3. 2022年のアメリカ中間選挙に関する予測の乱暴さ
楽しかったマンホールの紹介が終わり、不愉快な「祭りの薬売り」の話に戻りました。
【彼の説明】・・深刻な話なのに嬉しそうに、満面の笑みで喋ります。
・ウクライナ戦争のため、世界は今「エネルギー危機」と「食糧危機」に直面している。
・今後、この危機に誘発され諸物価の高騰が始まる。一番打撃を受けるのは発展途上国で、これらの国々は借りた金が返せなくなり「債務危機」に陥る。
・近いうちに、3つの危機、「エネルギー危機」「食糧危機」「債務危機」が世界に広がる。
経済や財政に疎い私は、彼の説明が何となく分かりますが、何となく理解できません。「エネルギー危機」のせいで電気料金が上がって家計を直撃し、「食糧危機」のせいでパンや麺類の値段が上がり、これまた年金暮らしの家計を圧迫しています。しかし発展途上国の「債務危機」は、何の関係もないように感じます。
・3つの危機、トリプル危機の影響をどこの国が受けるかというと、アメリカが一番ダメージが大きい。
・だから今年の中間選挙で、民主党はボロ負けする。こんな政策をした民主党が、危機を招いたので、国民の批判を受ける。
・民主党議員の大量落選、3割から4割の議員が議席を失うと言われている。
アメリカに住み、いろいろな情報を知っている彼の意見は正しいのかもしれないと、そんな気にさせられます。というより、反論する材料がこちらには何もありません。有難いことに、彼の予測は去年の話なので、結果がどうなったのか、ネットで探せば情報が見つかります。
うまい具合に、2022 ( 令和4 ) 年12月8日付の経団連タイムズの記事が見つかりました。
【経団連タイムズの記事】・・
・2022年米国中間選挙は、多くの専門家が予想していた共和党の圧勝には程遠く、民主党が健闘する結果となった。共和党は、上院で過半数に必要な1議席増にも届かず、下院で多数派を奪還するも数議席差の過半数にとどまった。
上院と下院の党派別議員数は、次のようになっていました。
上院 民主党・・ 50人 共和党・・ 49人
下院 民主党・・ 213 共和党・・220
自信たっぷりだったのに、彼の予測は外れていました。多くの専門家が共和党の圧勝を予想していたと言いますから、間違っても批判することではありませんが、あの楽しそうな笑顔を思い出すと、不愉快になるだけでなく、許せない気持ちになります。
一度なら我慢しますが、日本にとって深刻な話も辛い話も、この男は笑いながら喋ります。他人の受け売りなら謙虚な喋り方をすれば良いのに、自分が思索・検討した意見のように自信に満ちています。
ですから、経団連タイムズの記事の紹介が止められません。
・歴史的に大統領1期目の中間選挙において、政権与党が苦戦してきた経緯があるなか、選挙前の主な政治指標のほとんどは共和党優位を示していた。
・バイデン大統領の支持率は低迷し、有権者の3分の2が米国の方向性に不満を示していただけでなく、有権者が重視していたインフレ対策などの経済政策については共和党の方が信頼されていた。
・このような状況にもかかわらず、共和党は予想に反して伸び悩む結果となった。その大きな要因は、共和党が無党派層の支持を得られなかった点にある。
・過去の中間選挙において、通常、無党派層は政権与党を否定してきた。この動きと比較すると、驚くべき結果といえる。トランプ政権(共和党)下の18年も、オバマ政権(民主党)下の10年も、無党派層の大多数がそれぞれ政権党に反対票を投じ、野党が躍進した。
・民主党政権下の現状に強い不満を抱いていても、有権者にとって、共和党は現状を改善するどころか撹乱要因として、より大きなリスクと映ったといえよう。この事実は、共和党として重く受け止める必要がある。それほどまでに共和党ブランドは毀損していた。
なぜ共和党は、前評判通りの結果が国民から得られなかったのか。
その理由を知っているのは、「学びの庭」の「ねこ庭」の学徒だけではないでしょうか。
いかがわしい「祭りの薬屋」のような人物が、熱心に共和党を応援し民主党を酷評するから、極論に嫌気を覚えた国民が、共和党への信頼を失くしてしまった。
彼が実名を挙げて民主党の政治家を酷評し、あまりに偏った攻撃が却って彼らへの支持に回ってしまった。逆に彼が高く評価した共和党の政治家は、国民の支持を失った。
他人を上目遣いに見ながら、真面目な議論をバカにしたように笑って喋るのですから、アメリカ国民も嫌悪したと思います。経団連は米国の各州の動きや、州知事の動向など、たくさんの情報を分析していますが、「ねこ庭」ではそのような手間をかけません。
今回までのブログを読めば、常識レベルで判断できます。しかしもしも伊藤氏が、チャンネル桜やその視聴者たちが言うような、米国の一流学者でなく、名もない評論家でしかなかったら、私の意見は崩れます。彼が何を喋ろうと、アメリカの世論には波風さえ立てる力がないからです。
そういうことなら、経団連の分析が的を得ていることになります。
・共和党ブランドの撹乱要因は、どこから生じたのか。選挙戦終盤にバイデン大統領以下、民主党がトランプ支持者を民主主義への脅威と糾弾したことが一定程度奏功したといえる。
・共和党支持者は、21年1月6日の議事堂乱入事件の暴徒と同一視されることに強く反発した。
・共和党は、中間選挙が民主党に対する信任投票になれば、与党の政策への不満から民主党が否認され、消去法で自然に共和党が選ばれると考えていた。しかし、無党派層による共和党の評価は民主党よりもさらに低く、結果として消去の対象になったのはむしろ共和党の方だったといえよう。
・無党派層は、バイデン政権の方針にストップをかけるために下院過半数を僅差で共和党に与えたが、上院は引き続き民主党に委ねた。いずれの政党にも任せきれず、決めかねているようだ。
・米国民は、予測不能な政治にも、イデオロギー先行の政策にも疲弊している。相手を攻撃するだけではなく、国民が直面する問題に真剣に取り組むことが最低限期待されている。そのような正常化への道をどちらの政党が先に示せるかが、24年大統領選挙のカギとなろう。
ここまでまともな分析をするのが経団連とは、今の今まで気づきませんでした。最後の言葉は、米国民だけに当てはまるものでなく、そっくり日本の現状ではありませんか。
「米国民は、予測不能な政治にも、イデオロギー先行の政策にも疲弊している。相手を攻撃するだけではなく、国民が直面する問題に真剣に取り組むことが最低限期待されている。」
米国民という言葉を日本国民と言い換えれば、敗戦後の日本の現在です。保守自由民主党を支援している経団連は、国民の願いを汲み取り、自民党内の反日左翼勢力への支援をやめるべきでしょう。保守の顔をして反日活動をする組織や団体への支援も、考え直す必要があります。
彼の予測の乱暴さを紹介するブログが、私の乱暴な意見を紹介する横道へ逸れてしまいました。反省しながら、次回の予定をお知らせします。
4. ウクライナ戦争の停戦に関する予測の乱暴さ