19:15:41 | 徒然の記

 2月24日の日経新聞の記事を紹介します。「ミンスク合意」の説明です。

    ・2014 (平成26) 年に始まった、ウクライナ東部紛争を巡る和平合意である。

   ・ロシアとウクライナ、ドイツ、フランスの首脳が2015年2月にベラルーシの首都ミンスクでまとめた。

   ・ロシアを後ろ盾とする親ロ派武装勢力と、ウクライナ軍による戦闘の停止など和平に向けた道筋を示した。

   ・大規模な戦闘は止まったものの、合意後も断続的に戦闘が続いた。

   ・合意のポイント

      ・ウクライナ東部での包括的な停戦

      ・ウクライナからの外国部隊の撤退

      ・東部の親ロシア派支配地域に、「特別な地位」を与える恒久法の採択

      ・ウクライナ政府による国境管理の回復

   ・合意実行に向け争点となったのが、親ロシア派武装勢力が占領するウクライナ東部の2地域に幅広い自治権を認める「特別な地位」を与えるとの内容だった。

   ・ウクライナは、事実上のロシアによる実効支配につながると警戒。ウクライナ国内では合意そのものがロシアに有利な内容との不満も出ていた。

・ロシアはウクライナが合意を実行せず、武力解決を試みていると主張し、同国への圧力を強めた。
 
・ロシアは「紛争の当事者ではない」との立場をとり、合意にあるウクライナ領からの外国部隊や雇い兵の撤退、ウクライナ政府による国境管理の回復も進まなかった。
 
・合意の実行は、ウクライナ情勢の緊張緩和へカギを握るとみられていた。 

 以上日経新聞による「ミンスク合意」の説明です。この間プーチン氏は、事態打開に向けてはウクライナがNATO加盟方針を撤回し、「一定の非軍事化」を図ることが重要とだとの要求を続けたと言われています。

 戦勝記念日の演説で、プーチン氏が次のように述べていたのは、「ミンスク合意」の折衝時のことではないかと思います。

 「去年12月、われわれは安全保障条約の締結を提案した。」「ロシアは西側諸国に対し、誠実な対話を行い、賢明な妥協策を模索し、互いの国益を考慮するよう促した。」「しかし、すべてはむだだった。」

 「NATO加盟国は、われわれの話を聞く耳を持たなかった。つまり実際には、全く別の計画を持っていたということだ。われわれにはそれが見えていた。」「ドンバスでは、さらなる懲罰的な作戦の準備が公然と進められ、クリミアを含むわれわれの歴史的な土地への侵攻が画策されていた。」

 合意の議定書が作られても、ゼレンスキー氏が確約せず、曖昧なままに終わっていたと言う実情のようですが、果たしてこの交渉がプーチン氏の言うように、誠実なロシアと聞く耳を持たないドイツとフランスだったのかは、不明です。

 大規模な戦闘をやめても双方が軍を引かず、小競り合いの紛争が続いていましたから、プーチン氏は不信感を高め、ベラルーシ軍と合同演習を実行します。中国やアメリカがよくやる武力による威嚇行為です。いつでも戦う用意があるぞと、相手を脅す武力の誇示でもあります。大国ではないのに、核を持った北朝鮮が、無闇にミサイルを発射し、日本を威圧しているのも似たような行為です。

 危険な世界の状況を、沈静化させるのでなく、危機を高めているのがバイデン大統領です。次回は、挑発としか思えないバイデン氏の談話を紹介します。

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プーチン氏の演説と「ウクライナ東部紛争」

2022-05-11 14:56:41 | 徒然の記

 核戦争の可能性を孕んでいるため、ロシアのウクライナ侵略から目が離せなくなっていますが、その危機がなければ、私たち日本人には直接関係のない戦争でした。

 プーチン大統領の演説についても、「ねこ庭」で何度も取り上げる必要がありませんでした。元々はウクライナの内戦で、もう少し広げても、ウクライナとロシアの2国間の問題であるはずでした。EUが絡みアメリカが絡んできたのは、ソ連崩壊後の「ウクライナ東部紛争」と「ミンスク合意」からです。

 ウクライナ情勢の鍵を握る「東部紛争」と評して、2月19日に、東京新聞が分かりやすい説明をしていますので紹介します。同紙は朝日新聞に次ぐ反日左翼新聞ですが、崩壊後のロシアは仲間と思っていないらしく、厳しい見方をしています。

  ・ウクライナ東部紛争は、2014 ( 平成26 ) 年に始まった。

  ・2014年の民主政変によって、親欧米政権が誕生したことにプーチン政権が反発した。

  ・プーチン政権の主導で、東部のドネツク・ルガンスク2州で親ロ派武装勢力が蜂起した。

  ・親ロ派とウクライナ政府軍の間で激しい戦闘となり、双方で約1万4000人が死亡した。
 
  ・親ロ派は「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」と称して東部の一部地域を実効支配した。
 
  ・親ロ派はロシアが政治的に指導し、軍事・経済両面で支援する「傀儡」である。
  ・ロシアは東部紛争をウクライナの「内戦」と呼び関与を否定しているが、先進7カ国(G7)はロシアを「紛争の当事者」と位置付けている。
 
  ・ロシアが、親ロ派地域のロシア系住民の保護を名目に、ウクライナに侵攻する恐れが指摘されている。
 
  ・ロシア側が「ウクライナ軍から地元住民が攻撃を受けた」と虚偽宣伝を行う懸念がある。
 
  ・和平プロセスは、2015年2月にウクライナ、ロシアに仲介国の仏独を加えた4カ国で決めた「ミンスク合意」で設定されている。
 
  ・同合意には外国部隊の撤退のほか、ウクライナ政府が親ロ派武装勢力と直接対話し、自治権などの特別な地位を与えることも明記。
 
  ・ウクライナ政府は主権が制限されるとして、履行に難色を示している。
 
  ・ドイツのショルツ首相はウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、「特別な地位」の付与に向けた手続きを進めるとの言質を取り付けた。
 
  ・フランスもウクライナに対し、「ミンスク合意」の履行を強く求めている。
 
  ・ミンスク合意はロシアにとって有利な条件であり、親ロ派地域が自治権を獲得すれば、ウクライナのNATO加盟問題に介入する可能性がある。
 
  ・一方で、「ミンスク合意」が確実に履行されるなら、軍事行動は踏みとどまるとの指摘もある。ただ東部で大規模な戦闘が再開する恐れもあり、悲観的な見方も出ている。

  「ミンスク合意」時点でのロシアは、クリミア半島については編入を宣言し実効支配していますが、ウクライナ東部2州の紛争については「ウクライナ国内の問題」という立場をとっていました。東京新聞が説明しているように、東部地域で独立宣言しているのは、親露の傀儡政権だと思っています。ゼレンスキー氏がNATO加盟に動けば、紛争が再発すると言う意見にも同意します。事実、事態はそのように推移しました。

 ドイツとフランスとの仲介で、ロシアとウクライナが歩み寄った「ミンスク合意」は、ガラス細工のような危うい約束で、いつ壊れてもおかしくない決め事でした。わたしたち日本人はこの経緯を知らないのですから、プーチン大統領の演説の正しい理解はできません。

 反日左翼新聞とはいえ、東京新聞の目のつけ所に敬意を評したくなりましたが、2月24日に日経新聞が「ミンスク合意」について説明している記事を読み、考えを修正しました。「日本のマスコミ」が本気になってロシアのウクライナ侵略を考えようとしている動き、つまりいつもの横並びです。

 そうなると、わざわざ敬意を表する必要がなくなりますので、次回は、日経新聞の「ミンスク合意」記事を紹介します。

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令和4年5月9日、プーチン大統領の演説 - 2

2022-05-11 06:56:38 | 徒然の記

 申し訳ないことをしました。黙祷後のプーチン氏の演説と言いましたが、私の早とちりで、まだ黙祷前の演説でした。ご容赦ください。続きを紹介します。

 「欧米は、この千年来の価値観を捨て去ろうとしているようだ。」「この道徳的な劣化が、第2次世界大戦の歴史を冷笑的に改ざんし、ロシア嫌悪症をあおり、売国奴を美化し、犠牲者の記憶をあざ笑い、勝利を苦労して勝ち取った人々の勇気を消し去るもととなっている。」

 ロシアと米欧諸国のどちらが事実を語ってるいるのか、ここからが、私たちを混乱させている「情報戦」でないのかと思います。

 「モスクワでのパレードに来たいと言っていたアメリカの退役軍人が事実上、出席を禁止されたことも知っている。」「しかし、私は彼らに〈あなたたちの活躍と共通の勝利への貢献を、誇りに思っている〉」ということを知ってもらいたい。」「われわれは、アメリカ、イギリス、フランスといったすべての連合国の軍隊に敬意を表する。」

 腹立たしいことですが、ここでもドイツと日本が、「ウクライナ侵略」正当化のための根拠として語られます。

 「そして抵抗運動の参加者、中国の勇敢な兵士やパルチザンなど、ナチズムと軍国主義を打ち負かしたすべての人たちに敬意を表する。」

 「尊敬する同志たち!」「こんにち、ドンバスの義勇兵はロシア軍兵士と共に、自分たちの土地で戦っている。」「そこは、スビャトスラフやウラジーミル・モノマフの自警団、ルミャンツェフやポチョムキンの兵士、スボロフやブルシロフの兵士、そして大祖国戦争の英雄ニコライ・ワトゥーチン、シドル・コフパク、リュドミラ・パブリチェンコが、敵を撃破した土地だ。」

 プーチン氏が語っているのは、ウクライナ侵攻は侵略でなく、祖国防衛のための戦いだと言うことです。

 「いま、わが軍とドンバスの義勇兵に伝えたい。」「あなた方は祖国のために、その未来のために、そして第2次世界大戦の教訓を誰も忘れることがないように、戦っているのだ。」

 「この世界から、迫害する者、懲罰を与える者、それにナチスの居場所をなくすために。」「われわれは、大祖国戦争によって命を奪われたすべての人々、息子、娘、父親、母親、祖父母、夫、妻、兄弟、姉妹、親族、友人を悼む。」

 「2014年5月に労働組合会館で、生きたまま焼かれたオデッサの殉教者たちを悼む。」「ネオナチによる無慈悲な砲撃や野蛮な攻撃の犠牲となった、ドンバスのお年寄り、女性、子どもたち、民間人を悼む。」「そしてロシアのために、正義の戦いで英雄的な死を遂げた戦友を悼もうではないか。」「1分間の黙とうをささげよう。」

 ここで広場が静まり返り、全員が目を閉じて1分間の黙とうを捧げました。黙祷の後再びプーチン氏が、語りかけます。

 「兵士や将校、一人ひとりの死は、われわれ全員にとって悲しみであり、その親族と友人にとって取り返しのつかない損失だ。」「国家、地域、企業、そして公的機関は、このような家族を見守り、支援するために全力を尽くす。」

 私はこの言葉を共同通信社のように、「歪んだ愛国心」と思いません。従って「自衛口実」「根拠班弱」とタイトルをつけ、氏の言葉を歪める記事に疑問を覚えます。

 「戦死者や負傷者の子どもたちを特別に支援する。」「その旨についての大統領令が、本日署名された。「負傷した兵士や将校が速やかに回復することを願っている。」「そして、軍病院の医師、救急隊員、看護師、医療スタッフの献身的な働きに感謝する。」

 私から見れば、氏は国の指導者として当たり前のことを話しています。国を守る戦争のため戦死したり負傷したりした国民に、支援策を実行するのは「歪んだ愛国心」でなく、「国民扇動の詭弁」でもないと私は聞きます。

 「しばしば銃撃を受けながら、最前線で、みずからの命も顧みず戦ってきたあなた方には、頭が下がる思いだ。」「尊敬する同志たち!」

 「今、ここ赤の広場には、広大な祖国の多くの地域からやって来た兵士と将校が肩を並べて立っている。」「ドンバスやほかの戦闘地域から直接やって来た人々もいる。」「われわれは、ロシアの敵が、国際テロ組織を利用して、民族や宗教どうしの敵意を植え付け、われわれを内部から弱体化させ、分裂させようとしたことを覚えている。」

 「しかし何一つ、うまくは行かなかった。」「戦場にいるわれわれの兵士たちは、異なる民族にもかかわらず兄弟のように、互いを銃弾や破片から守っている。」「それこそがロシアの力。」「団結した多民族の国民の、偉大で不滅の力だ。」こんにち、あなた方は、父や祖父、曽祖父が戦って守ってきたものを、守ろうとしている。」

 氏は演説の草稿を事務方に任せず、自分で書いたと言われていますが、それだけ真剣だったと言うことでしょう。

 「彼らにとって、人生の最高の意義は、常に祖国の繁栄と安全だった。」「そして彼らの後継者であるわれわれにとって、祖国への献身は最高の価値であり、ロシアの独立を支える強固な支柱だ。」

 「大祖国戦争でナチズムを粉砕した人々は、永遠に続くヒロイズムの模範を示した。」「この世代こそ、まさに戦勝者であり、われわれは常に見習い続ける。」「われわれの勇敢な軍に栄光あれ!」「ロシアのために!勝利のために!」「万歳!」

 ロシアでは「万歳」を「ウラー」と言います。プーチン氏の演説が終わると、広場に整列した軍人と参列した人々が、一斉に「ウラー」と3度叫びました。

 この演説を聞いた日本の政治家と新聞の意見を紹介します。

 〈 自民党 佐藤正久外交部長 〉

   「プーチン氏の演説は、自己都合の嘘のオンパレード」

 〈 産経新聞 〉

   「プーチン氏の演説、侵略正当化は容認できぬ」

 佐藤氏と産経新聞はもう少し違う意見を述べると期待していましたが、西側諸国の論調と同じでした。「ゼレンスキー氏も支援する西欧諸国も悪、ロシアも悪」」と言う、私の意見は、やはり少数意見なのでしょうか。

 ここで終わりにするつもりでしたが、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々には、次回私の意見の根拠について説明をさせてください。

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