田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

明日はわが身か?/麻屋与志夫

2011-03-14 07:05:52 | Weblog
3月14日 月曜日

●「これじゃ、戦争中と同じダンベ」

●飲料水を買いに来たらしい老婆が奇声を発した。
13日の午後。
地震から三日目。
栃木県は鹿沼。
地震の被害はほとんどなかった街だ。
ヨークベニマルの店内でのことだった。

●なるほど。
ペットボトル入りの水がなくなっている。
なぜペットボトルの飲料水と書かなかったのか。
皮肉を込めつもりだ。
だいたいGGには飲み水をペットボトルで買うという神経が理解できない。
ペットボトルの飲料水は被災地に送れ。
被災地のひとにこそ飲んでもらいたい。
この街の水道水は賞賛にあたいする。
日本一オイシイ水道水だ。
地下水をクミアゲテいるからなのだろう。

●災害に備えるのなら――。
水筒に水道の蛇口から水を満たしておけばいいではないか。
それにまだまだポンプ井戸を使っている家庭も無きにしもあらず。
それに食料にしても、
保存用のビスケットなどならいざしらず、
不安感からなのだろう、
ヤマザキのパンの棚まで、がらあき。
レジには長蛇の列ができていた。
GGは気が短い。
ほら、年寄の短気というじゃありませんか。
なにも買わずに店をでた。

●スパムメール(迷惑メール)、
spamメールで不特定多数のひとに不安をかきたてるようなことを、
おくりつけているフトドキ者がいる。
戦時中の流言蜚語をおもいだした。
ゾクリと寒気がした。
隣人の苦しみは蜜の味。
といった者がいるのだ。
吸血鬼の頬笑み。
いやニタリ顔。
これはわたしが吸血鬼作家だからなのだろうか。
ひとの不幸をよろこぶヤツは、
人の生き血をすうと同質の犯罪をおかしていることになるのだ。
そうですよね。

●近所のスーパー「ヤオハン」までもどった。
それほどこんでない。
とくにアルコール類の棚はいつものとおり、閑散としている。
いまどきの若い人は居酒屋で飲み、
家庭での晩酌はあまりしないらしい。
わたしはカミサンをまえに、飲むのがすきだ。
もし地震が来て死ぬのなら惚れた女房とゆっくりと酒をのんで、
……というのがGGの世代の男の心意気だ。
ひごろは買えない、
わたしにとっては高価におもえる、
吉乃川の四合瓶1100円を買っていきようようと帰宅した。
カミサンの名誉のためにいうが、
お酒を買うのをいやがるようなことはない。
自己規制しているのだ。
飲んでも一合。
まだまだ、長生きして塾生にいろいろなことを教えてあげたい。
勉強だけではない。
生きる心構えもだ。
男の生きざまを見せたい。

●テレビをつけて飲みだした。
岩井(?)論説員か発言していた。
「政治が悪いときには天災が起きる。むかしの歴史をみても……」
同席していた理系のお偉いさんが、白けた表情に成った。
でもこれは重大な発言なのだ。
地震のメカニズムを解説したりするよりも、
これからいかに壊滅した社会を構築していくか、
考えなければならないのだ。
政治力がとわれる。
総理も――。
「国民の皆さんにおねがいする」
ではなくて「こうしましょう」とか、
「こうするから、心を合わせてついてきてください」
とかもつと毅然として、リーダシツプをとつてもらいたい。
軟弱。気弱すぎる。
いつから日本人はこんなに弱腰になってしまったのだろう。

●被災地の男たちよ!!
男はメソメソ泣くな。

●朝はかならずくる。
スズメは鳴く。
それでいいではないか。
さあ、これからだ。

●明日に向かって、槌音の高鳴るような報道が欲しいよな。

●今後、三日以内に震度7の地震の起きる確率、70%だとさ。
そうならないことを願うが、
だいぶ酔ってきた。
こうなったら、
酔生夢死。
こわいものなどない。
矢でも鉄砲でももってこい。
「政府がわるい。軟弱な男がわるい。肉食系男万歳とくらぁな」

●おあとがよろしいようで。


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二次災害の恐怖/麻屋与志夫

2011-03-13 05:11:03 | Weblog
3月13日 日曜日

●多重災禍というべきなのだろう。
まず大地震。
そして津波。
家屋の崩壊。
津波で押し流された木造住宅であったものが、渦をなして漂流していた。
テレビなので現場の音はあまりきこえてこなかったが。
恐怖心をいやがうえにもかきたてる濁流の音がしたことだろう。

わが町が60数年前洪水にあったことがあった。
武子川が氾濫した。
その時の濁流の渦巻く音を、恐怖をいまでも覚えている。
怖かった。


●多重災害というべきなのだろう。
周りは水浸しなのに火災が起きた。
あれは、気仙沼だったろう。
市内全域に延焼していた。
火の手が随所であがっていた。
そして市原の石油コンビナート。
その他、大火災が起きている。
ふたたび、テレビは気仙沼が壊滅状態と報じている。
死者もスゴイ数になるだろう。
悲惨すぎる。
電気などのライフラインも完全にとまっている。
復旧の見通しはいまのところつかないと、報じている。

わが町を襲った、60数年前の今市地震をおもいだした。
道路には亀裂がはしった。
学校の壁が落ちた。
怖かった。

今回の災害も子どもたちに。
生涯い忘れることのできない。
外傷体験としてのこることだろう。
悲しいことだ。
子どもたちのメンタルケアが急務だ。

●福島の原発が放射能漏れの恐れがでた。
タンクの周囲が炎上している。
漏れたらたいへんなことだ。
半径20キロ立ち入り禁止、立ち退き指示。
これ以上災害が拡大しないことを祈るのみだ。

●街のスーパーにいったところ長い行列。
水を買っている人が多数いた。


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これは、ポセイドンの怒りだ/麻屋与志夫

2011-03-12 05:54:29 | Weblog
3月12日 土曜日

●さくじつ11日、国内観測史上最大のM8.8の地震が発生した。
東北・太平洋沿岸地震と命名された。
テレビをつけっぱなしにして置いた。
その間、親戚の安否をたずね電話をカミサンはかけっぱなし。
直につながらなくなってしまった。

●二階からおりるのも危うかった。
手すりにつかまりよたよたとおりた。
猫のブラッキーはものすごい勢いで階段をかけおりた。
潜り穴から外に避難した。
賢いものだ。
ただひたすら身の安全を期して逃げる。
やっとたどりついたキッチン。
カミサンが食器棚を小柄な体で支えていた。

●東京の孫から電話があった。
この孫は赤ん坊の時、西宮にいたので地震の話はいやというほどきいている。
電話が不通になることも知っていた。
だから横揺れがつづいているうちに電話をしてくれた。
「だめじゃない。倒れそうなものから逃げるのよ」と、叱られている。
「だってお気に入りの食器がたくさん入っているのよ」
これでは孫にしかられてもしょうがないだろう。

●茨城県の鹿島市にいるカミサンの弟だけは連絡がつかない。
心配だ。
その弟の子どもが仙台に住んでいる。
心配だ。

●津波が海岸に打ち寄せる光景。
The day after.のようなdisasterを描いた映画。
そのものの不気味な自然の猛威だ。

●海の神ポセイドンが。
巨大な(400キロもの)腕を広げて波を立てたような印象がした。
神の怒りだ。
神の怒りだ。
とGGはつぶやいていた。

●その後の悲惨な惨状はみなさんテレビでご覧のとおりだ。





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飛翔。青空に羽ばたこう/麻屋与志夫

2011-03-11 10:11:48 | Weblog
3月11日 金曜日

●さくじつの、ブログのタイトルの文頭に「かわいそうに」と書いた。これにはすこし解説が要る。

●退却神経症ということばをきいたことがありますか。登校拒否などもこのカテゴリーにはいるはずです。塾で授業をしていても、さいきん〈おなかが痛い〉と訴える子がふえてきました。勉強などしたくない、していないのだから腹痛にみまわれることなどない。……はずの生徒なのに、どうしてなのだろう。勉強を始めようと思っただけでストレスを感じてしまうようなのだ。〈どうせダメだよ〉とその子たちが言う。勉強がんばろう、と掛け声をかけられただけでもストレス。勉強した結果の赤点を想像して、さらにストレス。

●かれらは無快楽なのだ。勉強をして成績が伸びて〈ホメラレル〉快楽を味わったことがないのだろう。その喜びを味あわせてやりたいと毎晩努力しているが、このところ気がついたことがある。

●むかしは特訓授業をつづければ必ず成績が伸びた。時間数をかければ、成績が伸びたのだ。ところがいくら教えてもいい成果があがらない。退却的思考が災いしている。〈やってもダメだ〉とおもっているから教師の声も耳に入らない。そういうことらしい。成績がアップするまでの教師の努力はなみたいていのものではない。

●ゆとりある教育を受けた時代のお母さんが増えている。先日、スパーの「ヨークベニマル」で出会った某母親。「わたしは、子どもにはムリな勉強はさせない。子どもがやりたくなるまで放って置きます」なんのことはない育児ネグレクトだ。

●「そうですよね」というから「それはまちがいですね」といつたら顔色が変わった。
「それでいま何年生ですか」
「中学三年。もうじき受験です」
「成績は」
 返事が戻ってこなかった。

●自分の子どものことしか考えられないモンスターペアレンツ。放課後ジャンジャン教師の迷惑も考えずになんらかの抗議をくりかえすたぐいの母親なのだろう。事なかれ主義の小学校の教師のがわにも責任がある。喧々諤々、こうした母親と対話をするべきなのだ。

●悲しいかな、それができないのが公立校の教師なのだろう。おおくの教え子が教壇に立っているから、かれらの悩みは、よくわかる。わたしのように、私塾の教師だからできる母親への苦言なのかもしれない。生徒に対する愛情があるからゆるされる発言なのだ。

●それにしても、中学生になりたくない。高校生になりたくない。社会に出たくない。そういう子どもがおおすぎる。

●飛翔感覚の欠如。明るい青空がある。「そんなことないよ、お先真っ暗だよ」いくら励ましても効果はない。すべてとはいわないが、小学生のときから学習能力を培わなかったための結果のようなきがする。

●わたしの「アサヤ塾」でのささやかな経験からいえば小学低学年から国語教室に在籍して「どうして勉強することが大切なのかな」ということを理解した生徒は健やかに育っている。努力する喜びを覚えていく。

●ところが、国語教室の小学生は一人しかいない。「家の子は、漢字の百問テストでいつも100点とりますから」「作文はかけますか?」沈黙、返事はもどってこない。

●おかしな方向に文章がすすんでいるが、オウソドックスにものをかんがえられる子どもを育てるには国語教育が必要だということだ。京大の携帯によるカンニングの問題にしても、ニュースの切り口が少し違いやしませんか。といいたくなる。方法の新規、マジックまがいの奇抜さにばかり目がいっている。入試でカンニングするような子を教育したことにこそ重大な責任があるとはおもいませんか。教育力の低下ここに極まれる。といった事件もおおいですね。修身教育とまではいいませんが、国語教育をとおして未来に希望をもてる人間を育成することこそ急務だと信じている。

●卒業おめでとう。新しい未来が君たちを待っているよ。と胸はって言えるような社会を築く労苦はこれから始まるのだ。


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かわいそうに卒業ですか/麻屋与志夫

2011-03-10 09:43:39 | Weblog
3月10日 木曜日

プログです。

●「クノイチ48 VS 吸血鬼」もおかげさまで、第一部 「さすらいの塾講師」第二部 「超能力能力シスターズ美香&香世」がおわりました。あとは第三部をのこすだけですが、ここでこの物語とはすこし距離を置きたいと思います。構想をじっくりと練って……などとエラソーに書きますが、一休みしたいということです。

●第三部で完結する予定です。だだ、テーマを『テロ』にしたいのですが、この物語の読者は若い人なので、いかがなものなのでしょうね? カミサンが言うように不滅の小説の主題である『愛』のものがたりにしたほうがいいのでしょうかね? じっくりと考えます。

●さて、今日は地元の中学の卒業式です。

●わたしはこの鹿沼で「アサヤ塾」を創設して47年になります。東京オリンピックのころです。オリンピックの通訳をやりながら塾の講師をつとめるのはつらいことでした。体力もですが両親が病に伏せていました。カミサンは初めての赤ちゃんを育てていました。その長女の長女、わたしたちにとつては孫も、来春大学受験です。

●さて、今日は東京大空襲の日でもあります。カミサンは代々木幡ヶ谷の生まれなので、いまでも東京にもどりたいという希望をもっています。わたしも両親の看病のため学業を中途でなげだしての帰郷だったのであの青山での青春にはこころのこりがあります。民芸の稽古場。俳優座。霞町のシナリオ研究所。おもいでの微粒子が浮遊する懐かしい街。もういちど人生をやりなおすことができるのなら、あの希望に満ちた日々にもどりたい。
あれから――波乱万丈の人生をおくってきた。だからこそ、あの日々からほかの選択肢を選びたい気持ちがある。

●いまの若い子は、これからどんな夢と希望を紡いでいくのでしょうか。小説をまったく読まなくなった世代がいよいよ大人になっていきます。本を読まなくなった世代。ゲームとテレビと部活の世代。

●夢をもつ、希望をもつことがますます困難になってきた。「どうせだめだよ」という暗い世代の子にどうしたら活気を吹き込み、精気にみちた日々をおくれるようにできるのでしょうか。

●人を人としておもえず、吸血鬼ならこうしたことをするだろう。と考えなければならない、恐怖の街。決して犯罪にはかかわらない職種のひとが犯罪を起こす時代。ただ人を殺したかった。そんな恐ろしい時代にわたしたちは生きている。

●卒業式でみんなどんなことをかんがえているのかな。

●こちらが教えてもらいたい。とりとめのないことをGGはホリゴタツで考えている。外は冬並みの寒さだ。でも、ともかく門出を祝してあげたい。わが「アサヤ塾」の卒業生もふくめて、みなさん卒業おめでとう。




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夜空に消えた美香/超能力シスターズ美香&香世(完) 麻屋与志夫

2011-03-09 09:35:19 | Weblog
33

香世のことばで鼓舞された。
バリアもはってくれた。
このステージで戦える。
心おきなく戦える。
東京を混沌とさせた。
混迷の底に落とす。
人々を恐怖に慄かせる。
害意をもって街をさまよう。
獲物をみつけると殺す。
血を吸う。
人外魔境をこの東京に現出させている。

許せない。

斬りつけた。
小手。
鉤爪ではじかれた。
チャリンと金属音がびく。
すかさず浮船で袈裟がけに斬りおろす。

V が右脚を引いて半身に構えたところだった。
左羽根の根もとに浮船がくいこんだ。
肉を斬る。
確かな手ごたえ。
Vの顔がゆがむ。
苦鳴を上げた?

でも、音声催眠を警戒している。
Vの声はきこえないように。
こころはガードしている。
特定した音だけを遮断する。
その技がいま生かされている。
こころに迷いは生じない。
だらりと垂れた片羽根。

斬りおろした浮船。
刃をかえして。
逆袈裟で斬り上げる。
美香とくいの連続技だ。

瞬息の技だ。
間合いに入っての剣技。
必殺の技の連続。
後に引く気はない。
この機に勝負をつける。

防具をつけない。
袋竹刀での鍛錬が役に立っている。
柳生但馬流の天才。
美剣士。
美香の技がさえる。
二度目はない。
これがさいごの勝負だ。

たじろぐVに。
脇構え。右腕を腰のよこに。
Vからは右の拳も見えない。
そして正面からVの胸に突き入れた。
指剣が青く光っていた。
輝いていた。
この技を瞬時にやってのけた。

必殺の突き。

Vは美香の浮船がまた残された羽根に斬りこんでくる。
そう……予測していたはずだ。

だが――Vも想定外の行動に出た。
胸を刺し貫かれでも一歩もひかない。
美香を体ごと抱え込んだ。
スリムな美香の背でガッチリと鉤爪を組んだ。
そのまま――ジャンプした。
ceilingを突き破る。

「オネエ。オネエ。美香、オネエサン!!」

「美香……」

アンデイの声。

翔子の声。

「ミカ!! わたしが病院から呼び出さなければ――」

百子の反省を込めて……悲嘆する泣き声。

あとには、ぼっかりと虚ろな穴が開いている。
満天の星空がみえていた。




注 ピットインの描写は作者のイメージです。

 


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オネエ。勝のよ!!/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-03-08 22:25:18 | Weblog
32

瞬時。
イタミいる。
どこで覚えたのよ!!
そんな考えが頭をよぎった。

そして、左手に抜き放った浮船。
体がエイドリアンに激突する。
その寸前。
左手に浮船があった。
小手に斬りつけた。
Vの攻撃で怖いのは、鉤爪だ。
鉤爪の攻撃さえ防げれば。
勝機がある。

「また会えてうれしいぞ。美香。
おまえの血は、さぞや新鮮で、精気にあふれていることたろうな。
今夜こそ吸わせてもらう」
「オネエ。ソイツのことばに耳をしてはダメだよ。
そいつの声には催眠効果があるからね」

タノモシイ。
香世の声援。
周囲の音は途絶えている。
香世の声だけが頭にひびく。
 


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柳生但馬流美香参る/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-03-07 07:55:10 | Weblog
31

美香はエイドリアンを遠隔透視した。
もちろん、歌声もきこえている。
おまけに、予知能力まで稼働していた。
陰湿なとげとげしい空気が前方にたちはだかっている。
遠隔共感まで発動している。
歌っているエイドリアンは上機嫌だ。
美香は目を閉じた。

ふいに、恐怖。
恐怖。
恐怖が重々しく前方に壁のように聳えている。

わけのわからない恐怖。
重々しく前方からのしかかってくる。

「百子なにかおかしいわ。突入はまってもらって」
「美香。地上と連絡とれない」
「香世。鳥打さんよ。かれにテレパシーで突入中止を告げて」
香世が必死の形相で念をこめている。
「どうしたの? 美香」
「この壁の外はピットインよ。すぐそこにエイドリアンがいる。
スナイパーもギター弾いている。でもぜんぜん注意していない。
むしろ、わたしたちを誘っているようなの」
「それは、おかしいわね。翔子」
百子と翔子は頷き合っている。
「だめ。もう、突入したみたい」

壁の向こう側がさわがしくなった。
歌声はぱたりとやんだ。
「ぼくと純からいきます」
アンデイが進みでた。
百子が壁についた大きなノブを回した。
トイレだった。
争う声がした。
絶叫。
悲鳴。
怒号。
「はじまっている」
いちだんとなって、トイレから室内に走りこんだ。 
「ココ……これは」 
美香が吃音を発した。

観客だと思っていた。
聴衆だと思っていた。
それが――。
全員、エイドリアンの配下だった。
吸血鬼とRFだ。

わたしが、もっとはやく気づくべきだった。
フロワでの乱闘を眺めている。
舞台中央でエイドリアンが狂笑している。
不吉な予感が的中した。
もっとはやく勘が働けば――。
心臓がきゅっとひきしまる。
鼓動が高鳴る。
美香はあざ笑うエイドリアンを凝視した。
美香がその哄笑に見たものは――。
じぶんのtelepathとしての敗北だった。
逆に利用された。
誘いこまれた。
致命的な失態だ。
舞台中央にいる。
存在する
醜悪な妖気をはらんだエイドリアン。
黒く大きな羽根。
――のある奇怪な生き物。
あれはマントを広げているのではない。
巨大な漆黒の羽根だ。
そして顔。
鱗の顔。
赤く光る目。
ヨダレをたらしている口もとの白く鋭利な牙。
まさに吸血鬼。
そしてわたしの敵だ。

怒り。
重くのしかかってくる恐怖。
いや、その怒りも恐怖を超えた自責の念。
わたしが無防備にVのいる場所をしらせたから。
罠ともしらず突入を促したから。
わたしがわるい。おおぜいの血が流れる。
美香の思考がみだれる。
錯乱した。
アイツを倒さなければ!!
美香は真正面からエイドリアンに向かった。
上半身を前に倒し、突入した。
後ろでだれかの制止する声。
だれの声かしら。考えている余裕はない。

「エイドリアン。柳生但馬流但馬美香参る!!」
「おう。名のり、いたみいる。エイドリアンだ」

あまりに達者な日本語。
イタミいる。
なんてどこで覚えたのよ!!


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いまそこにいる吸血鬼/麻屋与志夫

2011-03-06 07:54:43 | Weblog
3月6日 日曜日
プログです。

●わたしは女の子をふたり、男の子をひとり育てた。
子どもがデパートのトイレに入る時には、かならず妻かわたしが一緒にいった。
ひとりにするようなことはなかった。
さいきんわたしの街のスーパーでよくみかける。
母親と離れてしまい泣いている子がいる。
ギャルママというのですか、まだあどけない母親は夢中でお買物中。
子どもの不在をさして気にも留めていない。
小さな街で犯罪など起きないからいいようなものの……。

●習慣とは恐ろしいものだ。
いまでは、カミサンがトイレに行くと入口付近までついていく。
カミサンが悲鳴を上げればはせ参じることがきる。
もっともこのGGではどのていどの戦力になれるか。
男はケンカが出来なくなったら終わりだ。
ソレほど熱心に格闘技を学んだわけではない。
でも、柔道と空手を少々タシナム。
カミサンくらいは守れるだろう。

●わかいとき、おおぜいのforignerとつきあいがあった。
エスコートする。
といった習慣をみた。
女性を守るという騎士道精神はすばらしい習慣だとおもう。
観光ガイドの真似ごともした。
センパイにガイドは観光客の身の安全にも気を配らなくてはならないのだ。
と教育された。

●わたしの吸血鬼小説では「殺せ!! 刺し殺せ」という思念に突き動かされて。
衝動的に街で刺殺魔に成るわかものが描出されている。
もちろん、外部からこのような声がリアルにきこえてくるはずがない。
Vampireは誰の心の中にも住んでいる。
ひとを恨むとか、殴りたいというような感情。
あるいは本能にちかいこうした感情を抑制できるようになるのも、教育の成果だ。
倫理的な教育力が欠落したことが悲惨な事件を多発させている。

●受験勉強、競争が歪んだこころを育成していることも否めない。

●いまわたしたちの周りにいるコワーイわかもの。
その犠牲者にならないためには。
いまそこにいる犯罪予備軍から身を守る注意が必要なのだ。

●大型店で迷子になる子が多すぎると思いませんか。



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熊本女児遺棄。入試ネットカンニング私見/麻屋与志夫

2011-03-05 06:11:21 | Weblog
3月5日 土曜日

プログです。

●熊本女児遺棄「スーパートイレで首絞め、川に」学生供述。
また、いやなニュースだ。
いやな、などと簡単に言っては関係者の嘆きを考慮すると申し訳ない。
戦慄が背筋を震わせている。
悲惨すぎる。
とても、人間の犯罪とは思えない。

●ひと昔前なら、鬼畜の所業と報道されていたろう。
あまりに、こうした事件が多発している。
ひとはこうした事件をあまり話題にしなくなった。
避けてとおる。
そして。
わたしたちの周囲では起こらない。
と否定して、忘れる。
いつかは、しぶんたちの街でも起きる可能性があることを予知できない。
「こんな悲惨な事件はわたしたちの街では起こるわけがない」と断定する。
ほんとうに、そうだろうか?
絶対起きないと言い切れるのか。

●大学入試問題のネット投稿事件。
この事件も大々的にとりあげられている。
このほうは、べつに刑事事件ではない。
殺人なんかからんではいない。
興味本意で、カンニングの方法も、ココに極まった感がある。
などとコメントをよせている教育評論家がいた。

●「バカモノ」と一喝したい。
こうした、したり顔の教育者や、教育評論家が中央にいるから。
テレビの画面を独占しているから、地方が荒れている。
荒んでいるのだ。
地方に住むまじめな。
ただひたするわが子の健やかな成長を願っているひとたちを。
取り巻く環境には彼らは無知すぎる。
なにも知らないのだ。

●このふたつの事件とも、教育の敗北だ。

●女児を平然と殺す。
リックに入れて背負い。
川に捨てている。
大学生がである。

●一流大学に合格したくて。
超現代的方法で、携帯というメカをつかってカンニングをする。

●たった一枚の「卒業証書」を欲しいために若者は大学をめざす。
その受験勉強の過程で、人としてあるべき教育をだれがしているのだろうか。
いないだろう。

●教育が、あまりにも実利的になっている。
あの予備校で、この塾で勉強すれば一流校に進める。

●若者のこころの歪みは受験勉強で培われている?
そんなことすら考えてしまう。

●ほんとうに自分のやりたいことを探す努力。
幼児の時からはじめるべきだろう。

●教育を受けて大人になっていくということは。
社会とじぶんとのかかわり合いを見極めていくことだ。
じぶんがしていることの醜悪さに気づく能力がなさすぎる。

●他の人の言っていることを、まったく理解できない優等生がおおすぎる。
かれらは試験勉強に強いだけだ。

●みんなで、教育とは、と考え直すところまで来ている。

●このところの事件は、わたしの吸血鬼小説より、怖いですね。




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