館林ロストシティーランブラーズ・フォークソングシングアウト

フォークを歌って43年の坂を今登坂中。世間に一言あってこそフォーク。軟弱アコースティックミュージックにシングアウトだ!

「草の分際」・金子きみ歌集。

2006-01-19 07:08:26 | 音楽を思う
短歌は全くの門外漢である。
日常で短歌を諳んじ(そらんじ)、時々日記に書き添えるなどもまず無い。
知り合いで、喫茶Sのマスターは達人であったり、お世話になっているI先生などから時々短歌を教えられたりが唯一の僕の短歌との関わりである。

先日この「金子きみ」さんの作品にウェッブ上で出会った。
その人となりも知らない。
身近な金子はあかんべ山の金子のみである。
略歴を見るとこの世界では良く知られた方らしい。「知らないのはお前だ!」と御叱りを受けそうである。
1915年北海道の入植地で出生・2004年現在89歳である。

作品にある種の戦慄を覚えた。
とらえて離さない言葉の数々に出会った瞬間であった。
幾つかの情報を頼りに・金子きみ歌集「草の分際」が届いた。
自由律のその短歌に凝縮された心は、誰かに読まれることを待ち望んで扉の中に鎮座していた。

草 草だけの命を誇り 青々と草を抱き 草に抱かれる

嫁ぐ日が近い 火ほどの恋愛は終に無かった 澄み切った月

命いっぱい愛すと言う わたしは何を言えばいいのか わからないから泣いた

地球が割れるように生まれて たちまち母子と言うつながりの盲目

男に任せていたら又戦争だ 背の闇塩にのめりながらでかい口きく

あそこには死の灰 ここにはさくら 入学児をつれて 命を惜しむ

私のあばら骨の中で 夫と子供が肉をつつき 巣をつくる

戦争の責任を負うも負わぬも 天皇の丸い背のあやうさ

天皇には白い馬がお似合いだった おとぎ話の王様なら良かった

多くは知らないが軍事基地はいらない 安保反対の手製プラカード


「草の分際」・短歌新聞社・2005年10月発行。

コメント (5)
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