4. 「伊藤貫の真剣な雑談 ( 第2回後半 )」 〉・・「再生産される悪夢・国際政治3学派の蹉跌」
連日の猛暑で花も木も萎れるので、「ねこ庭」の水まきが欠かせません。長いホースを引き回して、たっぷり水を撒きます。金曜日の夕方も汗をかきながら、花や木たちに水をかけていましたところ、ちょっとしたはずみでホースに足が絡みました。
掴まるものがなかったためあっという間に転倒し、植木鉢の間にひっくり返りました。痛さをこらえて起き上がってみると、腰骨の当たっていた植木鉢が、八つくらいに割れていました。ゆっくり倒れたつもりでしたが、瞬間的な力は分厚い植木鉢を砕く威力がありました。
病院に電話をしてみると、土曜日でも午前中はやっているとのことで予約をしました。長々と何を喋っているのかと、ボウフラ君が苛立っているかもしれませんので、早く「朗報」を伝えなくてなりません。本日は月曜日ですから、病院の診察を受けて、二日が経過しています。
診断の結果は骨折なし、背骨の腰の部分が内出血をしているとのことで、貼り薬とコルセットをしてもらいました。骨折の経験がありますので、痛みもないし、呑気にしていましたところ、昨日の夜からベットで横になるのも起き上がるにも、腰の1箇所で激痛が走り、簡単に体が起こせなくなりました。
「年寄りは転倒して骨折すると、立ち上がれなくなり、そこから寝たきりの生活が始まり、終わりを迎える。」
散々聞かされている話と、よく似た状況になっていますので、伊藤貫氏の話どころでなくなりました。「いよいよ、近づいたか。」と思うと、これはもう一番喜んでくれる人物に伝えなくてなるまいと、ボウフラ君が浮かびました。
ということで、今回はメインテーマに入る前にボウフラ君への報告です。
喜んでくれ、ボウフラ君。「ねこ庭」のブログも先が見えてきましたよ。
・では次に、リベラル派の最後のパラダイムである「民主的平和の理論」の説明をする。
・リベラル派の一番重要な理論で、「民主主義による平和の理論」と言っても良い。
朗報の報告が終わりましたので、昨日の続き伊藤氏の雑談の紹介です。何が楽しいのか、相変わらず満面の笑みで雑談しています。自分が痛みを堪えているせいもあり、不愉快な氏です。( どのような工夫をしてパソコンに向かっているかは、企業秘密です。 )
・クリントン、ブッシュ、オバマ政権がこの理論を公式に採用した。公式に採用したが、公式にきちんと守った訳ではない。口先で盛んに議論しただけで、実際に守ったかどうかは別の話だ。
・この議論を簡単に話すと、民主主義国家は平和愛好国家だから、世界中の国が民主主義国になれば戦争がなくなるという議論だ。
・これは、朝日新聞の論調と同じである。朝日新聞とアメリカ政府の違いは、記事を書いている人はそんな風なことを信じているのだろうが、アメリカ政府は全然信じていないところだ。
「ねこ庭」で伊藤氏に疑問を述べる私に、「伊藤さんは正しいことを言われています」とコメントされる方がおられます。伊藤氏自身が爽快な笑顔で、言いにくいことを喋りますから、聞いている方も爽快な気分になるのだと思います。氏が間違っているのは日本に関する部分だけで、多くの場合は分かりやすい正論です。学徒である私がそうであるように、多くの視聴者がこういう氏の弁説にたぶらかされます。
・2500年前のギリシャでは、アテネが民主主義国でスパルタが軍国主義国だった。どちらが攻撃的な国だったかというと、アテネの方が軍国主義的で他の国に戦争を仕掛け、強圧的だった。軍国主義と言われるスパルタの方が、他の国に対して弱い者いじめをする頻度が少なかった。
・紀元前5世紀後半に、アテネとスパルタの間で「ペロポネス戦争」が起きた時、周辺の都市国家のほとんどがスパルタに味方した。理由はスパルタがアテネのように他国を攻撃せず、弱い者いじめをしなかったからだ。
・この例を見ても分かる通り、民主主義国家が果たして平和的な国であると言えるのかどうか、はっきりしている。
アテネの人口は約67万人でしたから、現在の日本の都市に当てはめますと68万人の静岡市に該当します。民族対立の激しかった当時であり、周辺にペルシャやマケドニアなど対立する異民族の国家がひしめいていました。アテネは経済と文化の中心にいて栄えていましたから、常に他の民族国家に狙われていました。内陸に位置するスパルタより、海上交通の要地に位置するアテネの方が、武力侵略を受ける可能性が高かったと言います。
こうした時代状況を視聴者に説明せず、民主主義国家と言われているから平和的であるはずという、乱暴な説明をする氏にやはり疑問を感じます。古代都市国家のアテネは、民主主義思想の発祥の地ですが、国の名前に民主主義をつけていません。単に言葉にこだわるというのなら、北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」です。民主主義という言葉が使われているからと言って、この国が民主主義国であると考える人がいるでしょうか。
「ねこ庭」のブログも先が見えてきましたよと、ボウフラ君に伝えたとしても、伊藤氏の乱暴な、と言うよりいい加減な説明に妥協する気になれません。息子や孫たちが騙されるのを防ぐため、氏の雑談を紹介し続けようと思います。その代わり氏が正しい話をする時は、即座に「ねこ庭」の先生です。「変節する学徒」と言われても、氏のような人物とつき合うにはこんな姿勢が必要でないかと思い始めています。