新興国における供給ショックの国際波及 3カ国DSGEモデルによるインフレーションの分析(日銀ワーキングペーパー)
これは日銀の濃い研究論文である。コイツに関しては何とか流れが凡そ分からないではないが、中にはさっぱり分からないものも多い。
これはオイラー方程式を使った微分方程式の計算機バリバリ計算の非線形計算と言うか、既存データを使った確率変数の予測子を内挿した計算である事はグラフを見れば分かる。
供給ショックと言うのは、恐らくというか、大体官庁は、特に経済産業省は「XXショック」と言う言葉を使いたがる。2007年の「石炭ショック」と言う報告書など、目を引きたがるのだろう。
でも言葉のマジックは然る事ながら、実際分からないではない問題を取り上げているのは分かる。
供給ショックは、新興国の生産品の輸入により国内経済が沈滞化する。つまりインフレ率が下がる。デフレであると言いたがるわけだ。それを日銀の金融政策が悪いと連呼する嘘吐きドモに「日銀は悪くない」と言う為の論文と言われても問題ないが、読んでみて分かるか?とボールを投げている論文であると思いました。
私としては日銀の金融政策を悪いと言うつもりは全く無いし、大体現象としてはそうだろうと思う。日本が供給ショックに弱いのはGDPだけでなく、国内市場の大きさの違いにもよるが、近年の経済的変動に対して、国家制度と法律が対応できなかった。それは「決定できない政治の結果」である。(と言いたいのだろう)
しかし書かれている内容には気になる点もある。
それは垂直的貿易。つまり経済構造の進んだ所と遅れた所(新興国)のモデルである。
この垂直的とは、どの時点を言っているのだろう?垂直的は、投資の目的を選べば5年後にはカンボジアも水平的になりかねない。
新興国との貿易とは垂直的な技術の差のある貿易をなるべく技術的には水平化し人件費的に垂直的な問題はそのままに…の結果である。
この人件費至上主義は小泉政権や馬鹿文科系大学出の「技術を理解しない馬鹿の集まり」の妄想の結果である。そこで「グローバル経済では」と何かと声高に吹聴する馬鹿に、そのグローバル経済を計算モデル化した結果こうなると示したわけだ。
この計算も色々な計算モデルで、計算係数を色々出してやっている。このような計算は日銀の共同研究ならでわで、一般の連中では出来ないだろう。この手の計算は途中までの合理性を確認するだけで一苦労で、よくぞこんなにやったものだ…。いやいや、大体こんなものだと言う計算結果が出れば判るのだが、そこまでが大変なのだ。
今後「グローバル経済では~」と言うフレーズは絶無だろう。多分「たかじんの嘘吐き委員会」で宮崎哲也が何ぞほざくのを日銀の人達は心底嫌ったのでは?と思う。私が聞いていてもワンフレーズの寝言で、昨日今日見た数字を挙げて、確定的な結論を吹聴している時点で、よくも言えるものだと思っていたのだが、日銀の人も何度も「分かりもしないくせに」と思ったのではないでしょうか?
これを経済産業省の大臣や副大臣は「報告書」として受け取るのである。そして「見ましたよ」とサインをするのである。正直民主党で分かるような奴はいないと思う。
「民意である」と「錦の御旗」を翳して民主党は無理を通すのであろうが、そうはいかない。思うに「各方面からの貴重な御意見」は結構「御託」である。
「ハイハイ民意ですね…。」と「御無理御尤も」とイエスマンを気取るのも生き方かもしれないが「そうするとこうなりますよ?」と「可能性」を「可能性の専門家からの御意見」ではなく「御託の御本尊」である「慶応の誰かさん」が「専門家ならこのぐらい分かるでしょう?」と言う「真に学際的根拠」を背景とした「計算機がやった主観の入り様の無い予測結果」を用意したのである。
ある意味「官僚の意地」であり「新手の誘導の方法」である。これを反論する場合、計算予測の為の係数をバリバリ自分流に計算して「この数値ならこうなります」と「計算機のはじき出した反論」無しでは「御無理」を後押しした事となる。
多分「慶応対策」なのでは?と思う。
私は、こんな(というと関係者は怒ると思うが、)論文より「ではどうすれば?」か「究極的に新興国と先進国との関係は?」の未来を「適当でも良いから、素直な御意見」が聞きたい。この論文が言う事は、事実だと思うし、分かっても嬉しくない。嬉しいのは「やっぱりそう思っている?」とか「そう思うよねぇ~」とかの屈託の無い意見を素直に官僚の方々、いやノンキャリの人とでも(この言い方も悪いかな?)「責任論を問わず」披瀝してくれないかな?と思う。
この計算過程が示す事は理系なら分かる。現実の詳細は「所詮非線形」である。初期値と構成式によって幾らも変わる。
と元も子もない事を言うのだが、そんなものであろう。