どこにでもあるマンホールなので、私たちはほとんど気にかけることなくその上を歩いています。マンホールが村や町や市によって、様々な工夫が凝らされ、色々なデザインがあり、郷土自慢のPR競争をしていることをほとんどの人が知らないと思います。
町や市の関係者が知恵を絞って決めた町章、市章のデザインには、合併、併合の歴史が刻まれています。バラ、ツツジ、椿、桜、梅など市の花、県の花がマンホームの蓋を飾り、名所や名物などが彫り込まれたりしています。目立たない鉄製の蓋の中には、時として鮮やかな彩色を施したものもあります。
愛好者の方のブログを見て、全国にマンホール愛好家が沢山いて、マンホール探しの旅をしていることを知りました。またそれに応える形で役所が綺麗な「マンホールカード」を作り、訪ねてきた愛好家たちに配布していました。
8月9日と10日の千葉日報に、カラー写真入りで「マンホールカード」の大きな記事が掲載されました。ということは、千葉県にもたくさんのファンがいるのか、それとも千葉県が「マンホールファン」のため全国PRをしているのか、どちらにしても驚きました。論より証拠、まず8月9日の、市川市の記事を紹介します。
「市川市は、市南部の行徳地域の魅力をデザインしたマンホール蓋の新たなカード〈マンホールカード〉を作成し、無料配布している。」
「川沿いの常夜灯や、明治期に盛んに創られた神輿 ( みこし ) が船で運ばれる様子が、カラフルに描かれている。4千枚を作成し7月から配布を始めたが、人気が高く残りわずかという。」
千葉日報社が丁寧に説明していますので、無関心だった人も、マンホールやマンホールカードに興味を持つのかもしれません。
「市は昨年8月、地域の郷土色を盛り込んだ汚水用マンホール蓋の、新デザインを発表した。カード化はその紹介を兼ねており、今回の行徳地域の図柄は、市東北部に次ぐ第2弾。」
「カードの表側にマンホール蓋のデザインを印刷。裏側にはデザインの由来を説明し、神社仏閣などが多いため仏師や宮大工が集まり、その技術が生かされ、神輿の産地となったことなどを紹介している。」
記事を写しながら、私自身も関心が増し楽しくなります。中断している「伊藤貫の雑談」シリーズに比べると、その楽しさは月とスッポン、天と地ほどの差があります。千葉県は何番目かの私のふるさとなので、その紹介に役に立つのならと喜びが湧いてきます。怒りが湧く「祭りの薬売り」の寝言の紹介とは、比べ物になりません。
「江戸期に、製塩業が関東有数の生産量を誇り、活発になった船舶の航行の安全を祈って、常夜灯が建てられた歴史もひもとく。」
知らなかった千葉県の歴史まで教えられます。感謝の気持ちを表すため、市川市の事務連絡にも協力したくなりました。
「配布場所は13日までが行徳文化ホールで、15日以降は行徳ふれあい伝承館、いずれも午前10時から午後5時まで。一人一枚で郵送はしない。問い合わせは、市川市下水道経営課047-712-6482 ( 平日昼間 ) 」
このままの勢いで、長生村の記事を紹介します。「ちょうせいむら」が正しいのですが、他県の人は大抵間違えて「ながいきむら」と読みます。これを逆利用し、役場の人々が知恵を絞っています。
「村下水環境課によると、同村の下水道マンホール蓋は、〈ながいき〉とも読める村名の漢字にちなみ、長寿を意味する鶴と亀、九十九里浜の海をあしらったデザイン。」
「これに彩色を施した一基を、村内のどこかに設置した。カラーマンホールの蓋を探して一緒に写真に撮り、必要事項を記入したメールに添付し、同課へ送信すると抽選で賞品が当たる。」
そういうことだから、記事に大きな見出しがついていたのです。
「長生のどこかに一基、鶴亀マンホール」「カラーマンホールを探そう」「村制70周年企画 抽選で記念賞品」
村内にはマンホールの蓋が約2700基あり、カラーなのは一基のみだそうです。酷暑の夏も何のそのと、長生き村の職員たちは楽しい企画に汗を忘れています。だからもう少し、企画の紹介に協力します。
「応募は一人一回、期限は今月31日。」
「写真を撮影する際は、歩行者らの妨げにならないよう充分注意して欲しい。」と、いかにも役場の人間らしい余計な注文をつけています。全国に嘘を発信している「祭りの薬売り」に比べれば、村役場の人のお節介は可愛いものです。村の宣伝に協力しようという気持は、何も損なわれません。
「同課は本年度中に、このカラーバージョンのマンホールカードを2千枚作成し、村役場か村文化会館で希望者に配る予定。」
「マンホールカードは全国各地で発行されており、収集家もいるなど一部で人気という。担当者は、〈下水道に興味を持って〉と呼びかけている。問い合わせは、同課0475-32-2494。」
記事はもう少しありますが、ここまで紹介すれば長生村の人も満足してくれるはずです。日本のどこかにいる、マンホールカード・ファンの方にも楽しんでいただけたらと、紹介いたしました。