畑沢の隣と言っても、幾つもの村があります。荒町、細野、五十沢そして中沢です。今回は中沢です。背炙り峠を越えて平地に降りると、最初の村が中沢です。峠を通る県道29号線は、中沢の中を通りませんが、村の入口を通過します。あえて寄り道をして、中沢の集落に入ってみました。丁度、昼食時ですから、道に出ている方はいませんでした。何とはなしに奥へ奥へと進みますと、人家が無くなり大きな鳥居が現われました。どこに神社があるのかと探してみましたが見当たりません。しかし、山の斜面を登っている狭い石段でできた道が見えました。折角ですから登ってみましたが、結構な長さです。小高い山の途中が平らになっていて、とてつもない大きな石の祠が建っていました。今まで見た石の祠の中でも最大級です。全体の高さは、2.4mは十分にありそうです。土台と屋根だけが石で、真ん中の御神体を納めている部屋は栗材でできています。畑沢では、このような造り方を「万年堂」と呼んでいます。
さて、これは果たして何の神社でしょう。実は至極、簡単に分かります。祠の中には、長い木の棒があるものに形どられて立てられていました。それだけで、「山の神」であることが分かります。これは、一般的な山の神の形ですが、畑沢出身の私にはかなりの戸惑いがあります。畑沢の山の神は、これほど露骨な表現をしません。上畑沢の山の神沢と小柴沢の間にある山の神も、背中炙り峠にある山の神も御神体らしきものはありません。