ウチの関係の業者(とはとても言えない人。業界では職人・達人レベル。他に豪胆系の人もいるが)の人が、昔話を話してくれた事があって…。
それは今から20年ほど前に、まだ日本が海外プラントバリバリで輸出していた時だったそうだ。
「まぁとりあえず君(達人さん)が付いていれば、大丈夫だから…、まぁウチのエースなんだサポートしてくれ」との事で、
「はぁ…、分かりました」との事だった。
まぁ中小の業者なのだが、腕自身は相当なレベルを持っている。一般人なら近づく事もできない大プラント施工をしたりもしたそうだ。
我々は400Vの400A程度の設備が限界で(私は機械屋だが)、まぁその程度の会社なのだが、そのプラントはウチでも滅多にやらない大規模のもので、加えてアラブのプラントだったそうだ。
最初の頃は、色々話をする事もあって、設計の方針や施工の段取りとか、どのパーツが必要か?と言うやり取りが合ったらしい。
しかし、ある時から「パタリ」と話が来なくなったそうだ。まぁこちらも下請けだし、あまり口出しすると五月蝿がられるな?と思っていたのだが、徐々に設備の設置の期日が近づいている。
その達人さんも半分ノイローゼっぽくなりながらも、これは聞いて良いのか?いや、今の時期、下手にしない方が…。と思っていた所に「恐怖の大王」が落ちてきたそうだ。
それは最初達人さんに「ウチのエースをサポートしてくれ」と言う大企業の部長さんだった。
「達人さん!申し訳ないが、今の所仕様を詰めている業者は貴方しかいない。納期は3ヶ月。不眠不休になるかもしれないが…」
「ええっ?!今までの半年はどうしていたのですか?」
「それが…。実は全く…。」
「9ヶ月を3ヶ月に?」
「大丈夫、とりあえず全社を上げてサポートする、一応、電材を山のように積んだ船をチャーターした。」
「まさか…。」
「そうだ、船で移動中に設計して、段取り取って、その…、とりあえず、納期は守れない事は分かっている。とりあえず、何処まで遅れを短縮できるかなんだ!」
その時「しまった!もう逃げられない!」とがっくり来たそうです。
それから3ヶ月以上かけて、使用に合わせる為に電気設備を設計し施工し試運転をして回したそうである。
「いやぁ~、あの時は、これで私まで失敗したら、私もこの業界渡り難いものでね…。」
「で上手く言ったんですか?」
「一年は呼び出されるかもしれないからって、気が気ではなかったんですがね…」
「そうですか…、所で、大企業のエースさんは?」
「ああ、彼ですか?もう、それから部下の付かない係長職が定年まで決定しました。」
「うわぁ~」
と言う事で、ソフトウェア業界でも、良くある事で自分で抱え込む性格の人にありがちな失敗でした。人生の大失敗でしたね。
でも私も「うわっちゃー」と言うミスで寝られない日を何回か過ごした事もあります。
歳を食うと、もう徹夜とかは駄目だけど、ホント、締め切りとか、プレシャーとかで、そっちの方が気になり、2徹まではありますね。でも3徹は、本当に、何回かやると確実に死にますね。
あれは本当に人事不省で、ホント、飛鳥とか清原とか、こんな気分だったのかな?いや、おれは徹夜でこれだから天と地だよな…。と思いました。